3級 過去問/Q.161
《歌う彫刻》
1971年 ソナベンド・ギャラリー(NY)
ギルバート・プロッシュ(1943-)と、ジョージ・パサモア(1942-)です。
ロンドンの美術大学の彫刻科在学中に知り合った二人は、常にペアで創作活動をしており、ギルバート&ジョージとして知られるパフォーマンス・アーティストです。
「生きた彫刻」シリーズは、1969年(26、27歳)から発表し始めました。
スーツ姿の2人が、顔に金属粉を塗って、何時間も彫刻のように一定のポーズを取り続けたり、曲に合わせて何時間もパントマイム風の身振りを演じたりします。
芸術を個人的な「生」の次元に結び付けて、作家自らの身体によって芸術作品を演じています。
3級 過去問/Q.162
《テレビ・チェロ》 1971年
ナム・ジュン・パイク(1932-2006)は、韓国出身のヴィデオ・アートの先駆者です。
日本の東大にも留学して美学を専攻しています。
ドイツでは、作曲法や現代音楽を学び、渡米後はエレクトロニック・アート(電子芸術)を提唱。技術と芸術の統合をめざしました。
「ヴィデオ・アート」は、映像と音声を扱う芸術ジャンルのひとつです。
1960年代前半に、テレビ受像機を使った映像実験から始まります。
この作品《テレビ・チェロ》は、アメリカの女性チェリスト、シャ―ロッテ・モーマンと共演したものです。
モーマンは、パイクの弾くピアノに合わせて、チェロの代わりに、彼の映像が流れるモニターを弾く行為を繰り返したそう。
ヴィデオ・アートは、撮影・編集によって、ヴィデオテープに完結させた作品形態と、インスタレーションとに大別できます。
ナム・ジュン・パイクのその他の作品はこちらを👇
3級 過去問/Q.163
ヨーゼフ・ボイス 《7000本の樫の木プロジェクト》 1982-87年
米国講演シリーズ「西洋人のためのエネルギー計画」のオフセットポスター
1974年 ロナルド・フェルドマン・ギャラリー
「芸術の命題は、理想的な社会を彫刻することである」という社会彫刻論を提唱します。
すべての人間は芸術家であり、社会そのものが芸術作品になるべきと考え、社会を巻き込むかたちで、さまざまな作品制作を行いました。
「7000本の樫の木プレジェクト」は、ドイツのカッセル市内の緑化による都市再生プロジェクトです。
さらにその概念に基づき、芸術を教育や政治の分野にまで拡張し、「自由国際大学」を創設。
さらには、平和政党「緑の党」結成にも関わった作家です。
3級 過去問/Q.164
ドイツ生まれのボイス。
終戦後に、デュッセルドルフ芸術アカデミーで彫刻を学びます。
後に、ここで11年間教授を務めました。
木やフェルト、脂肪や銅、蜜蝋などの素材を繰り返し用いて、立体作品を制作。
フルクサスにも一時期参加して、メッセージ性の強いイヴェントやパフォーマンスを行いました。
ヨーゼフ・ボイスのその他の作品はこちらを👇
お疲れさまでした。3級の西洋美術史に関する問題はここまでです。
次は日本美術史の問題へ!
【参考図書】
知る、わかる、みえる 美術検定3級問題[基本編 basic] 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2021
改訂版 西洋・日本美術史の基本 美術検定1・2・3級公式テキスト 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2019
続 西洋・日本美術史の基本 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2018
芸術教養シリーズ7 欧米のモダニズムとその後の運動 近現代の芸術史 造形篇I 林洋子編 株式会社幻冬舎 2013