3級 過去問/Q.112
1905年 サロン・ドートンヌでの展覧会の記事
20世紀の美術の幕開けは「フォーヴ」。「野獣」を意味します。
その由来となったのは、1905年パリで開催された第2回サロン・ドートンヌ展の一室。強烈な色彩で荒々しいタッチの絵画と、ルネサンス風の彫刻とが、ともに展示されているのを見た評論家が、「まるで野獣(フォーヴ)に囲まれたドナテッロのようだ」と非難したことによると言われています。
ポスト印象主義を乗り越えようとしていた画家たちは、「色彩」というものを、感情を表す手段として用いました。
3年ほどの短い期間の運動です。
このフォーヴィスムを率いたのが、
パリの国立美術学校、エコール・デ・ボザールでモローに学んでいます。(妖艶なサロメを描いたモローですね!)
《帽子の女》1905年
《開いた窓》1905年
《緑のすじのあるマティス夫人像》1905年
その他、代表する作家たちは
モローに学び、マティスと同期。
重厚な色彩と黒い輪郭線が特徴。
モローに学び、マティスやルオーと同期。
グレーや薄い青を基調とした風景画。
《フェカンの浜辺》1906年
抑制の利いた色彩と、スピード感のある風景画。
右がヴラマンク
(左はアンドレ・ドラン)
明るい色彩と軽快な線描。音楽や海辺の風景画。
後にキュビスムから古典回帰へ。
左がアンドレ・ドラン
(右はヴラマンク)
《港に並ぶヨット》1905年
《ロンドン橋》1906年
後にキュビスムへ。
《アントワープの近郊》1906年
《ラ・シオタの小さな港》1907年
3級 過去問/Q.116
《ダンスⅠ》(習作)
1909年 油彩・キャンヴァス
256×390㎜ ニューヨーク近代美術館
フォーヴィスムを代表するフランスの画家、マティスですね。
《ダンスⅠ》は、《音楽》と一緒に、モスクワの豪商シチューキンに注文されたものの習作です。
マティスは、色彩の純度を高めながら、秩序とバランスを追求します。
晩年は絵筆よりもハサミを使って、切り紙絵による作品を制作しました。
これって「かたつむり」なんですね!
【参考図書】
知る、わかる、みえる 美術検定3級問題[基本編 basic] 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2021
改訂版 西洋・日本美術史の基本 美術検定1・2・3級公式テキスト 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2019
芸術教養シリーズ7 欧米のモダニズムとその後の運動 近現代の芸術史 造形篇I 林洋子編 株式会社幻冬舎 2013