美術検定3級 過去問/Q.137~140(20世紀の建築)

ドイツ工作連盟が1914年にケルンで行った展示会で、このガラスのパヴィリオンを設計したのはだれですか?
① ブルーノ・タウト
② ヴェルタ―・グロピウス
③ アンリ・ヴァン・デ・ヴェルデ
④ ペーター・ベーレンス
出典:美術検定実行委員会・編『美術検定3級問題集-知る、わかる、みえる』 (株)美術出版社 2021  p.74
ブルーノ・タウト ガラスのパヴィリオン

ガラス・パヴィリオン(グラスハウス) 1914年

答え ① ブルーノ・タウト
ブルーノ・タウト

ブルーノ・タウト(1880-1938)は、ドイツの建築家。

ドイツ工作連盟(DWB)は、1907年ミュンヘンで結成された総合デザイン集団です。工場で大量生産される製品に適した「インダストリアル・デザイン」の必要性を課題に、設立されました。

1914年、最初の連盟展で、近代建築の方向性を示します。

タウトガラスのパヴィリオンを、
グロピウス工場と事務所のモデル建築を、
ヴァン・デ・ヴェルデ劇場を建てます。

時代は「規格化」の方向へと確実に向かっていくことになります。

ベーレンス ドイツ工作連盟ポスター

ベーレンス 展覧会ポスター 1914年

19世紀末には、鉄筋コンクリートが考案され、板ガラスが普及します。
20世紀には、それらが一般的に使われるようになり、建築構造が根本的に変わります。鉄骨が屋根を支えるので、総ガラス張りや壁面に、自由な造形性を持たせることが可能になりました。

建築は単独の「芸術品」から、都市や地域と密接にかかわる「環境の一部」になっていきました。

タウトは53歳の時、ナチスの迫害から逃れ、日本インターナショナル建築会からの招きを受け、日本に3年半滞在しています!

3級 過去問/Q.138

バウハウスで教鞭を執ったことがある作家はだれでしょう?
① ブランクーシ
② カンディンスキー
③ フォートリエ
④ ムーア
出典:美術検定実行委員会・編『美術検定3級問題集-知る、わかる、みえる』 (株)美術出版社 2021  p.74
バウハウス ヴァイマル校
© R.Möhler, CC BY 3.0 , via Wikimedia Commons
ヴァイマル校
答え ② カンディンスキー
ワシリー・カンディンスキー(1866-1944)
カンディンスキー 写真

ドイツ表現主義のところで、青騎士の創立メンバーとして出てきましたね。

カンディンスキー On White Ⅱ

カンディンスキー《On White Ⅱ》1923年

カンディンスキーは、著書で抽象画を理論化したことで「抽象絵画の創始者」といわれています。

第一次世界大戦勃発以来、ロシアへ帰国していましたが、総合芸術教育に興味があったためドイツへ戻り、1922年、56歳の時から、バウハウスで先生となります。

バウハウスは、1919年にドイツで設立された、美術・デザイン・建築などの総合的な学校です。新しい秩序を求め、徹底的な工業実習や、簿記や見積もりなどの実務も教えました。

そして芸術理論を教えていたのが、
 
 カンディンスキー(絵画)
の他に、
 イッテン(色彩学)
 クレー(絵画)
 シュレンマー(総合芸術)
 モホイ=ナジ(写真・タイポグラフィ)などです。

3級 過去問/Q.139

バウハウスの最初の校長はヴァルター・グロピウスですが、最後の校長になった人はだれですか?
① ハンネス・マイヤー
② ミース・ファン・デル・ローエ
③ ワシリー・カンディンスキー
④ マルセル・プロイヤー
出典:美術検定実行委員会・編『美術検定3級問題集-知る、わかる、みえる』 (株)美術出版社 2021  p.74
バウハウス デッサウ校

デッサウ校

答え ➁ ミース・ファン・デル・ローエ

バウハウスは、3人の校長によって先導されます。
いずれも建築家です。

1919年の創立者
ヴァルター・グロピウス(1883-1969)
当初は、手仕事重視のモリス的発想。
ヴァルター・グロピウス
1928年 2代目
ハンネス・マイヤー(1889-1954)
機能主義的考えに。
ハンネス・マイヤー
Unknown authorUnknown author, CC BY-SA 4.0 , via Wikimedia Commons https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/c/c9/Hans_Emil_Meyer_OB.F06496c_cropped.jpg

本格的な建築課程を設置します。

そして1930年、最後の3代目が
ミース・ファン・デル・ローエ(1886-1969)
建築教育が最も中心的になります。
ミース・ファン・デル・ローエ

「Less is more.」(より少ないことは より豊かなこと)
「God is in the detail」(神は細部に宿る) などでも有名な建築家です。

バウハウスは何度か移転しますが、1933年ナチスによって廃校に…

しかしミースらはアメリカへ亡命します。教育法はアメリカで受け継がれ、現代の建築・デザイン他、あらゆる分野に影響を与えています。

ミースは、ル・コルビュジェと、フランク・ロイド・ライトと共に、20世紀建築の三大巨匠です!

3級 過去問/Q.140

下図は「旧帝国ホテルのロビー」ですが、この建築の設計者はだれですか?
① アントニン・レーモンド
② フランク・ロイド・ライト
③ ブルーノ・タウト
④ ル・コルビュジエ
出典:美術検定実行委員会・編『美術検定3級問題集-知る、わかる、みえる』 (株)美術出版社 2021  p.74
帝国ホテル ロビー
答え ② フランク・ロイド・ライト
フランク・ロイド・ライト

フランク・ロイド・ライト(1867-1959)は、アメリカの建築家。

建物の水平性を強調し、室内の壁を取り除いて、空間を有機的に連続させる「プレーリー・ハウス」を生み出します。

アメリカの住宅建築に、新しい展開をもたらしました。

ロビー邸 フランク・ロイド・ライト設計
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Robie_House.jpg
ロビー邸

日本でも、弟子の遠藤新らと旧帝国ホテルや、山邑家住宅などの設計に携わりました。

旧帝国ホテルの正面玄関部は、博物館明治村(愛知)に移築されています。

帝国ホテル正面玄関部 明治村

【参考図書】
知る、わかる、みえる 美術検定3級問題[基本編 basic] 美術検定実行委員会編  株式会社美術出版社  2021
改訂版 西洋・日本美術史の基本 美術検定1・2・3級公式テキスト 美術検定実行委員会編  株式会社美術出版社  2019
続 西洋・日本美術史の基本 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2018

芸術教養シリーズ7 欧米のモダニズムとその後の運動 近現代の芸術史 造形篇I 林洋子編  株式会社幻冬舎  2013

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