3級 過去問/Q.87
1862-63年 油彩・キャンヴァス
208×265.5㎝ オルセー美術館(パリ)
ナダール撮影
1867-70年(35~38歳)頃
「落選展」とは、公式のサロンの審査によって、落選した作品を集めた展覧会です。
当時サロンは、作品を展示できる唯一の場でした。
1863年は落選した作品の多さに、美術家たちからの抗議もあり、皇帝ナポレオン3世が、落選した作家に作品発表の場を与えました。
アカデミーの基準に従わない作品でも、公衆の前に展示することを可能とし、これは後の印象派の展覧会開催に大きな示唆を与えています。
しかしマネのこの作品は、タブ-とされていた実際の女性の裸体を描き、大きな騒ぎとなりました。
3級 過去問/Q.88
1863年 油彩・キャンヴァス
130.5×190㎝ オルセー美術館(パリ)
マネはまたもや問題作を描きます。
神話や物語の中の存在として描かねばならない裸婦でしたが、《草上の昼食》と同様、現実に生きる生身の女性、娼婦の裸体を描きました。
決まりごとを破り不道徳とみなされ、世間の強い批判を浴びました。
《草上の昼食》と《オランピア》についてはこちらを👇
3級 過去問/Q.89
1868年 油彩・キャンヴァス
146×114㎝ オルセー美術館(パリ)
この作品名は《エミール・ゾラの肖像》。
ゾラは、自然主義文学の代表的存在であるフランスの小説家です。『居酒屋』とか『ナナ』が代表作ですね。
エミール・ゾラ
ナダール撮影
作品の右上に描かれている、相撲の浮世絵は、二代目歌川国明の《大鳴門灘右ヱ門》。
当時の日本趣味が感じ取れますね。
その横、半分隠れているのは、ベラスケスの《バッカスの勝利(酔っぱらいたち)》。
歌川国明《大鳴門灘右ヱ門》
江戸時代 木版画
37.5×25.6㎝ ボストン美術館
ベラスケス《バッカスの勝利(酔っぱらいたち)》
1628-29年 油彩・キャンヴァス
100.5×119.5㎝ プラド美術館(マドリード)
そして、マネの《オランピア》ですね!
デスクの上には、実際にゾラが執筆した論文の冊子などもが描かれています。
マネのアトリエには、ゾラのような文学者の他、新進気悦の画家たちが集まります。そのうちの何人かは、1874年にグループ展を開き、のちに印象派と呼ばれる画家たちです。
【参考図書】
知る、わかる、みえる 美術検定3級問題[基本編 basic] 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2021
改訂版 西洋・日本美術史の基本 美術検定1・2・3級公式テキスト 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2019
この絵、誰の絵? 100の名作で西洋・日本美術入門 佐藤晃子著 株式会社美術出版社 2019
サンスから十九世紀末まで 西洋の芸術史 造形篇II 水野千依編 株式会社幻冬舎 2013