3級 過去問/Q.84
《モントフォンテーヌの思い出》
1864年 油彩・キャンヴァス
65×89㎝ ルーブル美術館(パリ)
ジャン=バティスト・カミーユ・コロー(1796-1875)
ナダール撮影
アカデミーが認める伝統的な技法を学びながら、イタリアへの旅行も重ね、新しい風景画を実現していきました。
春と夏には、旅行先で写生を。その自然観察で描いたスケッチをもとに、秋から冬、パリのアトリエで、サロン出品に向けて大画面の風景画に取りかかる、という制作方法をとっていました。
バルビゾン派(フランスのバルビゾンやその周辺に住んで、自然主義的風景画や農民画を描いた芸術家たち)の一人です。
《ヴィル=ダヴレ》
1865年 油彩・キャンヴァス
65×49㎝ ナショナル・ギャラリー(ワシントン)
人生の後半には、現実の風景の写生を土台に、想像上の人物を配した抒情的風景画を描きます。霧がかかったような詩的な絵で、後の印象派に大きな影響を与えました。
産業革命後のヨーロッパは、社会が豊かになり、生活様式が近代化されつつ都市部と地域の格差も生まれた。変化の激しい時代です。
芸術も新古典主義的な価値観や、美化されたロマン主義に対抗して「写実主義」が生まれます。自然や現実を美化することなく、ありのままに描いた芸術様式です。労働者や農民の日常も、忠実に描こうとしました。
目の前の世界の美と真実を、自由に求めようとしたんですね。
3級 過去問/Q.85
《落穂拾い》
1857年 油彩・キャンヴァス
83.5×110㎝ オルセー美術館(パリ)
ナダール撮影
1848年の二月革命の混乱後、パリからバルビゾン村に移り住んだ一人です。農民たちの生活や姿に主題を見出し、彼らを英雄のように描きました。
《晩鐘》
1857-59年 油彩・キャンヴァス
55.5×66㎝ オルセー美術館(パリ)
4級Q.41にもでてきました。
バルビゾン派の画家たちは、産業革命以前の自然と農村を、理想の世界と考えました。
そんな彼らの作品は、都市生活に疲れたパリの人々に、次第に受けいられていきます。
3級 過去問/Q.86
《石割り人夫》
1849-50年 油彩・キャンヴァス
165×257㎝ ドレスデン国立美術館旧蔵(ドイツ・1945年焼失)
《画家のアトリエ-私の芸術的生涯の7年間を要約する現実的寓意画》
1954-55年 油彩・キャンヴァス
361×598㎝ オルセー美術館(パリ)
描いたのは、
ギュスターヴ・クールベ(1819-1877)
過去の美術にとらわれず、身近な現実をありのままに描いた作家です。
下図《オルナンの埋葬》も個展で展示した作品で、クールベの代表作です。
《オルナンの埋葬-オルナンにおける埋葬の歴史画》
1949-50年 油彩・キャンヴァス
オルセー美術館(パリ)
宗教画や歴史画が主流だった当時、作品名を「寓意画」や「歴史画」としながら、伝統的な約束事を無視し、1855年のパリ万博での展示を拒絶されます。
その抗議として、クールベは博覧会場の近くで個展を開催しています。
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【参考図書】
知る、わかる、みえる 美術検定3級問題[基本編 basic] 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2021
改訂版 西洋・日本美術史の基本 美術検定1・2・3級公式テキスト 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2019
この絵、誰の絵? 100の名作で西洋・日本美術入門 佐藤晃子著 株式会社美術出版社 2019
サンスから十九世紀末まで 西洋の芸術史 造形篇II 水野千依編 株式会社幻冬舎 2013