3級 過去問/Q.15

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Duomo_of_the_Archdiocese_of_Pisa.jpeg
ピサ大聖堂(イタリア)
ロマネスク美術は、10世紀後半にドイツとフランスから始まり、12世紀にはスペインまで広がります。
古代ローマの影響を強く受けています。
建築の特徴は、重厚な石壁と開口部が小さく暗い内部空間!
屋根が木造から石で円筒形になり、壁は厚く、柱は太くなり、窓は小さめです。
◆クリュニー修道院(フランス)


◆サント=マドレーヌ大聖堂(ヴェズレー)


https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Vezelay-7776-Bearbeitet.jpg
教会堂の内部へと入る扉の上部、半円形の壁面(タンパン)には、キリストや聖書の物語を主題とした彫刻が施されています。
◆サン=クレメンテ教会(現在はカタルーニャ美術館(スペイン)

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Esgl%C3%A9sia_de_Sant_Climent_de_Ta%C3%BCll_(la_Vall_de_Bo%C3%AD)_-_4.jpg

《栄光のキリスト》
この問題文の「イタリアやフランスのラテン系諸国」というところで、「ラテン系」が気になりちょっと確認を。
「ラテン語」はもともと、古代ローマ共和国の公用語で、カトリック教会の公用語としてヨーロッパ各地へ広まったもの!
イタリア語やフランス語、スペイン語、ポルトガル語、ルーマニア語なども、ラテン語から派生した言語でした。
スペインやポルトガルは、新大陸(アメリカ)への植民も盛んだったため、その言葉や文化が中南米で根付いています。
3級 過去問/Q.16

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:(Toulouse)_-_Basilica_Saint-Sernin_nave.jpg
サン・セルナン大聖堂(フランス)
ロマネスク時代最大の教会堂建築
「ローマ風の」という意味ですね!
この時代には聖地巡礼が盛んになり、多数の参拝者の受け入れに適した聖堂が造られるようになりました。
上の画像のサン・セルナン大聖堂(トゥルーズ/フランス)をはじめ、スペインの聖地サンテイァーゴ・デ・コンポステーラへ向かう街道沿いの街には、多くのロマネスク教会が建てられました。
◆サンテイァーゴ教会

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Catedral_de_Santiago_de_Compostela_2010.jpg

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:LocMap_of_WH_Route_of_Santiago_de_Compostela.png
3級 過去問/Q.17

ゴシック建築は、12世紀頃からフランス北部、イギリス、ドイツなど、ヨーロッパ北方を中心に広がりました。
ロマネスクの教会は、ヨーロッパ南部の田舎の方に散在していましたが、ゴシックの大聖堂の多くは都市の中心部に建てられました!
建築技術の向上によって、窓を大きくすることが可能となり、ステンドグラスが発達します。

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Chartres_RosetteNord_121_DSC08241.jpg
そして、光と色彩の神秘的な聖堂や、堂内外を飾る彫刻群。
キリスト教の教えをヴィジュアル化して、人々を信仰に導きました✨

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Chartres.jpg

◆ノートルダム大聖堂(ランス)

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Reims_Kathedrale.jpg

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Reims_Cathedral_-_Central_doorway.JPG
13世紀になると、建築の構造にしばられない自立した彫刻像となります。
◆ケルン大聖堂(ドイツ)

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Cologne_cathedrale_vue_sud.jpg

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Koelner_dom_nordseite_des_chors.jpg
◆サン=ドニ大聖堂(パリ)

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Basilique_St_Denis_fa%C3%A7ade_ouest_St_Denis_Seine_St_Denis_20.jpg

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Basilique_Saint-Denis_chapelle_de_la_Vierge.jpg
どれもこれも美しいですね~
大聖堂 カテドラル※は、より神に近づくために、先の尖った尖塔アーチで天上のイメージを生み出しました。
高さを追求したのもゴシック建築の特徴です!
3級 過去問/Q.18

6月《夏草の刈り入れ》 ランブール兄弟
29x21㎝ 1413-16年 コンデ美術館(フランス
国際ゴシックは、ヨーロッパ各地の宮廷に生まれた共通の華やかな様式です。
14世紀中頃から宮廷や教会が、他国の芸術家に制作を依頼するようになり、芸術家の移動と交流の機会が増えます。
他の地域の芸術が相互に影響し合う中から、国を超えて共通に生まれた様式です。
その特徴は、豪華でエレガント、装飾的で豊かな色彩、宮廷貴族の優雅さや緻密な描写 ・・・ ゴージャスです。
装飾写本など、持ち運びの可能な作品も欧州全土をめぐりました。
この時祷書(じとうしょ)は、中世フランス王国の王ベリー公ジャン1世の要請を受けて、ネーデルラント(現在のオランダ、ベルギー)のランブール兄弟が作成した装飾写本です。
「時祷書」とは、キリスト教徒が用いる祈祷文、賛歌、暦などからなる聖務や、季節ごとの人々の暮らしなどが記されたもの!
中でもこの時祷書は、羊皮紙206葉からなる豪華な装飾写本として、国際ゴシックの傑作で、世界で最も美しい本といわれています。




ロマネスク時代までは、文化の担い手は修道士や聖職者でした。
ゴシック時代になると、裕福な市民もそれに加わり、描かれるモチーフも宗教的なものばかりでなく、世俗のものも取り入れられるようになりました。
動植物や自然描写もまた、国際ゴシックの特色です。
【参考図書】
知る、わかる、みえる 美術検定3級問題[基本編 basic] 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2021
改訂版 西洋・日本美術史の基本 美術検定1・2・3級公式テキスト 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2019
増補新装 カラー版 西洋美術史 高階秀爾監修 株式会社美術出版社 2021
芸術教養シリーズ5 古代から初期ルネサンスまで 西洋の芸術史 造形篇I 水野千依編 株式会社幻冬舎 2013