
《ヴィーナスの誕生》
1485年頃 テンペラ・キャンバス
172.5x278.5㎝ ウフィツィ美術館(フィレンツェ)

《東方三博士の礼拝》に書き込まれたボッティチェッリの自画像
1475-76年頃
描いたのはフィレンツェで活躍した、サンドロ・ボッティチェリ(1445-1510)。初期ルネサンスを代表する画家です。
この作品は、ボッティッチェリ最盛期に描かれたもので、海の泡から誕生したヴィーナスが、今まさに上陸しようとする神話の一場面です。
貝殻の上での恥じらいのポーズは、古代ローマ彫刻に由来するポーズ!
左には西風の神ゼフュロスと、大地の女神クロリス。彼らによって岸辺へと吹き寄せられたヴィーナスを迎えているのが、時の女神ホーラです。
4級 過去問/Q.12

1480年頃 テンペラ・板
207x319㎝ ウフィツィ美術館(フィレンツェ)
《プリマヴェーラ(春)》 は 、《ヴィーナスの誕生》 とともに、メディチ家からの注文で描いたといわれています。
当時イタリアで権勢を振るったメディチ家は、キリスト教の制約を受ける中世芸術よりも、人間中心のギリシア・ローマ時代の芸術を好みました。
レオナルド・ダ・ヴィンチやラファエロなど多くの芸術家や学者を支援していました。
2つの作品はどちらもテンペラ画 。
テンペラとは「混ぜ合わせる」とう意味のラテン語Temperareが語源です。
主に卵黄と顔料を混ぜ合せた絵具で描かれた絵をテンペラ画といいます♪
19世紀の産業革命で、チューブ絵具がでてくるまでは、漆喰の壁面に描いたフレスコ画や、石膏を下地に塗った板に描いたこのテンペラ画が主でした。
油絵には黄変・暗変がありますが、テンペラ画は経年劣化が少なく、鮮明な色彩を保ちます。
だから半世紀以上も前の絵が美しいままなんですね。
他の答えは…

ジョルジョーネ
1509-1510年 油彩・キャンヴァス
105×136.5㎝ ルーブル美術館(パリ)

ヒエロニムス・ボス
1503-1504年 油彩
220×389㎝ プラド美術館(マドリード)
《快楽の園》についてはこちらを👇 ^^
このテーマは、たくさんの画家が描いています。その一部を!

パウル・ルーベンス
1597-1599年 油彩・板
134×174.5㎝ ナショナル・ギャラリー(ロンドン)

アルフォンス・ミュシャ
1895年
50×32.5㎝ 個人蔵

ルノワール
1913-1914年頃 油彩・キャンヴァス
73×92.5㎝ ひろしま美術館
4級 過去問/Q.13

ミケランジェロ・ブオナローティ
1536年-1541年 フレスコ
1370×1200㎝ システィーナ礼拝堂(バチカン)
《最後の審判》だけは、ミケランジェロ(1475-1564)です。
システィーナ礼拝堂の壁画ですね。
それ以外はすべて、レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452-1519)の作品です。
ミケランジェロとともに、ルネサンスを代表するレオナルドは、絵画、彫刻、建築、自然科学、哲学など、あらゆる分野で革新的な研究を残した「万能の人」。
「ダ・ヴィンチ」とはヴィンチ村出身という意味です。
他の作品も確認しておきます♪

1483年-1486年
油彩・板(19世紀にキャンバスへと移植)
199×122㎝ ルーブル美術館(パリ)

1503年-1505年 油彩・板
77×53㎝ ルーブル美術館(パリ)

1508年頃 油彩・板
168×112㎝ ルーブル美術館(パリ)
4級 過去問/Q.14

1490/1515-1516年頃 赤チョーク・紙
33.3x21.3㎝ トリノ王立図書館(トリノ)
以前、ミケランジェロとの素描を比較した展覧会を観ました。パッと見ただけでは区別しにくい二人の素描も、近くに寄ると斜線の向きではっきりします。
左利きのレオナルドは、左上から右下に向かってのハッチング(平行な線の描き込み)が特徴的です。
下の作品でもよくわかりますね♪

《少女の頭部》
1483-85年 18.1×15.9㎝
シルバーポイント トリノ王立図書館(トリノ)
こちら右利きのミケランジェロは、右上から左下へ!
さらに斜線を交差させたり。👇

《レダと白鳥》
1530年 カーサ・プオナローティ
他の巨匠の自画像も参考に !

1506年頃の自画像
テンペラ・板 47.3×34.8㎝
ウフィツィ美術館(イタリア)

《東方三博士の礼拝》に書き込まれた自画像

《東方三博士の礼拝》
1475-1476年 111×134㎝
ウフィツィ美術館(フィレンツェ)
右端にいますね♪

《最後の審判》に書き込まれた自画像で、中央あたり、キリストに右下に確認できます!
4級 過去問/Q.15

《小椅子の聖母》
1513-14年 油彩・板
φ71㎝ ピッティ美術館(フィレンツェ)
レオナルドやミケランジェロとともに、盛期ルネサンスの三大巨匠の一人 、ラファエロです。
聖母マリアを多く描き、「聖母子の画家」とも呼ばれます。
この作品もキリストと聖母マリアと洗礼者ヨハネ。聖書の中で3人が揃うことはないものの、マリア信仰の高まりとともに、人気の主題となったようです。
この名画にはある誕生秘話が!
ある日、町でラファエロは、2人の子供を連れた美しい母親に出会います。咄嗟にその姿を描きとめようと思ったものの、カンヴァスを持っていなかったため、近くに置かれていたワインの樽を壊し、その丸い蓋に母子の絵を描いたというのです。(瀧澤秀保監修『366日の西洋美術』(株)三才ブックス 2019年)
円形画はトンド(イタリア語で丸い)といいます♪
【参考図書】
知る、わかる、みえる 美術検定4級問題[入門編 introduction] 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社
改訂版 西洋・日本美術史の基本 美術検定1・2・3級公式テキスト 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2019
続 西洋・日本美術史の基本 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2018
増補新装 カラー版 西洋美術史 高階秀爾監修 株式会社美術出版社 2021
366日の西洋美術 (366日の教養シリーズ) 瀧澤秀保監修 株式会社三才ブックス 2019