3級 過去問/Q.56
答え ➃ ゆがんだ真珠
誇張や劇的な効果を追求した17世紀の美術全体を指して「バロック」といいます。
ポルトガル語で「ゆがんだ真珠」を示す「バロッコ」を語源とする説が有力ですが、「ばかげた」「規範から外れた」という否定的な意味で使われていました。様式的価値が再認識されたのは、19世紀末になってからです。
バロック美術の特徴は、明暗法による強いコントラストで、ドラマチック。
「線的」なルネサンスに対して「絵画的」といわれます。
カラヴァッジョの肖像
1621年(50歳)頃
カラヴァッジョ《聖マタイの召命》
1600年 油彩・キャンヴァス
322×340㎝ サン・ルイジ・ディ・フランチェージ教会(ローマ)
それまでのキアロスクーロ(明暗のコントラスト)よりも、さらに強烈な明暗法であるテネブリズムを使って、激しい感情を表現しました。
この《聖マタイの召命》が完成した時、当時ローマにいた画家たちは、その革新性に驚愕したそう。
バロック美術は、ルネサンスの伝統を受け継ぎながら、もっと劇的な効果のあるものを目指して、イタリアからヨーロッパ中に広まっていきました。
3級 過去問/Q.57
レンブラント《夜警》
1642年 油彩・キャンヴァス
363×437㎝ アムステルダム国立美術館
答え ③ 17世紀に流行した肖像画の一種で、強い明暗対比が劇的雰囲気を生んだ
レンブラント(1606-1669)は、ネーデルラント(現オランダ)の画家です。
フェルメールやルーベンス、ベラスケスなどと共に、バロック絵画を代表する画家のひとりです。
レンブラント・ファン・レイン
《自画像》1640年
この《夜警》というタイトルは、正式には 《フランス・パニング・コック隊長とウィレム・ファン・ライテンブルフ副隊長の市民隊》です 。
H363xW437㎝と巨大な集団肖像画で、レンブラントの最高傑作です。
当時は裕福な市民がお金を出し合い、画家に肖像画を描いてもらうのがステイタスでした。レンブラントは、アムステルダムの自警団から依頼を受け、この作品を描いています。
作品保護のために塗られたニスの経年劣化による黒ずみで、いつしか夜の風景と認識され、《夜警》 の通称で呼ばれるようになりました。実際は火縄銃手組合による市民自警団が、日中の巡回に出動する場面です。
斜め上から差し込む光の影を作って、隊長と副隊長と少女の主要人物3人を浮かび上がらせています。
よく見ると少女の腰には 鶏が…!? 鶏の爪は火縄銃組合の象徴だったようです。
20世紀の洗浄作業でニスが取れると、昼を描いた絵であることが明らかになりました。
2019年~2021年にかけての美術館内での公開修復作業が完了しています。
エリアス ゴットロブ オスマンによる
バッハの肖像画 1746年
ユストゥス・スステルマンスによるガリレオの肖像画
1636年 ウフィツィ美術館
3級 過去問/Q.58
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Versailles-Chateau-Jardins02.jpg
ベルサイユ宮殿
答え ① 聖堂や宮殿で、仰観的遠近法を駆使した天井画が盛んに制作された
フランス ベルサイユ宮殿は、バロック建築の代表作です。豪華な建物と広大な美しい庭園です。
鏡の間
ヘラクレスのサロンの天井画
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Plafond-Salon_d%27Apollon-Versailles.jpg
アポロのサロンの天井画
イリュージョニズムを用いた天上画が多く制作されました。
バロック建築は、ほかの芸術を含めた総合芸術となり、都市や庭園の景観に組み込まれて、巨大な全体像を形成するようになります。
イタリアでは、彫刻と建築でベルニーニ(1598-1680)が活躍しました。
瞬間の表情や動作をとらえて、迫力に満ちた彫刻をつくりました。
自画像 1635年
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Cornaro_chapel_in_Santa_Maria_della_Vittoria_in_Rome_HDR.jpg
《聖テレサの法悦》
1647-52年 サンタ・マリア・デッラ・ヴィットーリア聖堂(ローマ)
建築では、サン・ピエトロ大聖堂前広場を設計しています。壮大な列柱廊が代表作です。
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:St_Peter%27s_Square,_Vatican_City_-_April_2007.jpg
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:079ColonnatoSPietro.jpg
サン・カルロ・アッレ・クァットロ・フォンターネ聖堂のファサードを設計しています。
動きのある波打つような曲線で、独特の雰囲気です。
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:San_Carlo_alle_Quattro_Fontane_-_Front.jpg
3級 過去問/Q.59
《聖ペテロの磔刑》
1601-02年 キャンヴァス・油彩
230×175㎝ サンタ・マリア・デル・ポポロ聖堂(ローマ)
答え ② カラヴァッジョ
Q.56でバロックの始まりを告げる画家と紹介した、カラヴァッジョの作品です。
カラヴァッジョは風俗画や静物画とともに、宗教画の人間を現実感あふれる庶民の姿で描きました。
カラヴァッジョの肖像
1621年(50歳)頃
この作品《聖ペテロの磔刑》は、キリストの弟子である聖ペテロが、逆さまに十字架にかけられる瞬間を描いています。
ペテロは「自分はキリストと同じ形で死ぬに値しない」として、逆さ磔(さかさはりつけ)を望んだそう。
人物は、神聖というより「生身の人間」として描かれ、筋肉の重みや苦しみが生々しく伝わってきます。
さらに、暗闇の中で人物だけを浮かび上がらせる光が、場面の緊張感と劇的な臨場感を際立たせています。
もう一人、イタリア・バロックの代表的な画家として、カラッチ(1560-1609)がいます。
カラッチは、ルネサンスの巨匠を理想とした、調和のとれた美しさを追い求めました。
アンニバーレ・カラッチ
自画像 1593年
《バッカスとアリアドネの勝利》
1597-1605年頃 パラッツオ・ファルネーゼ(ローマ)
【参考図書】
知る、わかる、みえる 美術検定3級問題[基本編 basic] 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2021
改訂版 西洋・日本美術史の基本 美術検定1・2・3級公式テキスト 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2019
増補新装 カラー版 西洋美術史 高階秀爾監修 株式会社美術出版社 2021
この絵、誰の絵? 100の名作で西洋・日本美術入門 佐藤晃子著 株式会社美術出版社 2019


