美術検定3級 過去問/Q.106~109・111(アーツ・アンド・クラフツ・アール・ヌーヴォー・分離派)

ヴィクトリア朝時代のイギリスから始まったアーツ・アンド・フラフツ運動総体に影響を与えなかった人は、次のうちだれ?
① ピュージン
② ラスキン
③ タルボット
④ モリス
出典:美術検定実行委員会・編『美術検定3級問題集-知る、わかる、みえる』 (株)美術出版社 2021  p.60
答え ③ タルボット

影響を与えなかったのは、タルボットですが、
その前に、アーツ・アンド・クラフツ運動を主導したモリスから!

ウィリアム・モリス(1834-1896)
ウィリアム・モリス 写真

詩人であり思想家でありデザイナー。
モダンデザインの父」と言われます。

壁紙や家具などの、植物文様のデザインは有名ですね。

アーツ・アンド・クラフツ運動は、19世紀の産業革命真っただ中のイギリスで、機械による安易な大量生産に異議を唱え、手仕事による「ものづくり」の見直しを提唱した動きです。

この運動によって、新たな装飾芸術の世界が広がりました。

ウィリアム・モリス デザイン

《Daisy Design》1864年 

ウィリアム・モリス デザイン

《青いフルーツ》もしくは《ザクロ》1865-66年

モリス アカンサス

《アカンサス》1875年

この「アカンサスの葉」って、
コリント式の柱頭のモチーフでしたね!

コリント式 柱

この運動からの影響を受けたのが、ピュージンラスキンです。

オーガスタス・ウェルビー・ノースモア・ピュージン(1812-1852)
ピュージン
1864年

ビッグ・ベン(時計台)の設計や、教会建築を多く手掛けた、ゴシックリバイバルを代表する建築家

ピュージン ビッグベン
Txllxt TxllxT, CC BY-SA 4.0 , via Wikimedia Commons
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:London_-_Bridge_Street_-_Big_Ben_1859_Augustus_Pugin.jpg
ビッグ・ベン
ジョン・ラスキン(1819-1900)

ミレイによる《ジョン・ラスキン》
1853-54年 油彩・キャンヴァス
79×68㎝ アシュモレアン博物館(イギリス)

ヴィクトリア時代を代表する美術評論家で、社会思想家で、芸術家のパトロン。
モリスが師と仰いだ人物です。

そしてこの運動に直接影響がなかったのが、タルボットです。

ウィリアム・ヘンリー・フォックス・タルボット(18)
タルボット 写真
1864年

1840年ころにカロタイプと呼ばれるネガ・ポジ法による写真技法を発明!
複製を可能にし、写真を飛躍的に発展させた人物です。

3級 過去問/Q.107

ビアズリーが挿絵を描いた戯曲『サロメ』の作者は?
① オスカー・ワイルド
② アルフレッド・テニスン
③ シャルル・ボードレール
④ アルチュール・ランボー
出典:美術検定実行委員会・編『美術検定3級問題集-知る、わかる、みえる』 (株)美術出版社 2021  p.62
ビアズリー サロメ

《クライマックス》
オスカー・ワイルド『サロメ』の挿絵
1894年

答え ① オスカー・ワイルド

アイルランド出身の詩人・劇作家です。

戯曲『サロメ』は、1891年に書かれたもので、1894年出版の英語版において、ビアズリーの挿絵が使用されています。

オーブリー・ビアズリー(1872-1898)
ビアズリー

アール・ヌーヴォーを代表する作家です。

19世末のヨーロッパの挿絵のにおいて、とても重要な作家です。
まだ黒一色刷りだったこの時代、繊細な曲線と大胆な黒面の使い方で、その効果を最大限に引き出しました。

ビアズリーのこの形式と、『サロメ』についてのセンセーショナルな解釈は、ヨーロッパの象徴主義の画家たちに、大きな影響を与えています。

ビアズリー

オスカー・ワイルド『サロメ』の挿絵
1894年

オスカー・ワイルド『サロメ』の挿絵
1894年

ビアズリー『アーサー王の死』の挿絵

トマス・マロリー『アーサー王の死』の挿絵
1894年

ビアズリー 黒猫

エドガー・アラン・ポー 『黒猫』の挿絵

アール・ヌーヴォーは「新しい芸術」を意味します。

19世紀の世紀末、フランスを中心に広まった装飾美術で、モリスによるアーツ・アンド・クラフツ運動が発祥です。

滑らかな曲線有機的なフォルムや、ジャポニスムの影響などが特徴です。

特に家具や調度品、本の装丁やグラフィック作品などが、大きな影響を受けました。
現代のグラフィックアートの原点でもあります。

それにしても、見事な「線」ですね!

3級 過去問/Q.108

ポスター《ディヴァン・ジャポネ》や《ムーラン・ルージュ》の作者は?
① ミュシャ
② トゥルーズ=ロートレック
③ ビアズリー
④ シェレ
出典:美術検定実行委員会・編『美術検定3級問題集-知る、わかる、みえる』 (株)美術出版社 2021  p.62
ロートレック《ディバン・ジャポネ》

《ディヴァン・ジャポネ》
1892年 リトグラフ
81×62㎝ トゥールーズ=ロートレック美術館(アルビ/フランス)

答え ② トゥルーズ=ロートレック

ロートレック(1864-1901)ですね!

ロートレック 写真

ポスターを、初めて芸術と結びつけました。
モンマルトルのキャバレーの常連となって、娼婦踊り子の姿を描きます。

浮世絵の研究などによる大胆な構図は、高い評価を受け、ポスター画家として人気を集めました。

ロートレック ムーラン・ルージュ

《ムーラン・ルージュ》
1891年 リトグラフ
191×117㎝ トゥールーズ=ロートレック美術館(アルビ/フランス)

《ムーラン・ルージュ》は、パリの有名キャバレーのためにつくられた宣伝用ポスターで、ロートレックの出世作です。

もう少し詳しくはこちらを👇

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3級 過去問/Q.109

エミール・ガレは、どの動向を代表する工芸家ですか?
① アール・デコ
② アール・ヌーヴォー
③ ジャポニスム
④ ピュリスム
出典:美術検定実行委員会・編『美術検定3級問題集-知る、わかる、みえる』 (株)美術出版社 2021  p.62
エミール・ガレ ランプ
エミール・ガレ
答え ② アール・ヌーヴォー
エミール・ガレ(1846-1904)
エミール・ガレ 写真

アール・ヌーヴォーを代表する、フランスのガラス工芸家です。

1878年のパリ万博で受賞すると、それ以降の万博でも様々な賞を受賞し、名声を確立します。

ジャポニスムの影響も大きかったようです。
芸術性の高いガラス作品です。

ガレ ガラス花器

1884-89年
アムステルダム国立美術館

ガレ 花器
Musée des Beaux-Arts de Dijon, CC BY-SA 2.0 FR , via Wikimedia Commons
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Emile_Galle-Vase_mg_1814.jpg

1900年
ディジョン美術館(フランス)

ガレ 

1901年
ナンシー派美術館(フランス)

植物生き物のモチーフが、冷たいはずのガラスに、温かみと親しみやすさを与えています。美しいですね。

3級 過去問/Q.111

ウィーン分離派やクリムトの影響を受けたこの絵の作者は?
① シーレ
② ココシュカ
③ クビーン
④ マルク
出典:美術検定実行委員会・編『美術検定3級問題集-知る、わかる、みえる』 (株)美術出版社 2021  p.62
ココシュカ 自画像

《自画像》
1917年 油彩・キャンヴァス
79×62㎝ フォン・デア・ハイト美術館(ヴッパタール)

答え ② ココシュカ
オスカー・ココシュカ(1886-1980)
オスカー・ココシュカ
Erling Mandelmann / photo©ErlingMandelmann.ch
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Oskar_Kokoschka_(1963)_by_Erling_Mandelmann_-_3.jpg

ココシュカは、クリムトやシーレと並ぶオーストリアを代表する画家。
ウィーン工芸学校で学んで、ウィーン分離派の影響を受けて作家となりました。
荒々しく不安を描きたてるような作風です。

ココシュカのその他の作品はこちらを👇

ウィーン分離派は、1897年にクリムトを中心に結成。

美術界の保守的な体制に反対したグループで、新しい造形表現を追求しました。
装飾的な表現が特徴です。

グスタフ・クリムト(1862-1918)
クリムト《接吻》

《接吻》
1908-09年 油彩・キャンヴァス
180×180㎝ オーストリア・ギャラリー(ウィーン)

作品についてはこちらも👇

ウィーン分離派には、画家や彫刻家の他に、建築家も加わり、1898年分離派館が完成します。
設計は、メンバーでオーストリアの建築家オルブルヒ
近代建築を思わせるシンプルさに、金色の植物装飾や月桂樹のドームです。

オルブルヒ 分離派館
Gryffindor, CC BY-SA 3.0 , via Wikimedia Commons
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Secession_Vienna_June_2006_017.jpg
オルブルヒ 分離派館 入口
Gryffindor, CC BY-SA 3.0 , via Wikimedia Commons
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Secession_Vienna_June_2006_005.jpg

もう一人、オーストリアの画家、
エゴン・シーレ(1890-1918)

エゴン・シーレ ほおづきのある自画像

《自画像》
1912年 油彩・キャンヴァス
32×40㎝ レオポルド美術館(ウィーン)

ココシュカと共に、ウィーン分離派の影響を受けながらも、独自の絵画を追求しました。

【参考図書】
知る、わかる、みえる 美術検定3級問題[基本編 basic] 美術検定実行委員会編  株式会社美術出版社  2021
改訂版 西洋・日本美術史の基本 美術検定1・2・3級公式テキスト 美術検定実行委員会編  株式会社美術出版社  2019
この絵、誰の絵? 100の名作で西洋・日本美術入門  佐藤晃子著  株式会社美術出版社  2019
ルネサンスから十九世紀末まで 西洋の芸術史 造形篇II 水野千依編 株式会社幻冬舎 2013