『シュルレアリスム宣言』 第1巻、第1号
1924年10月1日
ロバート・ドロネーによるカバー
フランスの著述家、詩人。
精神医学を学び、フロイトからの影響もうけています。
シュルレアリスムは、ブルトンを中心にフランスでおこった文学・芸術運動です。
1924年『シュルレアリスム宣言』を起草。既成概念を否定したダダの思想を受け継ぎ、常識や慣習にしばりつけられている人間の意識の奥に隠された、創造力や不思議な力の解放を主張しました。
その後、情報誌『シュルレアリスム革命』も創刊。
無意識の中に潜む、現実ではありえないのに、現実以上にリアルな世界を表現する方法を研究しました。
「シュルレアル」とは「超現実的」という意味です。「シュール」ということばの語源ですね。
ブルトンは、後に「シュルレアリスムの法王」と称されています。
3級 過去問/Q.129
自動描写
1924年 紙にインク
23.5×20.6㎝ ニューヨーク近代美術館
アンドレ・マッソン(1896-1987)
フランス出身の画家。
シュルレアリスムの運動に参加し、自動記述(オートマティスム)を、デッサンや砂絵の制作に適用していました。
「自動記述法」は、文学では、書く内容をまったく考えずに、超高速で思いつくことを、支離滅裂に書いていく方法です。絵画においても、思うまま手が動くままに描き、理性を介入させず、意識下の精神状態を表現する手法です。
シュルレアリスムの流れの中では、他にも様々な表現技法が生み出されています。
マッソンは後にアメリカへ渡り、ポロックら抽象表現主義の画家たちに大きな影響を与えました。
3級 過去問/Q.130
《沈黙の眼》 1933-34年
シュルレアリスムで、「デカルコマニー」という技法を使った代表的な作家が、
ドイツの画家、彫刻家。
ダダイスムを経て、シュルレアリスムの代表的な画家に!
デカルコマニーは、あらかじめ紙に塗った絵具面に紙を押し付けて、写し取る技法です。
こちら👇の横浜美術館さんの動画がわかりやすいです。
エルントスは他に、コラージュやフロッタージュという技法も使っています。
「コラージュ」
紙や写真 雑誌の切り抜き 紐といった平坦な素材を貼り付けて、二次元の画面をつくる技法。
「フロッタージュ」
物の表面に紙を当ててこすり出して、模様を浮き出させる技法
エルンスト《石化した森》1927
これもフロッタージュですね!
エルントスの他の作品は、こちら👇を!
3級 過去問/Q.131
《オランダの室内Ⅱ》 1928年
ジョアン・ミロ(1893-1983)は、シュルレアリストの中でも、解放された内面の表現が独特の作家です。
自動記述(オートマティスム)による、生物の形態を表現したような、ユーモラスな作品を多く描きました。
生活に困窮して、空腹による幻覚をスケッチし、それを抽象的なイメージで超現実的に表現したとも言われます。
ミロの作品も、こちら👇で!
3級 過去問/Q.132
《大家族》
1963年 油彩・キャンヴァス
100×81㎝ 宇都宮美術館(栃木)
ルネ・マグリット(1898-1967)はベルギー出身。
デ・キリコの作品を見たことがきっかけで、シュルレアリストへ。
作品には、身の回りにある 物や風景を、矛盾した状態で画面中に同居させる「デペイズマン」という技法がみられます。
エルンストやミロの「自動記述(オートマティスム)」は、無意識状態で描くことで、偶然に描き出されるものでしたが、「デペイズマン」は、思いがけない組み合わせで、超現実的な光景を意識的に描き出すものです。
マグリットの作品は、こちらも不思議な世界が広がっていますが、知的ですっきり感がありますね。
マグリットのお顔と作品はこちら👇で!
【参考図書】
知る、わかる、みえる 美術検定3級問題[基本編 basic] 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2021
改訂版 西洋・日本美術史の基本 美術検定1・2・3級公式テキスト 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2019
続 西洋・日本美術史の基本 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2018
芸術教養シリーズ7 欧米のモダニズムとその後の運動 近現代の芸術史 造形篇I 林洋子編 株式会社幻冬舎 2013