美術検定3級 過去問/Q.154~157(資本主義リアリズム・コンセプチュアル・アート・アルテ・ポーヴェラ)

リヒターらと共に「資本主義リアリズム」を掲げ、その後も大量消費社会の象徴的イメージを、批判的に作品へ取り入れるドイツの作家はだれですか?
① ポルケ
② ペンク
③ バゼリッツ
④ キーファー
出典:美術検定実行委員会・編『美術検定3級問題集-知る、わかる、みえる』 (株)美術出版社 2021  p.80
ジグマー・ポルケ《Propellerfrau》
Sigmar Polke, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Sigmar_Polke_-_Propellerfrau_(Gem%C3%A4lde).jpg

《Propellerfrau》1969年 

答え ① ポルケ
ジグマー・ポルケ(1941-2010)
ジグマー・ポルケ

ドイツの画家・写真家です。

旧ドイツ領のシュレージエン(現ポーランド)に生まれ、1953年(12歳)に旧西ドイツに渡り、デュッセルドルフ芸術アカデミーで絵画を学びました。

ポルケは、60年代アメリカのポップ・アートを継承して、ドットを用いたり、プリント布地の上に描いたり、色の変化する絵画など、いろいろな手法を開拓しています。

少し前に、ポップアートが出てきましたね。ハミルトンアンディ・ウォーホルなど。
大衆文化や消費、マス・イメージをモチーフにした傾向は、ヨーロッパでも拡大し、国によって違う呼称で展開されました。

イギリスでは「ブリティッシュ・ポップ
フランススイスでは 「ヌーヴォー・レアリスム
ロシアでは「ソッツ・アート
そしてドイツでは「資本主義リアリズム
と呼ばれました。

ポルケの他の作品はこちらを👇

3級 過去問/Q.155

「フォト・ペインティング」の作品シリーズで知られる画家はだれですか?
① アンゼルム・キーファー
② ゲルハント・リヒター
③ ジグマー・ポルケ
④ A・R・ペン
出典:美術検定実行委員会・編『美術検定3級問題集-知る、わかる、みえる』 (株)美術出版社 2021  p.82

写真的絵画による表現の試行
《ドゥインガーの肖像》 1965年

答え ② ゲルハント・リヒター
ゲルハルト・リヒター 
Jindřich Nosek (NoJin), CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Gerhard_Richter,_Prague_(2017).jpg

リヒター(1932-)は、現役のアーティストで、「ドイツ最高峰の画家」と呼ばれています!

1932年旧東ドイツのドレスデン生まれ、同地の芸術アカデミーで絵画を学びます。

しかし社会主義体制に未来を見出せず、ベルリンの壁が建てられる直前に、西側のデュッセルドルフに移住し、デュッセルドルフ芸術アカデミーに入り直します。

新聞や雑誌の写真のイメージを精密に模写して、微妙にぼかした「フォト・ペインティング」や、モザイクのように色を並べた「カラー・チャート」、グレイ(灰色)だけの「グレイ・ペインティン」など、抽象や具象、たくさんの表現手段を用いて、様々な表現に取り組んでいます。

リヒターの他の作品はこちらを👇

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3級 過去問/Q.156

下図はコンセプチュアル・アートの代表的な作家の作品です。作者はだれでしょう?
① ヨーゼフ・ボイス
② イヴ・クライン
③ ソル・ルウィット
④ ジョセフ・コスース
出典:美術検定実行委員会・編『美術検定3級問題集-知る、わかる、みえる』 (株)美術出版社 2021 p.82

《一つの、そして三つの椅子》 1965年

答え ④ ジョセフ・コスース

ジョセフ・コスース(1945-)のこの作品は、

実物の椅子
写真の椅子
辞書に書かれた「椅子」の項目の引用

一緒に展示することで、物体概念の両方を使って、「椅子」についての思考を提起しています。

ミニマリズム(最小限)の美術は、造形的な要素をギリギリまで単純化しましたね。コンセプチュアル・アートの作家たちは、そのミニマリズムをさらに推し進めて、絵画や彫刻という形態をとることなく、純粋に構想や考えそのものを伝えようと試みました。

私たちの思考って… シンプルなことを、とても器用に、複雑な処理をしていますよね。

ジョセフ・コスースの他のはこちらを👇

3級 過去問/Q.157

1960年代にイタリアで始まった美術運動「アルテ・ポーヴェラ」の言葉の意味はなんですか?
① 豊かな芸術
② 貧しい芸術
③ 生の芸術
④ 光の芸術
出典:美術検定実行委員会・編『美術検定3級問題集-知る、わかる、みえる』 (株)美術出版社 2021 p.82
答え ② 貧しい芸術

アルテ・ポーヴェラ」は、イタリア語で「貧しい芸術」を意味します。

一般的な美術の画材を使わず、廃材や自然の石や木、布切れといった、日常にある素材を用いた作品を指します。

アルテ・ポーヴェラを代表する作家が、

マリオ・メルツ(1925-2003)
イタリアの画家。
マリオ・メルツ
Gorup de Besanez, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Merz7.jpg
アルテ・ポーヴェラ 作品
Paul Downey from Berkhamsted, UK, CC BY 2.0 , via Wikimedia Commons
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:KMM_Merz_Igloo.jpg
ヤニス・クネリス(1936-2017)
ローマを中心に活躍。
ヤニス・クネリス
Gabuchan, CC BY-SA 2.0, via Wikimedia Commons
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:JannisKounellis.jpg

アルテ・ポーヴェラという言葉には、「捨てても惜しくはない日常的な事物」というニュアンスが込められています。

作家たちは、作品によって観る側の意識の変革をねらいました。

考えさせられますね。

【参考図書】
知る、わかる、みえる 美術検定3級問題[基本編 basic] 美術検定実行委員会編  株式会社美術出版社  2021
改訂版 西洋・日本美術史の基本 美術検定1・2・3級公式テキスト 美術検定実行委員会編  株式会社美術出版社  2019
続 西洋・日本美術史の基本 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2018
芸術教養シリーズ7 欧米のモダニズムとその後の運動 近現代の芸術史 造形篇I
 林洋子編  株式会社幻冬舎  2013

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