《釈迦三尊像》 623(推古31)年
銅造・鍍金(メッキ) 国宝
6世紀の中頃、百済(くだら)の聖明王(せいめいおう)によって、日本に仏教が伝えられます。
日本で仏像がつくられ始めたのは飛鳥時代で、ブロンズ鋳造か、木彫の2種類でした。
この《釈迦三尊像》(しゃかさんぞんぞう)の制作者は、鞍作止利(くらつくりのとり)です。
左右対称のかっちりとした形態で、衣文線(えもんせん/衣の輪郭やひだを表す線)の抽象的な表現が特徴で、飛鳥時代の代表的な作例です。頭部と手は 少し大きめですね。
3級 過去問/Q.170
鞍作止利《釈迦三尊像》(中尊)
623(推古31)年 銅造・鍍金
像高86.4㎝ 法隆寺、金堂(奈良) 国宝
杏仁形(きょうにんぎょう・きょうにんけい)とは、「あんずの種のかたち」という意味で、上下のまぶたが弧を描き、アーモンドのような形になっている目を表現する言葉です。
飛鳥時代の仏像のほかに、中国や北魏時代の仏像にもしばしば見られます。
素朴で神秘的な微笑み(アルカイック・スマイル)も特徴です。
3級 過去問/Q.171
《菩薩半跏像(伝如意輪観音)》
7世紀後半(白鳳時代) 木造・彩色
像高126.1㎝ 中宮寺(奈良) 国宝
左足を下ろして座り、右ひじを右ひざについて、指先をほおに当てている像のことです。弥勒菩薩が如来になるため、思いをこらしている姿だといわれています。
この形式はインドを起源として、中国や朝鮮半島を経て日本に伝来しました。
飛鳥時代から白鳳時代にかけて、盛んに造られています。
こちらは奈良・広隆寺の《弥勒菩薩半跏像》です。アカマツ製で、表情も朝鮮半島の仏像を思わせるものです。
《弥勒菩薩半跏像》
像高123.3㎝ 赤松材の一木造
京都・広隆寺
前の問題に出てきた《釈迦三尊像》は、飛鳥時代前期の様式で、かっちりとした感がありました。
しかし、飛鳥時代後期~白鳳時代にかけては、ポーズにも動きが出て、柔らかい様式の仏像になっています。
3級 過去問/Q.172
高松塚古墳(奈良県高市郡明日香村)
現在は一般公開はされておりません。
1972年、奈良県高市郡明日香村で、極彩色の壁画が発見されます。
壁画全景(複製) 関西大学博物館 高松塚古墳壁画再現展示室展示
調査や研究が進められましたが、2004年 内部に発生したカビなどによる壁画の損傷が指摘されます。
恒久保存に向けての解体修理作業が行われ、2020年3月に、13年間に及ぶ修理が完了しています。
3級 過去問/Q.173
1953年(昭和28年) 第29回 内宮式年遷宮
(上が新殿舎 下が旧殿舎)
式年遷宮(しきねんせんぐう)は、20年ごと。
三重県伊勢市の伊勢神宮は、5世紀後半から6世紀後半に創祀(そうし)されたと考えられています。創祀(そうし)とは、神様を最初にまつることで、その神社の起こりのこと。
そして社殿を最初に建てた創建は、7世紀の終わり、680年頃です。
外宮
現在20年ごとに式年遷宮が行われ、建物・神宝・調度を造り改めています。
この制度は、持統天皇(在位690-697)の時に始められたと伝承されているので、もう1300年以上続いていることになります。
まったく同じに造られているわけではなく、今の伊勢神宮は、16世紀の後半に再建された形式を受け継いでいます。
最近では2013年に、62回目の遷宮が行われました。
建築様式は、正面に階段がある「神明造」(しんめいづくり)。高床式です。
ヒノキの素木造り(しらきづくり)で、基礎がなく地面に直接柱を立てる掘立柱(ほったてばしら)や、萱葺の屋根など、最も古い建築様式の1つです。
伊勢神宮のHPで、建築も詳しくわかります👇
【参考図書】
知る、わかる、みえる 美術検定3級問題[基本編 basic] 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2021
改訂版 西洋・日本美術史の基本 美術検定1・2・3級公式テキスト 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2019
続 西洋・日本美術史の基本 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2018
芸術教養シリーズ1 信仰、自然との関わりの中で 日本の芸術史 造形篇I 栗本徳子編 株式会社幻冬舎 2013