美術検定3級 過去問/Q.161~164(パフォーマンス・アート・ヴィデオ・アート)

下図はイギリスの作家G&Gの「生きた彫刻」シリーズですが、G&Gとは何の略ですか?
① ジョージ&ジョージ
② ギガ―&ジョージ
③ ギルモア&ジョージ
④ ギルバート&ジョージ
出典:美術検定実行委員会・編『美術検定3級問題集-知る、わかる、みえる』 (株)美術出版社 2021  p.84

《歌う彫刻》
1971年 ソナベンド・ギャラリー(NY)

答え ④ ギルバート&ジョージ 

ギルバート・プロッシュ(1943-)と、ジョージ・パサモア(1942-)です。

ギルバート&ジョージ
DarTar: original portrait cropped by Beyond My Ken (talk) 21:45, 11 August 2018 (UTC), CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Gilbert_%26_George_2007_crop.jpg

ロンドンの美術大学の彫刻科在学中に知り合った二人は、常にペアで創作活動をしており、ギルバート&ジョージとして知られるパフォーマンス・アーティストです。

生きた彫刻」シリーズは、1969年(26、27歳)から発表し始めました。

スーツ姿の2人が、顔に金属粉を塗って、何時間も彫刻のように一定のポーズを取り続けたり、曲に合わせて何時間もパントマイム風の身振りを演じたりします。

芸術を個人的な「生」の次元に結び付けて、作家自らの身体によって芸術作品を演じています。

3級 過去問/Q.162

ヴィデオ・アートを開拓した作家は?
① ヨーゼフ・ボイス
② ナム・ジュン・パイク
③ ジョセフ・コスース
④ ハンス・ハーケ
出典:美術検定実行委員会・編『美術検定3級問題集-知る、わかる、みえる』 (株)美術出版社 2021  p.84

《テレビ・チェロ》 1971年

答え ② ナム・ジュン・パイク

ナム・ジュン・パイク(1932-2006)は、韓国出身のヴィデオ・アートの先駆者です。

ナム・ジュン。パイク

日本の東大にも留学して美学を専攻しています。

ドイツでは、作曲法や現代音楽を学び、渡米後はエレクトロニック・アート(電子芸術)を提唱。技術と芸術の統合をめざしました。

ヴィデオ・アート」は、映像音声を扱う芸術ジャンルのひとつです。
1960年代前半に、テレビ受像機を使った映像実験から始まります。

この作品《テレビ・チェロ》は、アメリカの女性チェリスト、シャ―ロッテ・モーマンと共演したものです。

モーマンは、パイクの弾くピアノに合わせて、チェロの代わりに、彼の映像が流れるモニターを弾く行為を繰り返したそう。

ヴィデオ・アートは、撮影・編集によって、ヴィデオテープに完結させた作品形態と、インスタレーションとに大別できます。

ナム・ジュン・パイクのその他の作品はこちらを👇

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3級 過去問/Q.163

ヨーゼフ・ボイスが提唱した芸術理念を一言で表す言葉はどれですか?
① 生きた彫刻
② 公共彫刻
③ 環境彫刻
④ 社会彫刻
出典:美術検定実行委員会・編『美術検定3級問題集-知る、わかる、みえる』 (株)美術出版社 2021 p.84

ヨーゼフ・ボイス 《7000本の樫の木プロジェクト》  1982-87年

答え ④ 社会彫刻
ヨーゼフ・ボイス(1921-86)
ヨーゼフ・ボイス
Ronald Feldman Fine Arts, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Beuys-Feldman-Gallery.jpg

米国講演シリーズ「西洋人のためのエネルギー計画」のオフセットポスター
1974年 
ロナルド・フェルドマン・ギャラリー

芸術の命題は、理想的な社会を彫刻することである」という社会彫刻を提唱します。

すべての人間は芸術家であり、社会そのものが芸術作品になるべきと考え、社会を巻き込むかたちで、さまざまな作品制作を行いました。

7000本の樫の木プレジェクト」は、ドイツのカッセル市内の緑化による都市再生プロジェクトです。

さらにその概念に基づき、芸術を教育政治の分野にまで拡張し、「自由国際大学を創設

さらには、平和政党「緑の党」結成にも関わった作家です。

3級 過去問/Q.164

「フルクサス」の主要メンバーでもあったヨーゼフ・ボイスは、どこの国の作家ですか?
① スイス
② ドイツ
③ オーストラリア
④ オランダ
出典:美術検定実行委員会・編『美術検定3級問題集-知る、わかる、みえる』 (株)美術出版社 2021 p.84
答え ➁ ドイツ

ドイツ生まれのボイス。

終戦後に、デュッセルドルフ芸術アカデミーで彫刻を学びます。
後に、ここで11年間教授を務めました。

木やフェルト、脂肪や銅、蜜蝋などの素材を繰り返し用いて、立体作品を制作。
フルクサスにも一時期参加して、メッセージ性の強いイヴェントパフォーマンスを行いました。

ヨーゼフ・ボイスのその他の作品はこちらを👇

お疲れさまでした。3級の西洋美術史に関する問題はここまでです。
次は日本美術史の問題へ!

【参考図書】
知る、わかる、みえる 美術検定3級問題[基本編 basic] 美術検定実行委員会編  株式会社美術出版社  2021
改訂版 西洋・日本美術史の基本 美術検定1・2・3級公式テキスト 美術検定実行委員会編  株式会社美術出版社  2019
続 西洋・日本美術史の基本 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2018
芸術教養シリーズ7 欧米のモダニズムとその後の運動 近現代の芸術史 造形篇I
 林洋子編  株式会社幻冬舎  2013

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