新古典主義の美術

ダヴィッド ナポレオン一世の戴冠式と皇妃ジョゼフィーヌの戴冠 

18世紀末のヨーロッパでは、フランス革命によって、王や貴族たちは市民階級に勢力を奪われ、社会構造が大きく変革します。

美術においても、それまでのロココの華麗な美術は、贅沢でだらしない文化と否定され、ギリシャ・ローマの美術を規範とする新古典主義が生まれます。

「古代」が見直された背景には、火山噴火で滅亡したと言われていたポンペイ遺跡の発掘がありました♪

出土品や壁画は美しく、文明のルーツへの憧れが高まり、研究が盛んになったことがありました。


 特徴
 ・ギリシャ・ローマの美術を規範とする
 ・考古学的な正確さ
 ・理性と倫理観
 ・形式やデッサン重視
 ・安定した構図

ジョゼフ=マリー・ヴィアン

ジョゼフ=マリー・ヴィアン
Joseph-Marie Vien
1716年6月18日~1809年3月27日
フランス

ルイ16世の筆頭宮廷画家
古代の構図と人体像を採り入れる

《アモル(クピド)を売る女性》

1793年 油彩・キャンヴァス
165×128㎝ ベルギー王立美術館(ブリュッセル)

キューピッドの訪問販売!?  かごに入っていてかわいいですね♪

衣服も建築様式も、古代ローマ美術の構図や人体像を利用して描かれています。

ダヴィッド

ダヴィッド 自画像

ジャック=ルイ・ダヴィッド
Jacques-Louis David
1748年8月30日~1825年12月29日
フランス

新古典主義の指導的存在
教訓的な歴史画を復興
革命後にナポレオン1世の宮廷画家に
アカデミーの改組にもあたり、官立美術学校(エコール・デ・ボザール)を発足

《マラーの死》

ダヴィッド マラーの死

 1793年 油彩・キャンヴァス
 165×128㎝ ベルギー王立美術館(ブリュッセル)

《ホラティウス兄弟の誓い》

ダヴィッド ホラティウス兄弟の誓い

1784年 油彩・キャンヴァス  
326
x420㎝ ルーブル美術館(パリ)

隣国との戦いに挑むローマの三兄弟を描いたもので、古代ローマ時代の逸話が主題です。
一点透視図法に、アーチの対称性古代彫刻のような人物像で、厳格な様式の歴史画です。

《ソクラテスの死》

1787年 油彩・板
130x196㎝ メトロポリタン美術館

古代ギリシアの偉大な哲学者ソクラテスが、牢獄で威厳ある死を遂げた最後の日を描いています。
愛国心勇気といったテーマは、革命後の国民に共感されました。

《サン・ベルナール峠を越えるナポレオン》

ダヴィッド サン・ベルナール峠を越えるナポレオン

1801年 油彩・板
261x221㎝ マルメゾン城(フランス)

英雄的行動を讃える作品を残しています。

アングル

ドミニク・アングル 自画像

ジャン=オーギュスト=ドミニック・アングル
Jean-Auguste-Dominique Ingres 
1780年8月29日-1867年1月14日
フランス

ダヴィッドの弟子
精密なデッサンに計算された構図で 新古典主義の美しい画面を徹底して追求
ロマン主義寄り   東洋趣味

《グランド・オダリスク》

アングル グランド・オダリスク

1814年以 油彩・板
88.9×162.56㎝ ルーブル美術館(パリ)

肢体を引き伸ばす特徴は、線の美しさを追求したアングルの美意識に基づいたもの。
人体においては、古典主義的な理想美よりも、個人的な美意識を優先しています。

《ルイ13世の誓い》

ドミニク・アングル ルイ13世の誓い

1824年 油彩・キャンバス
421×262㎝
 モントーバン大聖堂(フランス)

《トルコ風呂》

アングル トルコ風呂

1863年 油彩・キャンバス
ルーブル美術館(パリ)

東方趣味の優雅な雰囲気を表現して、道徳や英雄崇拝とは無関係な美を追求しています。



ジャン・グロ

アントワーヌ=ジャン・グロ

Antoine-Jean Gros
1771年3月16日~1835年6月25日
フランス

ダヴィッドの後継者
ロマン主義との葛藤

《アイラウの戦場のナポレオン》

グロ アイラウの戦場のナポレオン

1808年 油彩・板
521x784㎝ ルーブル美術館(パリ)

ジロデ

ジロデ

アンヌ・ルイ・ジロデ=トリオゾン
Anne-Louis Girodet-Trioson
1767年1月29日~1824年12月9日
フランス

ダヴィッドの弟子
情緒豊か  明暗法

《ナポレオンの指揮官を迎えるオシアン》

ジロデ ナポレオンの指揮官を迎えるオシアン

1802 油彩・板
192x184㎝ マルメゾン城(フランス)

カノーヴァ

カノーヴァ

アントニオ・カノーヴァ

Antonio Canova
1757年11月1日~1822年10月13日
イタリア

彫刻家
理想美と複雑な構成

《アモールとプシュケー》

カノーヴァ アモールとプシュケー
Sailko, CC BY 3.0 , via Wikimedia Commons

1787-93年 大理石
155x168㎝ ルーブル美術館(パリ)

ギリシャ・ローマ彫刻の理想美と、近代彫刻の複雑な構成とを結びつけました。

フラックスマン

ジョン・フラックスマン
John Flaxman
1755年7月6日~1826年12月7日
イギリス

彫刻家・陶器デザイナー
ウェッジウッドがデザイン起用

《壺(ホメロス礼賛)》

大英博物館のサイトで確認を👆

イギリスでウェッジウッドの工場ができ、フラックスマンのデザインを起用した陶器が生産されます。
ジャスパー・ウェアと呼ばれる浮彫の技法が施され、大量に市場へ✨

ジョン・フラックスマン ウェッジウッド

ウェッジウッド 1784年頃 

[参考図書]
改訂版 西洋・日本美術史の基本 美術検定1・2・3級公式テキスト 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2019
続 西洋・日本美術史の基本 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2018
増補新装 カラー版 西洋美術史 高階秀爾監修 株式会社美術出版社 2021
カラー版 1時間でわかる西洋美術史 (宝島社新書) 宮下規久朗著  宝島社 2018
この絵、誰の絵? 100の名作で西洋・日本美術入門 佐藤晃子著 株式会社美術出版社 2019
366日の西洋美術 (366日の教養シリーズ) 瀧澤秀保監修 株式会社三才ブックス 2019
芸術教養シリーズ6 盛期ルネサンスから十九世紀末まで 西洋の芸術史 造形篇II 水野千依編 株式会社幻冬舎 2013