美術検定3級 過去問/Q.196~199(室町時代後期の美術)

室町時代に興った狩野派の始祖はだれですか?
① 永徳
② 元信
③ 正信
④ 探幽
出典:美術検定実行委員会・編『美術検定3級問題集-知る、わかる、みえる』 (株)美術出版社 2021  p.102
狩野正信《山水図》 

狩野正信《山水図》
九州国立博物館蔵 重要文化財

答え ③ 正信

狩野派は、狩野正信(かのうまさのぶ)をとする、漢画系の流派です。
正信は、足利義政の御用を務めました。

後を継いだ 二代目元信(もとのぶ)は、工房を主宰します。
たくさんの作画依頼に応える体制を整え、幕府の御用を担いながら、朝廷から寺社、町衆に至るまで、広く顧客を獲得します。狩野派隆盛の基盤を築きました。

狩野元信《四季花鳥図》(部分) 
大仙院(京都) 重要文化財

以後約400年間狩野派は画壇に君臨します。

3級 過去問/Q.197

下図《清水寺縁起絵巻》の作者はだれですか?
① 狩野正信
② 狩野元信
③ 土佐光信
④ 土佐三起
出典:美術検定実行委員会・編『美術検定3級問題集-知る、わかる、みえる』 (株)美術出版社 2021  p.102
土佐光信《清水寺縁起絵巻》部分

《清水寺縁起絵巻》(中巻・部分)
1517年 紙本著色全3巻 
中巻33.9×1894.6㎝ 東京国立博物館 重要文化財

答え ③ 土佐光信

土佐光信(とさみつのぶ)です。室町後期の画家で、朝廷の絵所預(えどころあずかり/絵師の長)として、土佐派の基盤を確立しました。

土佐派は、やまと絵系です。

光信は、柔らかい筆線と穏やかな色彩のやまと絵の世界に、漢画系の描写を採り入れました。

この作品《清水寺縁起絵巻》には、光信だけでなく、息子の光茂の筆も混ざっているといいます。

室町時代前期は、和と漢はそれぞれの世界でしたが、後期になると、その境界は混ざり合っています。

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3級 過去問/Q.198

下図は雪舟が描いた山水図ですが、その季節はいつですか?
① 春
② 夏
③ 秋
④ 冬
出典:美術検定実行委員会・編『美術検定3級問題集-知る、わかる、みえる』 (株)美術出版社 2021  p.102
雪舟等楊《秋冬山水図》(冬景)

雪舟等楊
15世紀末-16世紀初期 紙本墨画 2幅 
各47.7×30.2㎝ 東京国立博物館 国宝

答え ④ 冬

雪舟(せっしゅう)は、室町時代に活躍した水墨画家・禅僧です。

雪舟 自画像

自画像

備中国(岡山)に生れ、京都で学び、その後山口大内氏のもとへ。
へも渡り、水墨画の最新画風を持って帰国し、あらゆるジャンルの作品にいどみます。

この作品は、《秋冬山水図》(しゅうとうさんすいず)、2幅のち「」を主題にして描かれた方です。

画面中央にすっと引かれた縦線には、抽象的なものがありますが、これこそが画面の構成を際立たせる、重要な要素となっています。

硬質な筆致独自の空間表現が、雪舟様式の特徴です。

こちらが秋の方です。

雪舟《秋冬山水図》(秋景))

雪舟等楊《秋冬山水図》(秋景)
東京国立博物館 国宝

3級 過去問/Q.199

室町時代後期、足利将軍家の御用を務めた蒔絵師の家はどれですか
① 幸阿弥家
② 相阿弥家
③ 観阿弥・世阿弥家(歓世家)
④ 能阿弥家
出典:美術検定実行委員会・編『美術検定3級問題集-知る、わかる、みえる』 (株)美術出版社 2021  p.102
答え ① 幸阿弥家

幸阿弥(こうあみ)家です。

幸阿弥家は、室町時代後期から蒔絵(まきえ)制作を専門とする家系で、足利将軍の御用を務めました。

代表作《桜山鵲蒔絵硯箱》(さくらさんじゃくまきえすずりばこ)は、幸阿弥家五代・宗伯(そうはく)の作品です。

幸阿弥家はその後も、豊臣家徳川家と、御用を務めています。

《桜山鵲蒔絵硯箱》は、こちらで確認を👇
モノクロですが、画像があります。

Q.195 でも出てきた、能阿弥・芸阿弥・相阿弥は、総合的コーディネーターでしたね。

幸阿弥家蒔絵専門です。
観阿弥世阿弥は親子で、こちらは
他にも後藤家金工

彼らは既成の身分秩序を超越した僧体で、「~阿弥」と名乗りました。

【参考図書】
知る、わかる、みえる 美術検定3級問題[基本編 basic] 美術検定実行委員会編  株式会社美術出版社  2021
改訂版 西洋・日本美術史の基本 美術検定1・2・3級公式テキスト 美術検定実行委員会編  株式会社美術出版社  2019
続 西洋・日本美術史の基本 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2018
増補新装 カラー版日本美術史 辻惟雄監修 株式会社美術出版社 2020
芸術教養シリーズ2 飾りと遊びの豊かなかたち 日本の芸術史 造形篇II 栗本徳子編  株式会社幻冬舎  2013

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