3級 過去問/Q.238

《生々流転》(部分)
1923年 絹本墨画 画巻.1巻
55.3x4070㎝ 東京国立近代美術館 重要文化財

横山大観(よこやまたいかん/1868-1958)です。
「朦朧体」(もうろうたい)は、日本美術院の画家が用いたぼかしの技法です。
洋画において外光派が隆盛した頃に、日本画でもはっきりとした輪郭線を描かず、墨の濃淡によって形態や構図、空気や光を描こうとしました。
《生々流転》(せいせいるてん)は、長さ4070㎝!
40メートルもある日本一長い画巻です。
👇全体はこちで確認を!
日本画の近代化を目指し、西洋画の技法を研究していたんですね。
しかし線の曖昧さが非難され、揶揄をこめて「朦朧体」と呼ばれます。
ヨーロッパにおいて「印象派」や「フォーヴィスム」のという言葉が、蔑称として、そう名付けられましたが、「朦朧体」というのも、それと同じようなもののようです。
しかし だんだんと改良されていき、大正期には一転、その革新性と影響力が認められていきます。
3級 過去問/Q.239

《落葉》
1909年 永青文庫 重要文化財

菱田春草(ひしだしゅんそう/1874-1911)は、岡倉天心が中心となって設立した日本美術院で、伝統を継承して新しい時代の日本画を目指した画家の1人です。
30代で早逝しますが、晩年には独自の装飾的な画風を示しました。

《黒き猫》
1910年 絹本著色 一幅
151.1×51㎝ 永青文庫(熊もt県立美術館寄託) 重要文化財
👆こちらの《黒き猫》については、4級Q.95でも取り上げています。
3級 過去問/Q.240

鹿鳴館
1883(明治16)年(現存せず) 東京
ジョサイア・コンドル(1852-1920)は、イギリス人建築家です。
工部省工学寮造家学科(工部大学校/現 東京大学工学部の前身)で、教鞭を執るために来日しました。

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Josiah-Conder-Portrait-1.jpg
明治になると、政府の手で建築の急速な近代化が押し進められ、海外から優れた建築家が招かれます。
コンドルはその1人。日本人の近代建築家を育てながら、主要な建物を設計しました。
鹿鳴館(ろくめいかん)は、1883(明治16)年に欧化政策の一環として建設された西洋館です。国賓や外国の外交官の接待や、外国との社交場として使用されました。
1941(昭和16)年に取り壊されています。
コンドルが設計した現存する建築は、

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Tsunamachi_Mitsui_Club_2010.jpg

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Former_Iwasaki_Family_House_and_Garden_2010.jpg
教え子には、東京駅を設計した辰野金吾や、赤坂離宮(現 迎賓館)を設計した片山東熊などがいます。
コンドル自身は、絵師の河鍋暁斎(かわなべきょうさい)から日本の絵画を学んでいます。
3級 過去問/Q.241

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Bank_of_Japan_2010.jpg
日本銀行 本店本館(東京都中央区)
1896(明治29)年竣工 重要文化財

辰野金吾(たつのきんご/1854-1919)は、工部大学校でジョサイア・コンドルに学びます。
卒業後イギリスへ。ロンドン大学で学び、コンドルの師バージェスのもとで働きます。
後に、東京駅や奈良ホテルなどを設計しました。


https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Nara_Hotel05s4s4272.jpg

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Nara_Hotel02st3200.jpg
奈良ホテル 本館玄関

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Nara_Hotel_2014_(4).jpg
奈良ホテル ロビー
同時代に活躍した建築家に、片山東熊(かたやまとうくま/1854-1917)もいます。

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Hyokeikan_-_Tokyo_National_Museum.jpg
東京国立博物館 表慶館
【参考図書】
知る、わかる、みえる 美術検定3級問題[基本編 basic] 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2021
改訂版 西洋・日本美術史の基本 美術検定1・2・3級公式テキスト 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2019
続 西洋・日本美術史の基本 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2018
増補新装 カラー版日本美術史 辻惟雄監修 株式会社美術出版社 2020
芸術教養シリーズ2 飾りと遊びの豊かなかたち 日本の芸術史 造形篇II 栗本徳子編 株式会社幻冬舎 2013
この絵、誰の絵? 100の名作で西洋・日本美術入門 佐藤晃子著 株式会社美術出版社 2019