1830年 油彩・キャンヴァス
260×325㎜ ルーブル美術館(パリ)
作品のタイトルは《民衆を導く自由の女神》ですね。
描いたのは、フランスのロマン主義を代表する、
ウジェーヌ・ドラクロワ(1798-1863)
1830年7月、フランスでは、ブルボン朝最後の王・シャルル10世が、その政策に不満をつのらせた市民によって退位させられるという「七月革命」が起こります。この出来事を題材として描かれた作品です。
正式なタイトルは《民衆を導く自由》で、「女神」ではありません。中央の女性はフランスを象徴する女性像「マリアンヌ」で、 自由の象徴です。
因みにフランスから寄贈されたニューヨークの《自由の女神像》も、英語では《Statue of Liberty(自由の像)》と呼ばれ、さらに正式には《Liberty Enlightening the World(世界を照らす自由)》と言います。
ロマン主義は、新古典主義と対立した芸術運動です。
それまでの神話や歴史を主題とする様式の殻を破って、個性や感情を重視しました。
当時の事件や文学、異国趣味など、いろいろなテーマを感情的に表現しています。
その他の代表作
《キオス島の虐殺》
1824年 油彩・キャンヴァス
419×354㎝ ルーブル美術館(パリ)
《アルジェの女たち》
1834年 油彩・キャンヴァス
180×229㎝ ルーブル美術館(パリ)
ドラクロワの事件を題材とした作品は、表現が生々しく過激であるとして、しばしばスキャンダルにも発展しています。
《民衆を導く自由の女神》は、4級Q.39にも出てきました。
3級 過去問/Q.79
1823-24年 油彩・キャンヴァス
97×127㎝ ハンブルク美術館(ドイツ)
ドイツのロマン主義を代表するのが、
1808年頃 油彩・キャンヴァス
53×41.5㎝ ハンブルク美術館(ドイツ)
《北極海の難破船》は、フリードリヒが50歳の頃の作品です。
凍った海と、それに押しつぶされた船。
当時「風景の悲劇」を発見したと評されています。
フリードリが13歳の時、スケート遊びの最中に氷が割れておぼれます。
助けようとした弟が身代わりに溺死……
ずっと自分を責め続けていたようです。
そう聞くと 作品の見え方が違ってきますね。
フリードリヒは、自然の中に無限の感情と、宗教的な意味合いを含ませた、静寂を感じる風景画を描いています。
その他の代表作
《雲海の上の旅人》
1818年 油彩・キャンヴァス
95×75㎝ ハンブルク美術館(ドイツ)
《人生の諸階段》
1835年 油彩・キャンヴァス
72.5×94㎝ ライプツィヒ美術館(ドイツ)
《人生の諸階段》については、こちらを!👇
3級 過去問/Q.80
《カルタゴを建設するディド》
1815年 油彩・キャンヴァス
155.5×230㎝ ナショナル・ギャラリー(ロンドン)
イギリスのロマン主義を代表するのは、
《自画像》
1799年 油彩・キャンヴァス
74×58㎝ テート・ブリテン(ロンドン)
グランドツアーによって輸入された作品の中で、イギリスの画家たちに大きな影響を与えたのが、クロード・ロランの風景画でした。
覚えていますか?
バロック期に活躍したクロード・ロランです!(3級Q.67)
クロード・ロラン 《シバ女王の乗船》
構図的にも、影響の受け具合がわかりますね!
ターナーは、このロランのような神話や歴史の舞台としての風景画と、イギリス各地を旅しながら、特定の場所の景観としての風景画を描いています。
また、光と色の関係も研究し、自然のさまざまな表情と、その力強さを表現しています。
その他の代表作
《レマン湖とモンブラン》
1802-05年 水彩
90.5×128㎝ イエール・ブリティッシュ・アート・センター(ニューヘブン)
《近代ローマ、カンポ・ヴァチーノ》
1839年 油彩・キャンヴァス
92×122㎝ J・ポール・ゲティ美術館(ロサンゼルス)
《戦艦テレメール》
1838年 油彩・キャンヴァス
91×122㎝ ナショナル・ギャラリー(ロンドン)
《吹雪の中の蒸気船》
1842年 油彩・キャンヴァス
91×122㎝ テート・ブリテン(ロンドン)
《吹雪の中の蒸気船》については、こちらでもう少し詳しく取り上げています。👇
3級 過去問/Q.81
《乾草車》
1821年 油彩・キャンヴァス
130×185㎝ ナショナルギャラリー(ロンドン)
ターナーと並ぶ、イギリスの巨匠
《自画像》
1806年 鉛筆・紙
56×101㎝ テートギャラリー(ロンドン)
18世紀末から19世紀初めに、自然そのものを主役にした「風景画」が登場しますが、コンスタブルはその先駆者です。
イギリス内外を旅行したターナーと違い、故郷のイースト・バーゴルトやソールズベリーなど、ごく限られた地域の風景を描き続けました。
光を反射した水面の白い輝き
背景の美しい緑や小屋
人の営み…
ふるさとの風景の象徴として親しまれているこの作品も、描いた当時イギリスでは、すぐには認められませんでした。
しかし3年後、パリのサロンに出品した際、ドラクロワなどロマン主義の画家たちに絶賛されています!
その他の代表作
《ウィベンホーパーク》
1816年 油彩・キャンヴァス
ナショナル・ギャラリー(ワシントン)
《司教の庭から見たソールズベリー大聖堂》
1823年 油彩・キャンヴァス
87×112㎝ ビクトリア・アンド・アルバート博物館(ロンドン)
《麦畑》
1826年 油彩・キャンヴァス
87×112㎝ ナショナル・ギャラリー(ロンドン)
ほっと癒されますね。
それまで歴史画や神話画よりも格下とされていた「風景画」を、一気に格上げしたコンスタブル。後の印象派の画家たちにも、大きな影響を与えました。
3級 過去問/Q.82
《歓喜の日》
1794-96年 油彩・キャンヴァス
大英博物館(ロンドン)
トマス・フィリップスによる肖像画
1807年
詩人であり画家。
王立美術アカデミーに入学しますが、その形式的な勉強に反発を感じるようになります。
独自の世界を追求し、超越的な想像力で、神秘的な作品を数多く制作しました。
自作の詩に挿絵を付ける彩色版画の技法も開発します。1色刷りが乾いた後に、裏から着色して、多色刷りのように仕上げる技法です。
文学と絵画とを一体化させ、独特の世界を構築しました。
《日の老いたる者》
1794年 油彩・キャンヴァス
36×26㎝
大英博物館(ロンドン)
この作品については👇こちらで簡単に!
ブレイクの自由な表現は、後のアール・ヌーヴォーにも影響を与えています。
もう一人!
ジェームズ・ノースコートによる肖像画
1778年
生れはスイスですが、イギリスで活躍します。
《夢魔》
1781年 油彩・キャンヴァス
102×127㎝ デトロイト美術館
人間に悪夢を見せて、生気を吸い取る悪魔を具像化。
失神したように眠る女性のお腹の上に… 悪魔が…
部屋をのぞく馬の不気味な表情……
この女性については、ヒュースリが一目惚れして結婚を望むも、女性の父親の反対で、叶わなかった恋の相手という説があるとか。
《タイタニアの目覚め》
1793-94年 油彩・キャンヴァス
169×135㎝ チューリッヒ美術館(スイス)
変わり者といわれたフュースリー。先ほどのブレイクの友人でした。
《タイタニアの目覚め》については👇こちらも簡単に!
【参考図書】
知る、わかる、みえる 美術検定3級問題[基本編 basic] 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2021
改訂版 西洋・日本美術史の基本 美術検定1・2・3級公式テキスト 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2019
この絵、誰の絵? 100の名作で西洋・日本美術入門 佐藤晃子著 株式会社美術出版社 2019
サンスから十九世紀末まで 西洋の芸術史 造形篇II 水野千依編 株式会社幻冬舎 2013