美術検定3級 過去問/Q.87~89(印象主義1)

マネの《草上の昼食》が出品されたことで有名な1863年の展覧会は?
① サロン
② サロン・ドートンヌ
③ 落選展
④ アンデパンダン展
出典:美術検定実行委員会・編『美術検定3級問題集-知る、わかる、みえる』 (株)美術出版社 2021  p.52
マネ 草上の昼食

1862-63年 油彩・キャンヴァス
208×265.5㎝ オルセー美術館(パリ)

答え ③ 落選展
エドゥアール・マネ(1832-1883)
エドゥアール・マネ

ナダール撮影 
1867-70年(35~38歳)頃

「落選展」とは、公式のサロンの審査によって、落選した作品を集めた展覧会です。
当時サロンは、作品を展示できる唯一の場でした。

1863年は落選した作品の多さに、美術家たちからの抗議もあり、皇帝ナポレオン3世が、落選した作家に作品発表の場を与えました。

アカデミーの基準に従わない作品でも、公衆の前に展示することを可能とし、これは後の印象派の展覧会開催に大きな示唆を与えています。

しかしマネのこの作品は、タブ-とされていた実際の女性の裸体を描き、大きな騒ぎとなりました。

3級 過去問/Q.88

1865年のサロンに入選するも美術界にスキャンダルを引き起こした作品は?
① アングル《グランド・オダリスク》
② マネ《オランピア》
③ カパネル《ヴィーナスの誕生》
④ ブーグロー《ヴィーナスの誕生》
出典:美術検定実行委員会・編『美術検定3級問題集-知る、わかる、みえる』 (株)美術出版社 2021  p.54
マネ オランピア

1863年 油彩・キャンヴァス
130.5×
190㎝ オルセー美術館(パリ)

答え ② マネ《オランピア》

マネはまたもや問題作を描きます。

神話や物語の中の存在として描かねばならない裸婦でしたが、《草上の昼食》と同様、現実に生きる生身の女性、娼婦の裸体を描きました。

決まりごとを破り不道徳とみなされ、世間の強い批判を浴びました。

《草上の昼食》《オランピア》についてはこちらを👇

3級 過去問/Q.89

オルセー美術館にあるマネの描いた文筆家の肖像はだれ?
① ゾラ
② ボードレール
③ ユゴー
④ シャンフルーリ
出典:美術検定実行委員会・編『美術検定3級問題集-知る、わかる、みえる』 (株)美術出版社 2021  p.54
マネ エミールゾラの肖像

1868年 油彩・キャンヴァス
146×114㎝ オルセー美術館(パリ)

答え ① ゾラ

この作品名は《エミール・ゾラの肖像》

ゾラは、自然主義文学の代表的存在であるフランスの小説家です。『居酒屋』とか『ナナ』が代表作ですね。

エミール・ゾラ ナダール撮影

エミール・ゾラ
ナダール撮影

マネの描いた肖像画では、ゾラの姿以外にも、さまざまなモチーフが描かれています。
マネ エミールゾラの肖像 詳細

作品の右上に描かれている、相撲の浮世絵は、二代目歌川国明《大鳴門灘右ヱ門》
当時の日本趣味が感じ取れますね。

その横、半分隠れているのは、ベラスケス《バッカスの勝利(酔っぱらいたち)》

歌川国明 阿州大鳴門灘左衛門

歌川国明《大鳴門灘右ヱ門》
江戸時代 木版画
37.5×25.6㎝ ボストン美術館

ベラスケス バッカスの勝利 酔っ払いたち

ベラスケス《バッカスの勝利(酔っぱらいたち)》
1628-29年 油彩・キャンヴァス
100.5×119.5㎝ プラド美術館(マドリード)

そして、マネの《オランピア》ですね!
デスクの上には、実際にゾラが執筆した論文の冊子などもが描かれています。


マネのアトリエには、ゾラのような文学者の他、新進気悦の画家たちが集まります。そのうちの何人かは、1874年にグループ展を開き、のちに印象派と呼ばれる画家たちです。

【参考図書】
知る、わかる、みえる 美術検定3級問題[基本編 basic] 美術検定実行委員会編  株式会社美術出版社  2021
改訂版 西洋・日本美術史の基本 美術検定1・2・3級公式テキスト 美術検定実行委員会編  株式会社美術出版社  2019
この絵、誰の絵? 100の名作で西洋・日本美術入門  佐藤晃子著  株式会社美術出版社  2019
サンスから十九世紀末まで 西洋の芸術史 造形篇II 水野千依編 株式会社幻冬舎 2013

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