美術検定3級 過去問/Q.133~136(エコール・ド・パリ・彫刻)

20世紀初頭のパリに集まった画家たちを「エコール・ド・パリの画家」と呼びますが、それに属さない画家はだれですか?
① モディリアーニ
② カンディンスキー
③ 藤田嗣治
④ パスキン
出典:美術検定実行委員会・編『美術検定3級問題集-知る、わかる、みえる』 (株)美術出版社 2021  p.72
答え ② カンディンスキー

カンディンスキー(1866-1944)は、ロシアに生まれ、ドイツに移住。マルクとともに「青騎士」を創立しました。ドイツ表現主義のところで出てきましたね。

カンディンスキー《縞》

カンディンスキー《縞》
1934年 グッケンハイム美術館(NY)

第一次世界大戦後のパリには、世界中から才能あふれる芸術家が集まります。

フォービスムからキュビスムシュルレアリスムと、次々と芸術運動が広がりましたが、そうした運動に加わらず、独自の表現を追求したのがエコール・ド・パリ(パリ派)」と呼ばれる画家たちです。

モディリアーニはイタリア人、藤田嗣治は日本人、パスキンはブルガリア人で、それぞれ独自の画風を追求したエコール・ド・パリの画家たちです。

アメデオ・モディリアーニ(1884-1920)
モディリアーニ《黄色いセーターを着たジャンヌ・エビュテルヌ》

《黄色いセーターを着たジャンヌ・エビュテルヌ》
1918-19年

藤田嗣治(ふじたつぐはる 1886-1968)

《ジェイ布の寝台の裸婦》
1922年 油彩・キャンヴァス
パリ市立近代美術館

ジュール・パスキン(1885-1930)

《3人の裸婦》
1930年 北海道立近大美術館

3級 過去問/Q.134

次のエコール・ド・パリの画家のうち、パリ生まれはだれですか?
① ユトリロ
② モディリアーニ
③ シャガール
④ 藤田嗣治
出典:美術検定実行委員会・編『美術検定3級問題集-知る、わかる、みえる』 (株)美術出版社 2021  p.72

《コタン小路》 1910-11

答え ① ユトリロ
モーリス・ユトリロ(1883-1955)
ユトリロ

スザンヌ・ヴァラドン(ユトリロの母)によるユトリロの肖像 1921年

フランス、パリの生まれ。

アルコール依存症の治療のため、絵画を始めました。
ほぼ独学でアカデミックな技法と、同時代の素朴派の傾向を兼ね備えた、独自のスタイルを獲得します。

モンマルトルに暮らして、パリらしい雰囲気や風景を描き続けました。

ユトリロの他の作品はこちらを👇

外国からの画家たちは、モンマルトルモンパルナス下町に暮らします。
アウトサイダーとしての疎外感孤独感などを漂わせた、抒情的な風景画や人物画が多くみられます。

マルク・シャガール(1887-1985/ロシア・フランス)

《私と村》
1911年 油彩・キャンヴァス
191×150.5㎝ ニューヨーク近代美術館

3級 過去問/Q.135

下図の《空間の鳥》など抽象彫刻で知られる作家はだれですか?
① ヘンリー・ムーア
② アルベルト・ジャコメッティ
③ コンスタンティン・ブランクーシ
④ マリノ・マリーニ
出典:美術検定実行委員会・編『美術検定3級問題集-知る、わかる、みえる』 (株)美術出版社 2021  p.72

《空間の中の鳥》 1928年

答え ③ コンスタンティン・ブランクーシ
コンスタンティン・ブランクーシ

ブランクーシ(1876-1957)は、ルーマニア出身の彫刻家。
ロダンのアトリエで修業します。

始めプリミティブ(素朴・原始的)な作品を制作していましたが、《空間の中の鳥》のような、対象を極端に単純化抽象化した作品を造るようになり、大理石やブロンズで独自の世界を展開します。

そして《無限柱》という、限りなく空へ伸びていくイメージの作品を制作しています。

ブランクーシ《無限柱》
Mike Master, CC BY-SA 3.0 RO, via Wikimedia Commons
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Coloana_Infinit%C4%83_-_vedere_spre_vest.JPG

トルクジェ市民公園(ルーマニア) H30m

ブランクーシ《無限柱》
https://de.wikipedia.org/wiki/Datei:Romania_20060512_-_Tirgu_Jiu_-_Coloana_fara_sfarsit_02.jpg

ブランクーシは、彫刻家を目指していたモディリアーニの師としても知られています。

他の作品はこちらを👇

3級 過去問/Q.136

イギリスのストーンヘンジや、ユカタン半島のマヤ文化の石彫などからインスピレーションを受けたイギリスの彫刻家はだれですか?
① バーバラ・ヘップワース
② ジャン・アルプ
③ ヘンリー・ムーア
④ ベン・ニコスソン
出典:美術検定実行委員会・編『美術検定3級問題集-知る、わかる、みえる』 (株)美術出版社 2021  p.74

《横たわる人》 1938年

答え ③ ヘンリー・ムーア
ヘンリー・ムーア

ヘンリー・ムーア(1898-1986)は、第二次世界大戦前からイギリスで注目を浴びた現代彫刻家です。古代彫刻ルネサンス彫刻、さらに古代遺跡から影響を受けています。

「横たわる人体」シリーズのあとは、形をさらに単純化して、丸みを帯びた抽象的な人体像へと変化しています。

ヘンリー・ムーアの他の作品はこちらを👇

ムーアの有機的なフォルムは、ずしりと存在感がありますね!

【参考図書】
知る、わかる、みえる 美術検定3級問題[基本編 basic] 美術検定実行委員会編  株式会社美術出版社  2021
改訂版 西洋・日本美術史の基本 美術検定1・2・3級公式テキスト 美術検定実行委員会編  株式会社美術出版社  2019
続 西洋・日本美術史の基本 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2018

芸術教養シリーズ7 欧米のモダニズムとその後の運動 近現代の芸術史 造形篇I 林洋子編  株式会社幻冬舎  2013

error: このコンテンツのコピーは禁止されています。