
《阿弥陀如来坐像》 約H284㎝

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Phoenix_Hall,_Byodo-in,_November_2016_-01.jpg
平等院は、11世紀に藤原頼通が別荘として建てたものを、寺に改めたものです。
浄土式伽藍と呼ばれています。美しいですね~
中堂(現在の鳳凰堂)に安置された《阿弥陀如来坐像》を造ったのは、仏師である定朝(じょうちょう)です。
この坐像は、定朝の確証ある唯一の遺作で、用いられた技法は寄木造(よせぎづくり)です。身、腕、脚など、別々に彫って組み合わせています。
全体的に柔らかな曲線で、彫りも浅く、流れる衣文、穏やかな表情。
その優美な表現は平安後期特有のもので、「定朝様」(じょうちょうよう)として、仏像彫刻の主流となりました。
3級 過去問/Q.182

《信貴山縁起絵巻》山崎長者の巻(部分)
31.7x879.9㎝
縁起絵巻は、対象とする社寺の権威を示し、信仰を集めることを目的に制作されました。
平安末期の絵巻物は、主に2つのジャンルに分かれます。
「説話絵巻」と「物語絵巻」です。
「説話絵巻」は、仏教説話や民衆の間で語り継がれた話をまとめたもので、この《信貴山縁起絵巻》(しぎさんえんぎえまき)は、信貴山を再興した修行僧の命蓮(みょうれん)にまつわる説法で、「説話絵巻」のジャンルに含まれます。
(「物語絵巻」については、次の問題で!)
他 「説話絵巻」の代表作

「応天門炎上」部分

何紙にもわたる画面に、出来事の変化が描写されて、躍動感あふれる表現です。
3級 過去問/Q.183

《竹河》
こちらがもう一つのジャンル「物語絵巻」です。文学を題材に絵巻化したものです。
《源氏物語絵巻》は、華やかな色彩や細密な描写で、『源氏物語』の世界を情緒的に表現しています。
金銀の装飾の雅さとともに、吹抜屋台(ふきぬきやたい)という、建物の屋根と天井を描かない表現法や、引目鉤鼻(ひきめかぎばな)という、細長いひとすじの目と、くの字型の鼻、赤い小さな点で唇を表現する日本独特の描写です。
12世紀はまさに絵巻の黄金時代でした。
3級 過去問/Q.184

《両部大径感得図》(部分) 1136年 紙本着色 2幀
各179×143㎝ 藤田美術館(大阪)国宝
「やまと絵」は、平安時代に発達した日本独自の絵画のことで、倭絵や大和絵とも表記されます。
日本の絵画史のうち、宗教画を除く鑑賞的絵画である風景・花鳥画・物語・人物・風俗画などにわたって、平安時代以来用いられています。
中国風の「唐絵」(からえ)に対する呼称です。
この《両部大径感得図》(りょうぶだいきょうかんとくず)は、密教の根本を示す両界曼荼羅のよりどころである大日経と、金剛頂経との伝来をめぐる説話を描いた唐絵です。
894年に遣唐使が廃止され、そこから日本独自の文化が花開きます。仮名文字が普及し、和歌や物語などが生まれました。
一つ前の問題に出てきた《源氏物語絵巻》や《信貴山縁起絵巻》などがやまと絵ですね。
日本の風物や風俗を、雲や霞や水流などで平面的・並列的につなげて、散らし描かれており、とても優美です。
3級 過去問/Q.185

《山水屏風》
京都国立博物館 国宝
「唐絵」(からえ)は、平安時代以来使われた絵画用語で、本来は唐からもたらされた絵、あるいは、中国を題材として描いた日本の絵をさします。
それに対して日本の風景や風俗を描いた絵が「やまと絵」ですね。
東寺に伝来した《山水屏風》(せんずいびょうぶ)は、中国の詩に基づく唐絵ではありますが、春の風景が情緒豊かに描かれ、背後には穏やかな海景が広がっていて、和様の表現が取り入れられています。
3級 過去問/Q.186

12世紀(平安時代)
紙本着色 159.1×74.5㎝
東京国立博物館 国宝
普賢菩薩(ふげんぼさつ)は、法華経を信仰するものを救うために、白い象に乗って出現すると言われています。
この東大寺の釈迦三尊像のように、文殊菩薩(智慧の神様)とともに、釈迦如来の脇侍として並ぶことが多いです。

釈迦三尊像 東大寺
右脇侍(向かって左)が象に乗った普賢菩薩、
左脇侍(向かって右)が獅子に乗った文殊菩薩です。
因みに法隆寺金堂の釈迦三尊像は、

両脇にいるのは、薬王菩薩と薬上菩薩です。
兄弟の菩薩で、ともに良薬を人々に与え、心と身体の病気を治したと言われます。
【参考図書】
知る、わかる、みえる 美術検定3級問題[基本編 basic] 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2021
改訂版 西洋・日本美術史の基本 美術検定1・2・3級公式テキスト 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2019
続 西洋・日本美術史の基本 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2018
芸術教養シリーズ1 信仰、自然との関わりの中で 日本の芸術史 造形篇I 栗本徳子編 株式会社幻冬舎 2013