3級 過去問/Q.34

ラファエロによる肖像画
第216代ローマ教皇です。(現在のフランシスコ教皇は第266代)
15世紀末から16世紀初頭にかけての、盛期ルネサンス美術の主な舞台は、ローマとヴェネツィアへと移ります。
ローマは教皇ユリウス2世や、レオ10世のもとで活気にあふれ、ヴェネツィアは地中海貿易で繁栄します。
ユリウス2世は芸術の愛好家であり、凄腕の政治家でした。
ローマを発展させるために、サン・ピエトロ大聖堂の改築や、ヴァチカン宮殿の改修、システィーナ礼拝堂の天井装飾など、大規模な芸術事業を立案し、優れた芸術家を呼び寄せました。
ミケランジェロに、システィーナ礼拝堂の天上画を描かせたのも、ユリウス2世です!
3級 過去問/Q.35

ミケランジェロ
1526-34年頃 大理石
サン・ロレンツォ聖堂(フィレンツェ)
これは、ジュリアーノ・デ・メディチの墓碑です。
1512年にフィレンツェの共和制が崩壊し、メディチ家が再びその支配権を確立します。
教皇ユリウス2世の跡を継いだのが、メディチ家出身の教皇レオ10世!
彼はサン・ロレンツォ聖堂内に、メディチ家礼拝堂を造ります。
ミケランジェロに命じたのが、ロレンツォとジュリアーノ兄弟の墓碑制作です。

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Florenz_-_Neue_Sakristei_Grabmal_Giuliano_II.jpg
中央がジュリアーノ(弟)の彫像。古代の将軍風の鎧を身につけています。
その下には 中年の女性像《夜》と、壮年の男性像《昼》が。
一方、こちらがロレンツォ・デ・メディチ(兄)の墓碑です。

中央で肘をついて瞑想中なのがロレンツォ。
下には 老いた男性像《黄昏》と、若い女性像《曙》。
ジュリアーノとロレンツォは、「活動的生」と「瞑想的生」という、地上の美徳を象徴する理想像です。
下に置かれた4体の彫刻《曙》《昼》《黄昏》《夜》は、人間の肉体を支配する「時間」の擬人像で、この世の儚さを象徴しているそう。
そして二人の視線の先、中央の祭壇には……「聖母子」が✨

中央の聖母子もミケランジェロ作
こちらで空間全体を確認できます👇 画像をクリックしてみてくださいね。
3級 過去問/Q.36

《岩窟の聖母》
1483-86年 油彩・板
(19世紀にキャンバスへと移植)
199×122㎝ ルーブル美術館(パリ)
スフマートはイタリア語の「煙」を意味するfumoから派生した言葉で「くすんだ」とか「薄れる」という意味です。
色彩の薄い層を何層も上塗りして、深みやボリュームを出す技法で、微妙な明暗だけで形態を柔らかく浮かび上がらせています。

《モナ・リザ》
何層も乾かして上塗りを繰り返すと、独特のつやに柔らかなグラデーションが生まれます。
輪郭線を描かずに、陰影の移り変わりで表現しようとしたんですね。
空気遠近法は、遠方の対象が青みを帯びて霞むことを応用して、色彩で空間の奥行を表現する技法です(Q.23)
初めに出てきた作品、レオナルドの《岩窟の聖母》の奥の風景はまさにそうですね!
ちょっとそれますが、この作品ほぼ同じ構成でもう1点あります!
上のルーブルの作品が、初めに描かれたのですが、注文主のミラノの教会が、右端の天使の視線や指差しなどが気に入らず、受け取りを拒否。
要望に合わせ修正して、弟子とともに仕上げたのが、こちらの《岩窟の聖母》です。

《岩窟の聖母》
1495-1508年 油彩・板
189.5×120㎝ ナショナル・ギャラリー(ロンドン)
指差しがなくなって、マリアとヨハネに光輪が加えられています。
3級 過去問/Q.37

ラファエロ 《美しい庭師》
1505-1508 油彩・板
122×80㎝ ルーブル美術館蔵(パリ)
ラファエロが多く描いた聖母子像は、イタリアで「マドンナ」と呼ばれるキリストの母 聖母マリアと、幼いキリストの姿が描かれたものです。
慈しみのまなざしをキリストに向ける聖母の穏やかな表情と、伸びやかなキリストの姿は、後の画家たちに、大きな影響を与えました。
一緒に描かれているのは、洗礼者ヨハネ。聖書の中には3人が揃う描写はないようですが、マリア信仰の高まりとともに人気となった主題です。
画面に安定感をもたらす効果のある三角構図で描かれています。
《小椅子の聖母》

ラファエロ
1513-14年 油彩・板
φ71㎝ ピッティ美術館(フィレンツェ)
ある日、2人の子どもを連れた美しい母親に会いますが、キャンヴァスを持っていなかったため、近くにあった酒樽の蓋に描いたと伝えられています♪
《サン・シストの聖母》

ラファエロ
1513-14年 油彩・キャンヴァス
265×196㎝ アルテ・マイスター絵画館(ドイツ)
教皇ユリウス2世からの注文で描いた作品です。
ラファエロは、ユリウス2世の肖像画を描いていましたね。(Q.34)
「聖母マリア」は、キリスト教会絵画において、最も多く描かれる聖人の一人で、赤い衣と青いマントが目印です!
【参考図書】
知る、わかる、みえる 美術検定3級問題[基本編 basic] 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2021
改訂版 西洋・日本美術史の基本 美術検定1・2・3級公式テキスト 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2019
増補新装 カラー版 西洋美術史 高階秀爾監修 株式会社美術出版社 2021
この絵、誰の絵? 100の名作で西洋・日本美術入門 佐藤晃子著 株式会社美術出版社 2019
366日の西洋美術 (366日の教養シリーズ) 瀧澤秀保監修 株式会社三才ブックス 2019