美術検定3級 過去問/Q.204~208(桃山時代の美術2)

下図は茶の文化を代表する有名な茶室です。これを造ったのはだれですか?
① 千利休
② 村田珠光
③ 足利義政
④ 古田織部
出典:美術検定実行委員会・編『美術検定3級問題集-知る、わかる、みえる』 (株)美術出版社 2021  p.106

下図はこちらで確認を👇

答え ① 千利休

千利休(1522-91)がつくった茶室待庵(たいあん)です。

千利休 待庵

千利休は「侘び茶」の完成者です。

織田信長豊臣秀吉に仕えました。
特に秀吉は、権力者としての威光を保つため、最大限に「茶の湯」を利用しました。黄金の茶室で天皇家をもてなし、全国規模でのイベントなども行っています。

しかし利休が求めたのは、秀吉の黄金趣味とは対極をなす「侘び茶」の世界。簡素簡略の境地わび」の精神を重んじました。

この「待庵」は、わずか2畳という小ささです。

利休は使用する道具においても、独自の美意識を反映させ、それまでの高級で貴重な唐物にかわり、和物(日本製)の道具を持ち込みました。

3級 過去問/Q.205

茶人・千利休の指導を受けながら、その好みを反映した楽茶碗を制作した陶工は誰ですか?
① 道入
② 本阿弥光悦
③ 尾形乾山
④ 長次郎
出典:美術検定実行委員会・編『美術検定3級問題集-知る、わかる、みえる』 (株)美術出版社 2021  p.106
答え ④ 長次郎

長次郎(ちょうじろう)は、桃山時代を代表する京都の陶工です。

利休の指導のもと、楽茶碗(らくちゃわん)をつくります。
轆轤(ろくろ)を使わず、手びねりによって作られ、黒と赤という簡素ながら深い色合いで、侘び茶の美意識を体現したものです。

以後、楽茶碗は「茶の湯」の世界において、特別な地位を占めることになります。

利休和物を取り込んだことによって、「茶の湯」に参加する人々の層が広がりました。

そして茶の湯専用の陶器も作られるようになっていきました。

3級 過去問/Q.206

桃山時代、雪舟の画風に基づきながら一派をなし、毛利家に仕えた画家はだれですか?
① 雲谷等顔
② 海北友松
③ 長谷川等伯
④ 幸村周継
出典:美術検定実行委員会・編『美術検定3級問題集-知る、わかる、みえる』 (株)美術出版社 2021  p.106
雲谷等顔《山水図》左隻

左隻

雲谷等顔《山水図》右隻

《山水図》右隻
1593年 紙本金地著色 智積院(京都)

答え ① 雲谷等顔

雲谷等顔(うんこくとうがん)は、狩野永徳長谷川等伯海北友松(かいほうゆうしょう)らと共に、桃山時代を代表する画人です。

肥前(現 佐賀県)の城主の子だった等顔は、中国地方の戦国大名・毛利輝元から、雪舟のアトリエ「雲谷庵」を与えられ、雪舟画系の再興を命じられました。

雲谷庵
トホホ川, CC BY-SA 3.0 >, via Wikimedia Commons
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Unkokuan.JPG
雲谷庵(復元)

等顔は大徳寺内の黄梅院(おうばいいん)障壁画(重要文化財)など、京都でも活躍しました。

《梅に鴉図》(うめにからすず)

京都国立博物館蔵 重要文化財

《群馬図》

九州国立博物館蔵

雲谷家は江戸時代を通じ、雪舟流の絵画をもって、代々毛利家に仕えています。

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3級 過去問/Q.207

豊臣秀吉とその妻・北政所を祀る御霊屋は、大胆で明快なデザインの蒔絵によって飾られています。その御霊屋があるのはどの寺院ですか?
① 南禅寺
② 高台寺
③ 智積院
④ 大徳寺
出典:美術検定実行委員会・編『美術検定3級問題集-知る、わかる、みえる』 (株)美術出版社 2021  p.106
高台寺
Photo by 663highland, CC BY-SA 4.0 , via Wikimedia Commons
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:170923_Kodaiji_Kyoto_Japan09n.jpg
答え ② 高台寺

京都の高台寺です。

秀吉の正室・北政所(きたのまんどころ・ねね/出家後は高台院湖月心公)が、秀吉の冥福を祈るために建立した寺院です。秀吉とねねの寺ですね。

御霊屋(みたまや)蒔絵(まきえ)は、伝統的な蒔絵とは異なるデザインです。
こちらで確認を👇

蒔絵は漆工芸の技法のひとつで、漆器の表面に、漆で絵や文様を描いて、乾かないうちに金属粉を蒔いて定着させる技法です。

この蒔絵は、黒漆を背景に、金の平蒔絵(文様部分の漆を盛り上げず、平滑に仕上げたもの)を主体に、シンプルに草花などの文様を描いています。

同じこの高台寺には、重要文化財の《竹秋草蒔絵文庫》もあります。

👇高台寺のサイトでいろいろみれます!

少し前の問題に、幸阿弥家(こうあみけ)がでてきましたね。(Q.199
室町時代に足利将軍家の御用を務めた、蒔絵専門の幸阿弥家です。
5代・宗伯(そうはく)の代表作が《桜山鵲蒔絵硯箱》(さくらさんじゃくまきえすずりばこ)でした。

今日の御霊屋の蒔絵は、秀吉に仕えた7代・長晏(ちょうあん)の作品です。シンプルで素敵なデザインです。

おおらかで直接的な表現による蒔絵は「高台寺蒔絵」と称されます。

3級 過去問/Q.208

下図は1549年のザビエル来航以降に描かれた、異国情趣に富んだ屏風ですが、それらはなんと呼ばれていますか?
① 南蛮屏風
② 伴天連屏風
③ 阿蘭陀屏風
④ 唐物屏風
出典:美術検定実行委員会・編『美術検定3級問題集-知る、わかる、みえる』 (株)美術出版社 2021  p.106
狩野内膳《南蛮屏風》右隻

狩野内膳 
16世紀末-17世紀初頭 紙本金地著色

六曲一双 各154.5×363.2㎝ 神戸市立博物館 重要文化財

答え ① 南蛮屏風

16世紀、戦国から桃山時代には、鉄砲やキリスト教が伝えられました。当時日本人は、来舶した西洋人のことを「南蛮人」と呼んで、その異国文化を大変珍しがりました。

その南蛮渡来の風俗を描いた「南蛮屏風」は、桃山から江戸時代初めにかけて、盛んに制作されています。

この作品は、出航する南蛮船と、日本に着いて上陸する場面が、対になって描かれたものです。

上の絵は右隻です。左隻はこちらで確認を👇

描いたのは豊臣家の御用絵師、狩野内膳(かのうないぜん)です。
三代目狩野松栄に学んで、狩野姓を許された絵師です。

【参考図書】
知る、わかる、みえる 美術検定3級問題[基本編 basic] 美術検定実行委員会編  株式会社美術出版社  2021
改訂版 西洋・日本美術史の基本 美術検定1・2・3級公式テキスト 美術検定実行委員会編  株式会社美術出版社  2019
続 西洋・日本美術史の基本 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2018
増補新装 カラー版日本美術史 辻惟雄監修 株式会社美術出版社 2020
芸術教養シリーズ2 飾りと遊びの豊かなかたち 日本の芸術史 造形篇II 栗本徳子編  株式会社幻冬舎  2013

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