3級 過去問/Q.158
《真昼》
1960年 彩色鉄板 235.6×96.2×378.5㎝
ニューヨーク近代美術館
アンソニー・カロ(1924-2013)は、イギリスの彫刻家です。
ヘンリー・ムーアの助手でもありました。
はじめは、人体の動きを表す彫刻を制作していましたが、1959年のアメリカ滞在中、カラー・フィールド・ペインティングや、デイヴィッド・スミス(1906-1965)の、鉄材を溶接した彫刻に接して、強い影響を受けます。
デイヴィッド・スミス 《CUBI VI》
1963年 イスラエル博物館
カロは帰国後、鉄板や鉄骨を彩色した構成的な抽象彫刻を制作し始めます。
そして作品を台座にではなく、直接床に置くようになります。
アンソニー・カロの他の作品はこちらを👇
3級 過去問/Q.159
関係がないのは、ケネス・ノーランドです。
彼はカラー・フィールド・ペインティングの画家です。
1960年代中頃から、イギリスやアメリカで、人工の素材を全く使わず、自然風景を対象に、その自然と一体化する作品をつくる美術家たちが現れました。
その制作活動を「ランド・アート」や「アース・ワーク」と呼びます。
美術館などで展示される、動かすことのできる美術作品ではなく、その土地で制作・発表されるため、動かすことのできない作品です。
そこで「サイトスペシフィック(場の特異性)」という言葉が生まれています。
主な作家が、
《スパイラル・ジェティ》
ユタ州グレートソルト湖で6500トンの岩、土砂を仕様
「ランド・アート」もまた、アートというものを問い直す表現の1つでした。
3級 過去問/Q.160
《ライトニング・フィールド》1977年
縦25本・横16本の格子状に1マイル×1㎞にわたって並べたステンレス鋼400本
ケマード(ディア美術財団コレクション) ニューメキシコ
ウォルター・デ・マリア(1935-2013)は、アメリカの彫刻家です。
ランド・アート(アース・ワーク)の作家で、自然を相手に大規模なインスタレーションを手がけました。
「インスタレーション」とは、室内や屋外の空間全体を採り入れた、大規模な作品のことで、様々な角度から眺めたり、その中を歩き回ったり、作品を1つの環境として体験することができます。
多くの場合、永続的なものではなく、展示期間が終われば解体されてしまいます。
上の作品《ライトニング・フィールド》というインスタレーションは、ニューメキシコ州の原野に、避雷針を林立させて、人為的に落電現象を誘発させたものです。
ステンレスのポール400本を、東西1マイル(約1.6㎞)×南北1㎞の範囲に、220フィート(約67.1m)間隔で、格子状に建ち並んでいます。
ちょっとスケールが大きすぎますね!
それに下図も、デ・マリアの作品なのですが、
《Vertical Earth Kilometer》
ドイツ フリードリヒスプラッツ公園
地表に、直径5㎝ほどの真鍮の棒の端だけが見えています。
この棒はなんと、地底1㎞まで垂直に伸びていると!
どこにあるのか、下のページの動画で確認できますよ。
デ・マリアのその他の作品はこちらを👇
【参考図書】
知る、わかる、みえる 美術検定3級問題[基本編 basic] 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2021
改訂版 西洋・日本美術史の基本 美術検定1・2・3級公式テキスト 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2019
続 西洋・日本美術史の基本 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2018
芸術教養シリーズ7 欧米のモダニズムとその後の運動 近現代の芸術史 造形篇I 林洋子編 株式会社幻冬舎 2013