美術検定3級 過去問/Q.63~67(バロック美術3)

この作品の作者は?
① レンブラント
② ヤン・ステーン
③ フランス・ハルス
④ ヘリット・ダウ
出典:美術検定実行委員会・編『美術検定3級問題集-知る、わかる、みえる』 (株)美術出版社 2021  p.42
ハルス 陽気な酒飲み

《陽気な酒飲み》  
1628-30年頃 油彩・キャンヴァス 
81×66.5㎝ アムステルダム国立美術館

答え ③ フランス・ハルス
ハルス 自画像
自画像の複製画

オランダの肖像画で、モデルの心理描写に傑出したのは、レンブラントとハルス(1581-1666)です。

ハルスはハーレムを拠点に活動し、貧しくも屈託なく生きる庶民から、都市の裕福な市民まで、幅広く作品の対象としました。

大胆な筆触を生かして、人の瞬間的表情をとらえるのが特徴的です。

様々な肖像画集団肖像画風俗画を描いています。

その他の代表作

frans-hals-the-banquet-of-the-officers-of-the-st-george-militia-company-in-1616

《ハールレムの聖ゲオルギウス市民隊幹部の宴会》
1616年 油彩・キャンヴァス
フランス・ハルス美術館(オランダ)

ハルス 若い女性(ジプシーガール)

《若い女性(ジプシーガール)》
1628-30年頃 油彩・板
58×52㎝ ルーブル美術館(パリ)

ハルス 笑う少年

《笑う少年》
1625年頃 油彩・板
30.4×30.4㎝ マウリッツハイス美術館(オランダ)

ハルスは、笑っている人物像を多く描いたことから、「笑いの画家」と呼ばれました。

何だかホッと癒されますね♪

3級 過去問/Q.64

フェルメール《手紙を読む女》のように日常生活のひとこまを描いた絵画のことを何と呼ぶ?
① 風景画
② 肖像画
③ 寓意画
④ 風俗画
出典:美術検定実行委員会・編『美術検定3級問題集-知る、わかる、みえる』 (株)美術出版社 2021  p.42
フェルメール 手紙を読む女

《手紙を読む女》  
1663年頃 油彩・キャンヴァス 
46.5×39㎝ アムステルダム国立美術館

答え ➃ 風俗画
ヨハネス・フェルメール(1632-1675)
フェルメール

自画像と思われる人物

17世紀のオランダで活躍。

現存する作品は約35点ほどで、その大半が風俗画です。
1人か2人の日常のひとコマを、簡潔な構図で描いています。

繊細な柔らかい光の中、知的な室内画ですね。

その他の代表作

フェルメール 地理学者

《地理学者》
1668-69年 油彩・キャンヴァス
52×45.5㎝ シュテーデル美術館(フランクフルト)

フェルメール 音楽の稽古

《音楽の稽古》
1662-65年頃 油彩・キャンヴァス
74.5×64㎝ ロイヤル・コレクション(セント・ジェームズ宮殿/ロンドン)

3級 過去問/Q.65

バロック期に風景画、静物画、肖像画など わかりやすく身近なものを題材とした絵画が発達したのはどこ?
① イタリア
② フランス
③ オランダ
④ フランドル
出典:美術検定実行委員会・編『美術検定3級問題集-知る、わかる、みえる』 (株)美術出版社 2021  p.44
答え ③ オランダ

16世紀、スペイン領となったネーデルラントは、16世紀末に北部で独立運動が起き、ネーデルラント連邦共和国(オランダ)として独立します。

貿易産業で裕福になった市民が、宮廷や教会に代わって芸術の支援者、パトロンとなります。

市民の多くは、聖像を否定するプロテスタント。宗教画よりも、風景画風俗画静物画 が好まれました。

そこへこれまでの伝統である、緻密な写実描写が加わっています。

風景画で活躍したのが

ヤーコプ・ファン・ロイスダール(1628頃-1682)
ロイスダール
レンブラントハルスフェルメールらとともに、オランダで活躍した画家で、ドラマチックな風景画を描きました。
ライスダール ワイク・バイ・ドゥールステーデの風車

《ワイク・バイ・ドゥールステーデの風車》  
1668-70年頃 油彩・キャンヴァス 
83×101㎝ アムステルダム国立美術館

静物画では

ウィレム・カルフ(1619-1693)
ウィレム・カルフ
ウィレム・カルフ 中国陶器と杯のある静物

《中国陶器と杯のある静物》
1662年 油彩・キャンヴァス
79×67㎝ ティッセン・ボルネミッサ美術館(マドリード)

日常的な静物画は、この時代に生れたジャンルです!

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3級 過去問/Q.66

ろうそくの光に照らし出された宗教画で知られる17世紀のフランスの画家は?
① ラタトゥイユ
② アンリ・ファンタン・ラトゥール
③ ラ・トゥール・ジャルダン
④ ジョルジュ・ド・ラ・トゥール
出典:美術検定実行委員会・編『美術検定3級問題集-知る、わかる、みえる』 (株)美術出版社 2021  p.44
ラ・トゥール 大工聖ヨセフ

《大工聖ヨセフ》  
1640年頃 油彩・キャンヴァス 
137×102㎝ ルーブル美術館(パリ)

答え ➃ ジョルジュ・ド・ラ・トゥール

ラ・トゥール(1593-1652)は、国王ルイ13世付きの宮廷画家で「夜の画家」と呼ばれました。

光の効果を巧みに使い、明暗の対比を強調しています。

この作品《大工聖ヨセフ》は、ラ・トゥール没後、作者不詳のままフランス各地で保管されていたもの。確認されたのは20世紀に入ってからのことです。


もう少し詳しくはこちらを👇

3級 過去問/Q.67

この作品は1648年にフランスで設立された王立絵画・彫刻アカデミーで芸術の基準とされました。その作者は?
① ラファエロ
② プッサン
③ ルーベンス
④ レンブラント
出典:美術検定実行委員会・編『美術検定3級問題集-知る、わかる、みえる』 (株)美術出版社 2021  p.44
プッサン アルカディアの牧人たち

《アルカディアの牧人たち》  
163
8-40年 油彩・キャンヴァス 
85×121㎝ ルーブル美術館(パリ)

答え ② プッサン

二コラ・プッサン(1594-1665)

プッサン 自画像
自画像 1649年

17世紀のフランス絵画を代表する画家の一人。

バロック全盛期に活躍しましたが、激しい感情や劇的な明暗表現をおさえて、厳格な古典主義様式を採り入れています。

古代ローマの美術を理想とする、洗練された優雅さを追求しました。

王立アカデミーにおいては、古代やラファエロと並んで、芸術の規範とされました。

「アルカディア」とは、古代ギリシアにあったとされる理想郷のこと。
石棺にラテン語で刻まれた文字を並べ替えると、違う意味になるようで、秘密が隠された暗号ではないかとも言われています!

この時代、ニコラ・プッサンと共に活躍したのが、

クロード・ロラン(1600頃-82)
クロード・ロラン

フランス・ロレーヌ地方の出身「ロラン」と呼ばれました。
生涯の大半はローマで過ごしています。

クロードロラン シバ女王の乗船

《シバ女王の乗船(海港 シバの女王の上陸)》
1648年 油彩・キャンヴァス
149
×196㎝ ナショナル・ギャラリー(ロンドン)

太陽の光を受けて輝く海面や建物……
空を描くことにこだわり、理想風景を追求しました。


後にイギリスロマン主義のターナーが、超えようと目指したのが、このロランでした!

【参考図書】
知る、わかる、みえる 美術検定3級問題[基本編 basic] 美術検定実行委員会編  株式会社美術出版社  2021
改訂版 西洋・日本美術史の基本 美術検定1・2・3級公式テキスト 美術検定実行委員会編  株式会社美術出版社  2019
この絵、誰の絵? 100の名作で西洋・日本美術入門  佐藤晃子著  株式会社美術出版社  2019

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