スーラ 《グランド・ジャット島の日曜日の午後》
1891年 油彩・キャンヴァス
75×94㎝ ボストン美術館(アメリカ・ボストン)
この作品《グランド・ジャット島の日曜日の午後》は、すべてが小さな色の点の集まりで表現されています。
スーラは印象派の画家たちの色彩技法を、科学的に研究しました。
色彩理論や色の対比、補色の関係などを学び、絵具をパレット上で混合すると、明度が減ずることに気づきます。
そこで小さい色の斑点を、規則的に並べて(色調分割)、一定の距離を置くと…
配置された色の斑点が、観る側の網膜上で混じり合って(視覚混合)、明るい画面を創り出します。
これが点描技法です!
もうひとり、スーラと並ぶ新印象主義の代表的画家が、
スーラによるポール・シニャックの肖像
1890年 コンテ 個人蔵
《フェリックス・フェネオンの肖像》
1890年 油彩・キャンヴァス
ニューヨーク近代美術館
スーラやシニャックなど、色彩に科学的にアプローチをしたのが「新印象主義(点描主義)」です。
「ポスト印象主義」とは…(ポストは「~の後」を意味します)
印象主義の後に、印象主義の流れをくみながら、独自のスタイルを展開していった芸術家たちのことで、ゴッホやゴーガン セザンヌなどです。
ちょっとわかりにくですね。
3級 過去問/Q.96
セザンヌ 《サント=ヴィクトワール山》
1887年頃 油彩・キャンヴァス
67×92㎝ コートールド・ギャラリー(ロンドン)
セザンヌは、印象派のように自分の感覚に従って自然を描きつつ、しっかりとした画面構成を目指して、構図の研究や抽象化への実験を重ねています。
この作品は 4級Q.51にもでてきました。
「サント=ヴィクトワール山」は、重要なモチーフとして連作に取り組んでいます。
《サント=ヴィクトワール山》
1904年頃 油彩・キャンヴァス
70×92㎝ フィラデルフィア美術館
《サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール》
1904-06年 油彩・キャンヴァス
65.5×81㎝ アーティゾン美術館(東京)
《サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール》
1904-06年 油彩・キャンヴァス
63.5×83㎝ チューリッヒ美術館(スイス)
単純化 抽象化が進んでいますね!
対象物を分解して、違う角度から見たイメージで、再構成したのが「キュビズム」です。
のちにピカソやブラックなど、そのキュビスムを牽引する作家たちに強い影響を与えました。
「フォーヴィスム」はフランスで、
「ブリュッケ」と「青騎士」は、ドイツで生まれた20世紀の新しい流れです。
3級 過去問/Q.97
ポール・セリュジエ 《愛の森の風景(タリスマン)》
1888年 油彩・キャンヴァス
27×21.5㎝ オルセー美術館(パリ)
ポン=タヴェン派は、フランスのブルターニュの村、ポン=タヴェンに集まった、ゴーガンを中心とするベルナールやセリュジエらによるグループ指します。
彼らは、明確な輪郭線と単純化された形態、鮮やかな色彩によって画面を構成。「総合主義」という理論を提唱し、印象派に対抗しました。
大きな色の面に、鮮やかな色彩が特徴です。
《ポン=タヴァンの水車小屋》
1894年 油彩・キャンヴァス
オルセー美術館
《説教の後の光景》
1888年頃 油彩・キャンヴァス
72×91㎝ スコットランド国立美術館
ポール・セリュジエ
《Ferme au Pouldu 》
1890年 油彩・キャンヴァス
72×60㎝ ナショナル・ギャラリー(ワシントン)
エミール・ベルナール
自画像 1897年
《草地のブルターニュの女たち》
1888年 油彩・キャンヴァス
74×92㎝ 個人蔵
そして、ゴーガンに学んだ若い画家たち(セリュジエ、ドニ、ヴュイヤール、ボナールら)が、パリで結成したグループが「ナビ派」と呼ばれます。
3級 過去問/Q.98
ゴーガン《かぐわしき大地》
1892年 油彩・キャンヴァス
91×72㎝ 大原美術館(倉敷)
ゴーガンはタヒチ島で、その大自然とともに、生命感あふれる女性の姿に魅了されました。
この作品《かぐわしき大地》は、豊かな自然とともに、女性の力強い肉体が主役です。
タヒチに住んでからは、素朴で原始的な生活を題材に、紫 赤 緑などの強い色彩で、独特の雰囲気を持つ世界を表現しています。
《マナオ・トゥパパウ(死霊が見ている)》
1892年頃 油彩・キャンヴァス
72×62㎝ オルブライト・ノックス美術館(NY)
《我々はどこから来たのか、我々は何者なのか、我々はどこへ行くのか》
1897年 油彩・キャンヴァス
139×374㎝ ボストン美術館
この作品の詳細はこちらを👇
3級 過去問/Q.99
《糸杉のある麦畑》
1889年 油彩・キャンヴァス
72×91㎝ ナショナル・ギャラリー(ロンドン)
ゴーガンによる《ひまわりを描くファン・ゴッホの肖像》
1888年 油彩・キャンヴァス
73×91㎝ ゴッホ美術館
ゴッホもポスト印象主義の画家です。
オランダに生まれますが、パリに移って印象派を知り、浮世絵にも影響を受けながら、やがて内面の情熱がほとばしるような絵画を描きました。
1888年の春、明るい光を求めて、南フランスのアルルへ。
燃えるような色彩や、うねるような筆致の画風は、アルルへ行ってから編み出しています。
《アルルの寝室》
1888年 油彩・キャンヴァス
72×90㎝ ゴッホ美術館(アムステルダム)
アルルに芸術家たちの理想郷をつくろうと、さまざまな人たちに声をかけますが、やってきたのはゴーガンだけ。
そのゴーガンとの共同生活も、ゴッホが自らの耳を切り落とす事件をもって終わりとなります…
人生の後半は精神的に不安定で、37歳でピストル自殺したゴッホ。
画家として活動した期間は短く、生きている間に高い評価を得ることはありませんでした。
《カラスのいる麦畑》
1990年 油彩・キャンヴァス
50×103㎝ ゴッホ美術館(アムステルダムj)
最晩年の作品です。
【参考図書】
知る、わかる、みえる 美術検定3級問題[基本編 basic] 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2021
改訂版 西洋・日本美術史の基本 美術検定1・2・3級公式テキスト 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2019
この絵、誰の絵? 100の名作で西洋・日本美術入門 佐藤晃子著 株式会社美術出版社 2019
ルネサンスから十九世紀末まで 西洋の芸術史 造形篇II 水野千依編 株式会社幻冬舎 2013