美術検定3級 過去問/Q.144~146(ポップ・アート・ネオ・ダダ)

下図の作者はだれですか?
① ヴァザルリ
② コスース
③ ニコルソン
④ ハミルトン
出典:美術検定実行委員会・編『美術検定3級問題集-知る、わかる、みえる』 (株)美術出版社 2021  p.76

《いったい何が今日の家庭をこれほどに変え、魅力的にしているのか?》 1956年

答え ④ ハミルトン

リチャード・ハミルトン(1922-2011)は、イギリスポップ・アートの先駆けとなる作品をつくった作家です。

戦後のイギリスで、アメリカ的消費生活や文化が高まります。その大衆文化と美術とのかかわりを、ハミルトンは肯定的にとらえ注目しました。

長いタイトルの上の作品《いったい何が今日の家庭をこれほどに変え、魅力的にしているのか?》は、1956年開催の展覧会「これが明日だ」展を象徴するイメージとして制作されたもの。

ポップ・アート
誕生を告げる作品です。

ハミルトンのその他の作品はこちらを👇

1950年代のアメリカは、家庭には電化製品、街には新聞雑誌映画やジャスなどの音楽広告などがあふれていました。

その大衆文化・大量消費文化から生まれた美術が「ポップ・アート」です。

芸術は個人の内部にあるものではなく、皆のものとして、日常の中に氾濫するイメージをアート化しました。

アメリカでは1950年代末頃、ウォーホルリキテンスタインが登場し、大きな影響を与えています。

アンディ・ウォーホル(1929-1987)
アンディー・ウォーホル

シルクスクリーンを使って、有名人日用品の写真イメージを、何度も大量に反復生産しました。

《マリリン》1964年

ウォーホルのその他の作品はこちらを👇

ロイ・リキテンスタイン(1923-1997)
リキテンスタイン
Eric Koch for Anefo, CC BY-SA 3.0 , via Wikimedia Commons
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Roy_Lichtenstein.jpg

漫画広告からのイメージを、拡大した画面を制作します。

《絶望して》1963年

リキテンスタインのその他の作品はこちらを👇

3級 過去問/Q.145

Q.144で主に使われている技法はなんですか?
① アサンブラージュ
② コラージュ
③ デカルコマニー
④ フロッタージュ
出典:美術検定実行委員会・編『美術検定3級問題集-知る、わかる、みえる』 (株)美術出版社 2021  p.78
答え ② コラージュ

コラージュとは、紙や写真、雑誌の切り抜きなど、平坦な素材を使って2次元の画面を作る技法です。

ピカソブラックが、キュビスムの実験の課程で使い始めて、その後ダダシュルレアリスムの作家たちが、独自に発展させた技法でしたね。

ハミルトンはこのコラージュ作品で、マス・メディアからイメージの断片を寄せ集めました。

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3級 過去問/Q.146

この作品のような地図や国旗をモチーフとする作品で知られる、アメリカの画家はだれでしょう?
① ジャスパー・ジョーンズ
② ジャクソン・ポロック
③ ロバート・ラウシェンバーグ
④ アンディ・ウォーホル
出典:美術検定実行委員会・編『美術検定3級問題集-知る、わかる、みえる』 (株)美術出版社 2021  p.78

《3枚の旗》
1958年 蜜蝋・キャンヴァス
77.8×115.6×11.7㎝ ホイットニー美術館(NY)

答え ① ジャスパー・ジョーンズ
ジャスパー・ジョーンズ

アメリカの画家、ジャスパー・ジョーンズ(1930-)です。

1950年代の美術は、抽象表現主義が全盛を極めていましたが、同じ頃もう一つの新しい流れである「ネオ・ダダ」が起こっていました。

ネオとは、ギリシア語で「新しい」、英語では「復活~」という意味があります。

少し前に、便器を作品「」として、既製品を美術に取り込んだデュシャンが出てきましたね。既成概念を一掃したダダイストでした。

デュシャン《泉》
デュシャン《泉》

1950年代中ごろから、そのデュシャンの考えを応用した作品を作り始めたのが、ジョーンズです。
作品の中に国旗や数字 標識など、普段人が見慣れているものを採り入れいました。

ジョーンズのその他の作品はこちらを👇

もう一人、ジョーンズと共にネオ・ダダの主役を担ったのが、

ロバート・ラウシェンバーグ(1925-2008) 
Jack de Nijs for Anefo, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Robert_Rauschenberg_(1968).jpg
Jack de Nijs for Anefo, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Robert_Rauschenberg_(1968).jpg

《ベッド》 1955年 ニューヨーク近代美術館

身の回りのものを寄せ集めて、コラージュの効果も利用した立体絵画を制作しています。

ラウシェンバーグのその他の作品はこちらを👇

このネオ・ダダの流れが、1960年代のポップ・アートへと繋がっていきます。

【参考図書】
知る、わかる、みえる 美術検定3級問題[基本編 basic] 美術検定実行委員会編  株式会社美術出版社  2021
改訂版 西洋・日本美術史の基本 美術検定1・2・3級公式テキスト 美術検定実行委員会編  株式会社美術出版社  2019
続 西洋・日本美術史の基本 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2018
芸術教養シリーズ7 欧米のモダニズムとその後の運動 近現代の芸術史 造形篇I
 林洋子編  株式会社幻冬舎  2013

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