◆印象主義の特徴
・19世紀後半の近代都市パリが主な舞台
・ナポレオン3世のパリ大改造計画 都市整備
・アカデミー主導のフランス美術界に反発した画家たちが興した流れ
・写実性よりも画家がうけた印象を重視
・明るい近代都市の風俗画や都市近郊の風景画
・屋外での制作(1840年代からチューブ絵具の登場)
・筆触分割※
・万国博覧会 ジャポニズム 浮世絵の影響
・印象派展の開催(8回)
◆主な作家
マネ プレ印象派 近代絵画の父 印象派に大きな影響
モネ 連作 光の変化やゆらめき
ルノワール にぎやかに集う人々の情景
ドガ 都会で生きる人々の一瞬を描く
シスレー 自然そのままの風景画
ピサロ 農村の美しい風景画
モリゾ 女性画家 家庭的情景 マネのモデル
カサット 女性画家 母子の姿
《草上の昼食》
1863年 油彩・キャンヴァス
207×265㎝ オルセー美術館(パリ)
聖書や神話の世界において許されていた裸婦像でしたが、マネは女神ではない現実の裸婦を描きました。大きなバッシングを受けた作品です。
《オランピア》
1863年 油彩・キャンヴァス
130×190㎝ オルセー美術館(パリ)
こちらは横たわる娼婦。
《草上の昼食》と同様、世間を騒がせた問題作です。
2つの作品について、もう少し詳しくはこちらを👇
斬新な主題に粗い筆致や色彩の対比など、従来のアカデミズムの常識からかけ離れてサロンへ挑戦し続けたマネ。
その姿勢に強い影響を受けた若い作家たちは、マネのもとに集うようになります。彼らがモネやドガ、ルノワールなど「印象派」とよばれるようになる作家たちです。
よってマネは「印象派の父」とも呼ばれます。
しかしマネはサロン出品にこだわり、印象派展には一度も出品していません。
モネ
《印象、日の出》
1872年 油彩・キャンヴァス
48×63㎝ マルモッタン・モネ美術館(パリ)
1874年の展覧会(のちにいう第1回印象派展)への出品作品。
印象しか描いていないと酷評されたことで「印象派」という呼び名が生まれるきっかけとなった作品です。
《カピュシーヌ大通り》
1873年 油彩・キャンヴァス
61×80㎝ プーシキン美術館(モスクワ)
こちらも第1回印象派展への出品作品。
カピュシーヌ大通りは、その展覧会場となったナダールの写真館があった通りです。
(3級Q.91 出題)
《ラ・ジャポネーズ》
1876年 油彩・キャンヴァス
231.6×142.3㎝ ボストン美術館(アメリカ)
まさにジャポニスムの影響を受けての作品ですね。
《ジヴェルニー付近の夕日を浴びる積み藁》
1891年 油彩・キャンヴァス
75×94㎝ ボストン美術館(アメリカ)
モネが晩年を過ごしたジヴェルニーの田園風景で、25点の連作のうちの1つ。
時間ごと、季節ごと、繰り返し描いています。
のちの抽象主義が誕生のきっかけとなった作品です。
(3級Q.90 出題)
ドガ
《観覧席前の出走馬》
1866-68年 油彩・キャンヴァス
46×61㎝ オルセー美術館
《アブサン(カフェにて)》
1875年頃 油彩・キャンヴァス
92×68.5㎝ オルセー美術館(パリ)
アブサン(ニガヨモギの香りがついたリキュール)を前に、うつろな表情をの女性…
都会の人々の日常を写真のように切り取っています。
この大胆な構図は、遠近法に縛られない日本の浮世絵の影響だといわれています。
《エトワール》
1876年頃 パステル・紙
58.4×42㎝ オルセー美術館(パリ)
エトワールとは、星、花形スターの意味で、舞台上で華やかに舞う踊り子を指します。
パステルで描かれ、衣装の素材の柔らかさが感じられますね。
上から見下ろす特徴ある構図は、日本の浮世絵の影響です。
カサット
《オペラ座の黒衣の女(桟敷席にて)》
1878年 油彩・キャンヴァス
81×66㎝ ボストン美術館
カサットも、子どもや母子の姿を多く描いています。
アメリカへ帰国後は、印象派の画家たちをアメリカに紹介する架け橋となっています。
(3級Q.92 出題)
[参考図書]
改訂版 西洋・日本美術史の基本 美術検定1・2・3級公式テキスト 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2019
続 西洋・日本美術史の基本 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2018
増補新装 カラー版 西洋美術史 高階秀爾監修 株式会社美術出版社 2021
カラー版 1時間でわかる西洋美術史 (宝島社新書) 宮下規久朗著 宝島社 2018
366日の西洋美術 (366日の教養シリーズ) 瀧澤秀保監修 株式会社三才ブックス 2019
芸術教養シリーズ6 盛期ルネサンスから十九世紀末まで 西洋の芸術史 造形篇II 水野千依編 株式会社幻冬舎 2013