美術検定3級 過去問/Q.225~227(江戸時代中・後期の美術3)

茶人・金森宗和の指導で仁和寺の門前に窯を開き、色彩豊かな絵付け茶陶を制作したのはだれですか?
① 古田織部
② 長次郎
③ 尾形乾山
④ 野々村仁清
出典:美術検定実行委員会・編『美術検定3級問題集-知る、わかる、みえる』 (株)美術出版社 2021  p.114
野々村仁清《色絵藤花茶壺》

《色絵藤花文茶壺》(いろえふじばなもんちゃつぼ)

答え ④ 野々村仁清

野々村仁清(ののむらにんせい/生没年不詳)は、京焼色絵陶器の完成者と言われています。

茶人・金森宗和(かなもりそうわ)の指導で、京都・仁和寺(にんなじ)の門前にを開きました。

器物という立体的画面を活かして、金彩・銀彩を交え、色彩豊かに絵画的装飾です。

野々村仁清《色絵若松図茶壺》
日本語: 仁清 (Kiyoshi Masash), CC BY-SA 3.0 , via Wikimedia Commons
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:NINSEI_PINE_TEA_CONTAINER.JPG

《色絵若松図茶壺》文化庁 重要文化財

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《銹絵山水図水指》 東京国立博物館

また「銹絵」(さびえ)と呼ばれる、水墨画のような絵をつけた茶器も焼いています。

そして、国宝 《色絵雉香炉》(いろえきじこうろ/石川県立美術館)などに見られる彫塑的表現まで、造形力でも評価されています。

《色絵雉香炉》の作品はこちらで確認を👇

仁清窯や御室焼(おむろやき)と呼ばれて、公家や寺社、上層町衆に好まれました。

3級 過去問/Q.226

「紅型」の説明として適切なものを選んでください。
① 江戸時代に完成された手描きで行われる模様染め。防染糊を駆使して多彩で絵画的な表現を生み出す。
② 沖縄に伝わる型染技法の1つ。白生地に型紙を使って防染用の糊を置き、模様部分を染料や顔料で着色する。
③ 金銀の箔や漆を置いた和紙を極細に裁断したものを経糸として用いる織物技法。佐賀藩の御殿女中たちの手芸として発達。
④ 型紙を用いて布一面に繊細な文様を染め出す技法。江戸時代に武家の式服や裃などに用いられた。
出典:美術検定実行委員会・編『美術検定3級問題集-知る、わかる、みえる』 (株)美術出版社 2021  p.114
紅型

紅型

答え ② 沖縄に伝わる型染技法の1つ。白生地に型紙を使って防染用の糊を置き、模様部分を染料や顔料で着色する。

紅型(びんがた)は、沖縄を代表する伝統的な染色技法のひとつです。
日本と中国の、技法の相互交流によって発展し、上級官僚の衣服として、18世紀頃に隆盛を極めました。

模様部分を染めてから、そこに糊伏せ(防染の工程)をして、地色を染める複雑な工程を経て作られます。

紅型
Bruno Cordioli for Bingata a Milano, CC BY-SA 2.0, via Wikimedia Commons
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Bingata.jpg

型染の江戸小紋とともに、繰り返される文様の面白さを生み出す技法です。

琉球びんがた事業協同組合さんのサイトで、「紅型」をくわしく見ることができます。👇

ちなみに友禅は、絵画のように自由に絵柄を表現します。

《白縮緬地鷹衝立模様友禅染絞縫小袖》
(しろちりめんじ たかついたてもよう ゆうぜんぞめ しぼりぬい こそで)
18世紀 東京国立博物館

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3級 過去問/Q.227

下図の作品の、燕子花の「葉」の部分に用いられた技法はどれでしょう?
① 蒟醤(きんま)
② 螺細
③ 蒔絵
④ 平文
出典:美術検定実行委員会・編『美術検定3級問題集-知る、わかる、みえる』 (株)美術出版社 2021  p.114
尾形光琳《八橋蒔絵螺鈿硯箱》

尾形光琳《八橋蒔絵螺鈿硯箱》
18世紀 木製漆塗 27.3x19.7xH14.2㎝
東京国立博物館 国宝

答え ③ 蒔絵

蒔絵(まきえ)は、漆工芸技法のひとつで、漆器の表面にで絵や文様を描いて、乾かないうちに金属粉を蒔いて定着させる技法です。

漆の木の樹液を原料にしたは、塗料としてだけではなく、その粘着性をいかして多様な装飾技法に用いられました。

他には、鮑貝(あわび)や夜行貝の輝く真珠層を、形に切って貼り付ける螺鈿(らでん)や、

螺鈿
ColBase: 国立博物館所蔵品統合検索システム , CC BY 4.0, via Wikimedia Commons
小紋螺鈿印籠
ColBase: 国立博物館所蔵品統合検索システム , CC BY 4.0, via Wikimedia Commons
螺鈿 印籠
ColBase: 国立博物館所蔵品統合検索システム , CC BY 4.0, via Wikimedia Commons

金属の薄板を貼り付ける平文(ひょうもん)、彫りを入れて色漆を埋め込む(きんま)などがあります。

【参考図書】
知る、わかる、みえる 美術検定3級問題[基本編 basic] 美術検定実行委員会編  株式会社美術出版社  2021
改訂版 西洋・日本美術史の基本 美術検定1・2・3級公式テキスト 美術検定実行委員会編  株式会社美術出版社  2019
続 西洋・日本美術史の基本 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2018
増補新装 カラー版日本美術史 辻惟雄監修 株式会社美術出版社 2020
芸術教養シリーズ2 飾りと遊びの豊かなかたち 日本の芸術史 造形篇II 栗本徳子編  株式会社幻冬舎  2013
この絵、誰の絵? 100の名作で西洋・日本美術入門  佐藤晃子著  株式会社美術出版社  2019

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