3級 過去問/Q.71

《朝の散歩》
1785年 ナショナル・ギャラリー(ロンドン)

田園肖像画や、流行服をまとった人物の肖像画で、注目を浴びた画家です。
生涯に700点以上の肖像画を残しています。
軽やかな衣装のひだや、風にそよぐ木々の表情など、みごとに描き出しました。
こちらは、広大な土地の地主夫妻の肖像画です。

《アンドルーズ夫婦像》
1748-49年 油彩・キャンヴァス
69×119㎝ ナショナル・ギャラリー(ロンドン)
イギリスでは17世紀末から18世紀、富裕階級の子弟の大陸旅行(グランド・ツアー)により、絵画が輸入されるようになります。
また1768年のロイヤル・アカデイーの創設により、美術界は活気にあふれ、様々な分野の画家たちが活躍。絵画の質が向上します。
人気があったのは、
歴史画ではなく風景画や肖像画でした。
他に、イギリスで活躍したのは

市民の生活を、芝居の舞台のように描いています。

《当世風結婚 第二場 結婚してまだ日も浅いというのに》
1743年 油彩・キャンヴァス
70×91㎝ ナショナル・ギャラリー(ロンドン)

《当世風結婚 第四場 伯爵夫人は朝から御乱行》
1743年 油彩・キャンヴァス
70×91㎝ ナショナル・ギャラリー(ロンドン)
《当世風結婚》は、落ちぶれた貴族の息子と、裕福な市民の娘の、政略結婚をテーマにした6枚の連作です。

レノルズは、アカデミーの初代会長です。
歴史的な見たてによる肖像画を描きました。

《悲劇のミューズに扮するサラ・シドンズ》
1783-84年 油彩・キャンヴァス
ハンティントン図書館(アメリカ)

《マスター・ヘア》
1788-89年 油彩・キャンヴァス
77×63㎝ ルーブル美術館(パリ)
ロココはイギリスにも伝わりますが、アカデミーは保守的な路線をとります。
フランスの雅宴画に比べると、随分落ち着いていますよね。
「紳士の国」 イギリスでは、浮ついたロココはあまり性に合わなかったようです。
3級 過去問/Q.72

《サン・マルコ広場とその周辺》
1736/38年頃 油彩・キャンヴァス
69×94.5㎝ アルテ・ピナコテーク(ドイツ)
カナレット(1697-1768)
本名は、ジョヴァンニ・アントーニオ・カナール

ヴェネツィア出身の画家で、故郷の街の姿を生き生きと再現しています。
イギリスでは17世紀末~18世紀にかけて、富裕階級の子弟が古典的教養教育の総仕上げとして、ヨーロッパを旅行しました。「グランド・ツアー」ですね。
彼らの最終目的地はローマ。そこで古代の文化を学びました。
旅先では様々な美術作品を収集し、その中にカナレットらが描いた都市景観画も含まれていました。
この時代の、イタリアの他の画家は

ティエポロはバロックの重厚な色彩を、白を基調とした明るいものに変えて描きました。

《スペインの栄光》天井画
1762-66年 フレスコ
約1500×900㎝ マドリード王宮

《惑星と大陸の寓意》
1752年 油彩・キャンヴァス
185×139㎝ メトロポリタン美術館(NY)

ヴェネツィアで活躍した風俗画家。
穏やかな描写の中に、軽妙な風刺を織り交ぜて表現しました。

《薬剤師》
1752年 油彩・キャンヴァス
60×48㎝ カ・レッツォーニコ(ヴェネツィア)

《サイ》
1751年 油彩・キャンヴァス
62×50㎝ カ・レッツォーニコ(ヴェネツィア)
サイよりも、中央の仮面の女性が気になりますね!

都市の景観や廃墟の風景で人気でした。

《コロッセウム》
1757年 エッチング
44×70㎝

《跳ね橋》
1761年 エッチング
54.8×41.5㎝
この時代、古代遺跡の発掘も盛んだったため、それをモチーフに空想的な世界を描きました。
《跳ね橋》は想像上の牢獄で、16枚シリーズの版画です。
3級 過去問/Q.73

《マドリード、1808年5月3日》
1814年 油彩・キャンヴァス
268×347㎝ プラド美術館(マドリード)

《フランシスコ・ゴヤの肖像画》
ヴィセンテ・ロペス・ポルターニャ画
1826年 油彩・キャンヴァス
93×75㎝ プラド美術館(マドリード)
イタリアへ留学後、マドリードで王宮のタピストリー下絵制作に携わります。

《日傘》
1777年 油彩・キャンヴァス
104×152㎝ プラド美術館(マドリード)

《ブラインド・マンズ・バフ》
1789年 油彩・キャンヴァス
プラド美術館(マドリード)
ロココ様式の明るい色彩で、戸外で遊ぶ人々を描き、それが認められカルロス4世の即位とともに宮廷画家となります。1789年 ゴヤ43歳の時でした。
しかしその3年後 、大病を患い聴力を失います……

《カルロス4世の家族》
1800年 油彩・キャンヴァス
280×336㎝ プラド美術館(マドリード)

《着衣のマハ》
1800-1805年頃 油彩・キャンヴァス
97×190㎝ プラド美術館(マドリード)
これらは聴力を失った後の作品です。
ナポレオンのスペイン侵攻や独立戦争など、不安な情勢の中で、問いの作品《マドリード、1808年5月3日》を制作します。
これはフランス軍によるスペイン民衆の虐殺の様子です。
戦争の不条理や、巻き込まれた人々の苦しみを描いています。
聴力を失った後から、次第に内省的になっていったゴヤ。
晩年は、怒りや絶望、狂気など、人間の内面を深く掘り下げた「黒い絵」シリーズを描いています。

《魔女の夜宴》 1821-1823年

《わが子を食らうサトゥルヌス》
1820-1823年 146×83㎝
プラド美術館(マドリード)

《砂に埋もれる犬》
1819-1823年 131×79㎝
プラド美術館(マドリード)
この頃はロマン主義にくくられます。
それにしても、同じ作家とは思えない作風の変化ですね!
3級 過去問/Q.74
ヴェネツィアで活躍したのが、2つ前の問題(Q.72)に出てきた、カナレット(風景画)や、ティエーポロ(歴史画による室内装飾)、ロンギ(風俗画)などです。
ピラネージ(都市景観画・廃墟の風景画)は、ローマで活躍しました。
【参考図書】
知る、わかる、みえる 美術検定3級問題[基本編 basic] 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2021
改訂版 西洋・日本美術史の基本 美術検定1・2・3級公式テキスト 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2019
この絵、誰の絵? 100の名作で西洋・日本美術入門 佐藤晃子著 株式会社美術出版社 2019