3級 過去問/Q.144
《いったい何が今日の家庭をこれほどに変え、魅力的にしているのか?》 1956年
リチャード・ハミルトン(1922-2011)は、イギリスでポップ・アートの先駆けとなる作品をつくった作家です。
戦後のイギリスで、アメリカ的消費生活や文化が高まります。その大衆文化と美術とのかかわりを、ハミルトンは肯定的にとらえ注目しました。
長いタイトルの上の作品《いったい何が今日の家庭をこれほどに変え、魅力的にしているのか?》は、1956年開催の展覧会「これが明日だ」展を象徴するイメージとして制作されたもの。
ポップ・アート誕生を告げる作品です。
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1950年代のアメリカは、家庭には電化製品、街には新聞や雑誌、映画やジャスなどの音楽、広告などがあふれていました。
その大衆文化・大量消費文化から生まれた美術が「ポップ・アート」です。
芸術は個人の内部にあるものではなく、皆のものとして、日常の中に氾濫するイメージをアート化しました。
アメリカでは1950年代末頃、ウォーホルやリキテンスタインが登場し、大きな影響を与えています。
シルクスクリーンを使って、有名人や日用品の写真イメージを、何度も大量に反復生産しました。
《マリリン》1964年
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漫画や広告からのイメージを、拡大した画面を制作します。
《絶望して》1963年
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3級 過去問/Q.145
コラージュとは、紙や写真、雑誌の切り抜きなど、平坦な素材を使って2次元の画面を作る技法です。
ピカソやブラックが、キュビスムの実験の課程で使い始めて、その後ダダやシュルレアリスムの作家たちが、独自に発展させた技法でしたね。
ハミルトンはこのコラージュ作品で、マス・メディアからイメージの断片を寄せ集めました。
3級 過去問/Q.146
《3枚の旗》
1958年 蜜蝋・キャンヴァス
77.8×115.6×11.7㎝ ホイットニー美術館(NY)
アメリカの画家、ジャスパー・ジョーンズ(1930-)です。
1950年代の美術は、抽象表現主義が全盛を極めていましたが、同じ頃もう一つの新しい流れである「ネオ・ダダ」が起こっていました。
ネオとは、ギリシア語で「新しい」、英語では「復活~」という意味があります。
少し前に、便器を作品「泉」として、既製品を美術に取り込んだデュシャンが出てきましたね。既成概念を一掃したダダイストでした。
1950年代中ごろから、そのデュシャンの考えを応用した作品を作り始めたのが、ジョーンズです。
作品の中に国旗や数字 標識など、普段人が見慣れているものを採り入れいました。
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もう一人、ジョーンズと共にネオ・ダダの主役を担ったのが、
《ベッド》 1955年 ニューヨーク近代美術館
身の回りのものを寄せ集めて、コラージュの効果も利用した立体絵画を制作しています。
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このネオ・ダダの流れが、1960年代のポップ・アートへと繋がっていきます。
【参考図書】
知る、わかる、みえる 美術検定3級問題[基本編 basic] 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2021
改訂版 西洋・日本美術史の基本 美術検定1・2・3級公式テキスト 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2019
続 西洋・日本美術史の基本 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2018
芸術教養シリーズ7 欧米のモダニズムとその後の運動 近現代の芸術史 造形篇I 林洋子編 株式会社幻冬舎 2013