3級 過去問/Q.124

ダダイスムの創始者として知られるトリスタン・ツァラ(1896-1963)。フランスの詩人です。
第一次世界大戦中、中立国だったスイスのチューリッヒに、各国から亡命してきた芸術家が集まります。
トリスタン・ツァラもそのひとり。
下の画像のフーゴ・バルらとダダを結成し、挑発的なパフォーマンスで衝撃を与えました。

キュビスム風の格好をしたフーゴ・バル(ドイツの詩人)
1917年
ダダは、戦争を生み出す社会や文化に強く反発した活動です。
戦争によるあらゆる価値観の崩壊を前に、芸術においても、それまでの美的価値や伝統を否定します。皮肉な視点から無意味なものを表現しようとしました。
ベルリンやパリ ニューヨーク、日本の前衛芸術家たちも呼応して、次々と起こった動きです。新しい表現手法を生み出すとともに「芸術」の範囲を拡張しました。
3級 過去問/Q.126

《メルツバウ》
1933年 スプレンゲル美術館(ドイツ)

ドイツのダダイスト、シュヴィッタース(1887-1948)。
街で拾い集めたものを画面に張りつけた「メルツ」というシリーズを発表します。
中でも上の画像の作品《メルツバウ》は、がらくたを寄せ集めた作った巨大な柱のような作品で、彫刻におけるコラージュのような試みの作品です。

大ダダ見本市
1920年 ベルリン
3級 過去問/Q.127
ジョルジョ・デ・キリコ
《街の神秘と憂鬱》
1914年 個人蔵

イタリアの画家、彫刻家。
未来派のカルロ・カッラらと、1917年に形而上絵画を提唱しました。
形而上(けいじじょう)とは、形のないものとか、形を超えたもの、人の心や神秘的な存在のことです。
作品《街の神秘と憂鬱》をよく見ると、
光と影のコントラスト…
輪を転がす少女…
怪しい影…
扉の開いた車…
奇妙ですよね。
形而上絵画は、夢の中のような現象や景色など、不安定で神秘的な雰囲気が特徴です。
デ・キリコは、1910年代だけで、100点以上の作品を描いています。
現実を超えた内面への関心は、後のシュルレアリズムへ大きな影響を与えました。
その他の作品はこちらを👇 不思議な世界に引き込まれます。
【参考図書】
知る、わかる、みえる 美術検定3級問題[基本編 basic] 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2021
改訂版 西洋・日本美術史の基本 美術検定1・2・3級公式テキスト 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2019
続 西洋・日本美術史の基本 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2018
芸術教養シリーズ7 欧米のモダニズムとその後の運動 近現代の芸術史 造形篇I 林洋子編 株式会社幻冬舎 2013