美術検定3級 過去問/Q.128~132(シュルレアリスム)

1924年に「シュルレアリスム宣言」を起草したのはだれですか?
① ダリ
② バタイユ
③ デュシャン
④ ブルトン
出典:美術検定実行委員会・編『美術検定3級問題集-知る、わかる、みえる』 (株)美術出版社 2021  p.70
シュルレアリスム宣言

『シュルレアリスム宣言』 第1巻、第1号
1924年10月1日
ロバート・ドロネーによるカバー

答え ② ブルトン
アンドレ・ブルトン(1896-1966)
アンドレ・ブルトン

フランスの著述家、詩人。
精神医学を学び、フロイトからの影響もうけています。

シュルレアリスムは、ブルトンを中心にフランスでおこった文学・芸術運動です。

1924年『シュルレアリスム宣言』を起草。既成概念を否定したダダの思想を受け継ぎ、常識や慣習にしばりつけられている人間の意識の奥に隠された、創造力や不思議な力の解放を主張しました。

その後、情報誌『シュルレアリスム革命』も創刊。
無意識の中に潜む、現実ではありえないのに、現実以上にリアルな世界を表現する方法を研究しました。

「シュルレアル」とは「超現実的」という意味です。「シュール」ということばの語源ですね。

ブルトンは、後に「シュルレアリスムの法王」と称されています。

3級 過去問/Q.129

シュルレアリスムの画家の中で、文学における「自動記述法」に最も近い非作為的なデッサン方法を実施したのは、次のうちだれですか?
① ダリ
② マッソン
③ タンギー
④ ベルメール
出典:美術検定実行委員会・編『美術検定3級問題集-知る、わかる、みえる』 (株)美術出版社 2021  p.70

自動描写
1924年 紙にインク
23.5×20.6㎝
 ニューヨーク近代美術館

答え ② マッソン

アンドレ・マッソン(1896-1987)

フランス出身の画家。

シュルレアリスムの運動に参加し、自動記述(オートマティスム)を、デッサンや砂絵の制作に適用していました。

自動記述法」は、文学では、書く内容をまったく考えずに、超高速で思いつくことを、支離滅裂に書いていく方法です。絵画においても、思うまま手が動くままに描き、理性を介入させず、意識下の精神状態を表現する手法です。

シュルレアリスムの流れの中では、他にも様々な表現技法が生み出されています。

マッソンは後にアメリカへ渡り、ポロックら抽象表現主義の画家たちに大きな影響を与えました。

3級 過去問/Q.130

シュルレアリスムの技法の1つで、あらかじめ紙に塗った絵具面に別の紙を押し付けてイメージを写し取る表現法をなんといいますか?
① フロッタージュ
② コラージュ
③ 自動記述
④ デカルコマニー
出典:美術検定実行委員会・編『美術検定3級問題集-知る、わかる、みえる』 (株)美術出版社 2021  p.70

《沈黙の眼》 1933-34年 

答え ④ デカルコマニー

シュルレアリスムで、「デカルコマニー」という技法を使った代表的な作家が、

マックス・エルントス(1891-1976)
マックス・エルントス

ドイツの画家、彫刻家。

ダダイスムを経て、シュルレアリスムの代表的な画家に!

デカルコマニーは、あらかじめ紙に塗った絵具面に紙を押し付けて、写し取る技法です。
こちら👇の横浜美術館さんの動画がわかりやすいです。

エルントスは他に、コラージュフロッタージュという技法も使っています。

コラージュ
紙や写真 雑誌の切り抜き 紐といった平坦な素材を貼り付けて、二次元の画面をつくる技法。

フロッタージュ
物の表面に紙を当ててこすり出して、模様を浮き出させる技法

エルンスト《石化した森》1927

フロッタージュ

これもフロッタージュですね!

エルントスの他の作品は、こちら👇を!

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3級 過去問/Q.131

自動記述を駆使した、スペインのカルターニャ出身の作家はだれですか?
① マックス・エルンスト
② ジョアン・ミロ
③ ハンス・ベルメール
④ パウル・クレー
出典:美術検定実行委員会・編『美術検定3級問題集-知る、わかる、みえる』 (株)美術出版社 2021  p.72

《オランダの室内Ⅱ》 1928年 

答え ② ジョアン・ミロ
ジョアン・ミロ

ジョアン・ミロ(1893-1983)は、シュルレアリストの中でも、解放された内面の表現が独特の作家です。

自動記述(オートマティスム)による、生物の形態を表現したような、ユーモラスな作品を多く描きました。

生活に困窮して、空腹による幻覚をスケッチし、それを抽象的なイメージで超現実的に表現したとも言われます。

ミロの作品も、こちら👇で!

3級 過去問/Q.132

この作品《大家族》の作者はだれですか?
① ダリ
② エルンスト
③ マグリット
④ タンギー
出典:美術検定実行委員会・編『美術検定3級問題集-知る、わかる、みえる』 (株)美術出版社 2021  p.72

《大家族》
1963年 油彩・キャンヴァス
100×81㎝ 宇都宮美術館(栃木) 

答え ③ マグリット
ルネ・マグリット
Lothar Wolleh, CC BY-SA 3.0 , via Wikimedia Commons
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Rene_Magritte_by_Wolleh.jpg

ルネ・マグリット(1898-1967)はベルギー出身。
デ・キリコの作品を見たことがきっかけで、シュルレアリストへ。

作品には、身の回りにある 物や風景を、矛盾した状態で画面中に同居させる「デペイズマン」という技法がみられます。

エルンストミロの「自動記述(オートマティスム)」は、無意識状態で描くことで、偶然に描き出されるものでしたが、「デペイズマン」は、思いがけない組み合わせで、超現実的な光景を意識的に描き出すものです。

マグリットの作品は、こちらも不思議な世界が広がっていますが、知的ですっきり感がありますね。

マグリットのお顔と作品はこちら👇で!

【参考図書】
知る、わかる、みえる 美術検定3級問題[基本編 basic] 美術検定実行委員会編  株式会社美術出版社  2021
改訂版 西洋・日本美術史の基本 美術検定1・2・3級公式テキスト 美術検定実行委員会編  株式会社美術出版社  2019
続 西洋・日本美術史の基本 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2018

芸術教養シリーズ7 欧米のモダニズムとその後の運動 近現代の芸術史 造形篇I 林洋子編  株式会社幻冬舎  2013

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