3級 過去問/Q.212
《彦根屏風》1624-44年
彦根城博物館(滋賀) 国宝
間違っているのは作者です。この作品の作者は不明です。
《風俗図(彦根屏風)》(ひこねびょうぶ)には、印章・落款がありませんが、確かな技術に裏打ちされており、狩野派の絵師による、密やかな仕事ではないかと考えられています。
①の答えにあります「琴棋書画」(きんきしょが)とは、「琴を弾いて 囲碁を打ち 書を書いて 絵を描く」ということで、中国では四芸と呼ばれ、文人の嗜みとされました。
この《彦根屏風》の中では、その四芸が、当時の日本の俗なものに置き換えられています。
琴 座頭の弾く三味線
棋 若衆と遊女が興じる双六
書 遊女がしたためる書
絵 背景の屏風絵
このように、題材を古典文学や古事から取って、時代を超えて当世風に表現する手法を「見立て」といいます。別のものに置き換えて表現することですね。
わかりやすところでは、枯山水なども、白砂や小石の文様で、水の流れを「見立て」ていますね。
考えてみると、和歌も俳句も歌舞伎も… 日本の芸術の分野は、見立てがいっぱいです。
こちらの男性… 何しているのか気になりますね。
それにしても着物のデザインも、いろいろオシャレで、文様が見事に描かれています。
3級 過去問/Q.213
《鶴図下絵和歌巻》(部分)
18世紀(江戸時代) 紙本墨画淡彩
57.2×103㎝ 個人蔵 重要文化財
こちらの男性… 何しているのか気になりますね。
本阿弥光悦(ほんあみこうえつ)は、刀剣の研ぎ・浄拭・鑑定を家職とする本阿弥家の分家生まれです。
近衛信伊(このえのぶただ)、松花堂昭乗(しょうかどうしょうじょう)とともに「寛永の三筆」の1人で、蒔絵や陶芸も残しています。
この《鶴図下絵和歌巻》(つるずしたえわかかん)は、宗達が描いた千羽鶴の上に、光悦が三十六歌仙の和歌を散らした作品です。
因みに「三筆」(さんぴつ)とは、日本の書道史上の能書のうちで、最も優れた3人のこと。
平安時代初期の、空海・嵯峨天皇・橘逸勢の3人がはじまりで、寛永の三筆、黄檗の三筆、幕末の三筆、明治の三筆と、違う時代にも、それぞれ活躍した3名がいます。
寛永の三筆の残りの2人は、
「松花堂」とは、晩年に構えた草庵の名称で、松花堂弁当の名も これに由来するようです。
三筆について詳しくはこちらを👇
3級 過去問/Q.214
《風神雷神図屏風》
17世紀前半 紙本金地著色 二曲一双
157×173㎝ 建仁寺(京都)
俵屋宗達は、俵屋という絵屋を経営していた、町の絵師でした。
そして琳派の祖ですね。
宗達から、尾形光琳、酒井抱一と続く琳派は、直接の師弟関係を持ちません。時代を隔てながら、私淑(ひそかに師と仰ぐこと)によって受け継がれた画派です。
とりわけ宗達の代表作である、建仁寺の《風神雷神図屛風》は、琳派芸術の規範となっています。
作品の詳細は、4級Q.78を!
《風神雷神図屏風》 東京国立博物館蔵 重要文化財
《風神雷神図屏風》 出光美術館
酒井抱一は宗達ではく、光琳の作品を模写しています。
光琳と抱一は 4級Q.86で、もう少し詳しく取り上げています。
町人層から世に出る作家も生まれ、江戸時代の美術が豊かになっていきますね。
【参考図書】
知る、わかる、みえる 美術検定3級問題[基本編 basic] 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2021
改訂版 西洋・日本美術史の基本 美術検定1・2・3級公式テキスト 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2019
続 西洋・日本美術史の基本 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2018
増補新装 カラー版日本美術史 辻惟雄監修 株式会社美術出版社 2020
芸術教養シリーズ2 飾りと遊びの豊かなかたち 日本の芸術史 造形篇II 栗本徳子編 株式会社幻冬舎 2013
この絵、誰の絵? 100の名作で西洋・日本美術入門 佐藤晃子著 株式会社美術出版社 2019