ゴシックの美術

ゴシック 美術
Oldmanisold, CC BY-SA 4.0 , via Wikimedia Commons
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Sainte_Chapelle_Interior_Stained_Glass.jpg

ゴシック様式の特徴
・12世紀半ば~14世紀
フランスヨーロッパ北部
・建築の技術革新とともに形成
都市部大聖堂市庁舎を中心に発展
・裕福な町人知識人 信徒が文化の担い手
・ヨーロッパ北部で異なる特徴を持って発展
・ゴシックの語源は、ゲルマン系部族の「ゴート」に由来

ゴシック建築の特徴
・開口部や窓が大きくなる
ステンドグラスの発達
・光を採り入れ豪華な空間
尖頭アーチ 高い天井 高さを追求
・交差リブ・ヴォールト

・フライング・パットレス(飛梁)
人像円柱 自立した彫刻
自然人間的な表現

国際ゴシック様式の特徴
・14世紀後半~15世紀前半 中世末期 ルネサンスへの移行期
・南フランスや北イタリアの都市部で同時多発的
芸術家たちの交流が盛んになったことで伝播
宮廷風優雅で装飾的な表現
写実的細密描写

主な作家
 ランブール兄弟
(ネーデルラント)
 シモーネ・マルティーニ(イタリア)
 ジェンティーレ・ダ・ファブリアーノ(イタリア)
 ピサネッロ(イタリア)

サン・ドニ修道院聖堂(フランス)

サン・ドニ大聖堂
Chabe01, CC BY-SA 4.0 , via Wikimedia Commons
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/49/Basilique_St_Denis_fa%C3%A7ade_ouest_St_Denis_Seine_St_Denis_20.jpg

 1137~1144年 初期ゴシック

歴代フランス国王の墓廟であったこのサン・ドニ修道院は、修道院長シュジェールの指導のもと改築されます。

サン・ドニ修道院
Pierre Poschadel, CC BY-SA 3.0 , https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Saint-Denis_(93),_basilique_Saint-Denis,_d%C3%A9ambulatoire_1.jpg
サン・ドニ修道院
Photo: Myrabella , https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Basilique_Saint-Denis_chapelle_de_la_Vierge.jpg

シャトル大聖堂(フランス)

シャトル大聖堂

 1155年頃の完成

フランスで最も美しいゴシック建築のひとつ。
1979年に世界遺産に登録されています。
先の尖った尖塔アーチは、天上のイメージを生み出しています。

シャトル大聖堂
Olvr, CC BY-SA 3.0 , https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Notre_Dame_de_Chartres.jpg
シャトル大聖堂 平面図
シャトル大聖堂 南のバラ窓
南のバラ窓
Photo by PtrQs, CC BY-SA 3.0 , via Wikimedia Commons
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Chartres_RosetteSued_122_DSC08269.jpg
シャトル大聖堂 北のバラ窓
北のバラ窓
  Photo by PtrQs, CC BY-SA 4.0 , https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Chartres_RosetteNord_121_DSC08241.jpg

色ガラスの小片を組み合わせ、絵や模様を作り出すステンドグラス✨
盛期ゴシックのステンドグラスは、大きな窓を細かく分割して、聖母聖書の内容を色ガラスで構成しています。

聖堂内を彩る光と色は神秘的で、キリスト教の教えをヴィジュアル化して人々を信仰へ導きました。

シャトル大聖堂
Photo:Nina Aldin Thune User:Nina-no, CC BY-SA 3.0 , via Wikimedia Commons
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Chartres.jpg
シャトル大聖堂

側壁の円柱を背にして建つ「人像円柱」が出現します。
現実的な量感とかすかな微笑みが特徴です。

ランス・ノートルダム大聖堂(フランス)

ノートルダム大聖堂 ランス
bodoklecksel, CC BY-SA 3.0 ,
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Reims_Kathedrale.jpg
ランス ノートルダム大聖堂
Mbzt, CC BY-SA 4.0 ,
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:F3407_Reims_cathedrale_nef_centrale_rwk.jpg

13世紀に入ると、建築の構造にしばられない自立した彫刻像がつくられます。
古代末期から途絶えていた丸彫り彫刻がよみがえります。

ランス ノートルダム大聖堂
左『受胎告知』右『エリザベツ訪問』
DIMSFIKAS at Greek Wikipedia, CC BY-SA 3.0 , https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Reims_Cathedral_-_Central_doorway.JPG

ノートル=ダム(Notre-Dame)とは、フランス語で「我らの貴婦人」という意味♪
聖母マリアを崇拝する傾向が5世紀頃より始まり、聖堂の名称としても各地で使用されるようになりました。

アミアン大聖堂(フランス)

アミアン大聖堂
© Raimond Spekking, https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Cath%C3%A9drale_Notre-Dame_d%27Amiens-3420.jpg
アミアン大聖堂 平面図

1220~88年 

13世紀中頃になると、ゴシック建築の構造や表現が、さらに洗練されていきます。
石の重量感が排除され、優雅な装飾性が重視されるようになります。

アミアン大聖堂
BB 22385 / Cathédrale, AmiensTP /  https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Cath%C3%A9drale,_AmiensTP.JPG
アミアン大聖堂
Amanda Slater, from Coventry (England), CC BY-SA 2.0 , https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Amiens_cath%C3%A9drale_(d%C3%A9tail_portail_Ouest)_1.jpg
アミアン大聖堂
Jacques76250, CC BY-SA 3.0 , https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Amiens_Cath%C3%A9drale_Notre-dame_arc-boutant_sud-est.jpg
アミアン大聖堂

リンカーン大聖堂(イギリス)

リンカーン大聖堂
DrMoschi, CC BY-SA 4.0 , https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Lincoln_Cathedral_viewed_from_Lincoln_Castle.jpg

1192~1380年

複雑なリブの構造は強度のためではなく、装飾を目的とした造形です。

リンカーン大聖堂
Diliff, CC BY-SA 3.0 , https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Lincoln_Cathedral_Nave_1,_Lincolnshire,_UK_-_Diliff.jpg
リンカーン大聖堂
Diliff, CC BY-SA 3.0 , https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Lincoln_Cathedral_Presbytery,_Lincolnshire,_UK_-_Diliff.jpg

ケルン大聖堂(ドイツ)

ケルン大聖堂
Velvet, CC BY-SA 4.0 , via Wikimedia Commons
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Cologne_cathedrale_vue_sud.jpg
ケルン大聖堂 ステンドグラス
Mkill, CC BY-SA 3.0 , via Wikimedia Commons
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Koelner_dom_nordseite_des_chors.jpg
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国際ゴシック様式

《ベリー公のいとも豪華なる時祷書》/ランブール兄弟

この時祷書は、中世フランス王国の王・ベリー公ジャン1世の要請を受けて、ネーデルラント(現在のオランダ、ベルギー)のランブール兄弟が作成した装飾写本。
羊皮紙206葉からなり「世界で最も美しい本」といわれています✨

15世紀初頭のパリ写本工房へ大きな影響を与えています。

ベリー公のいとも華麗なる時祷書 1月
1月
ベリー公のいとも華麗なる時禱書 4月 
4月
ベリー公のいとも華麗なる時祷書 7月
7月
ベリー公のいとも華麗なる時祷書 10月
10月
聖アウグスティヌスの洗礼
聖アウグスティヌスの洗礼
黄道十二宮と解剖図
黄道十二宮と解剖図
時祷書(じとうしょ)とは、キリスト教徒が用いる祈祷文賛歌などからなる聖務や、季節ごとの人々の暮らしなどが記されたもの。

《受胎告知》/シモーネ・マルティーニ(イタリア)

シモーネ・マルティーニ 受胎告知

1333年頃 テンペラ・板
305×265㎝ ウフィツィ美術館(フィレンツェ) 

金箔をたっぷり使用しています✨
国際ゴシック期のシエナ派を代表する画家です。

《東方三博士の礼拝(マギの礼拝)》/ジェンティーレ・ダ・ファブリアーノ(イタリア)

ファブリアーノ 東方三博士の礼拝

1423年  テンペラ・板
300×282㎝ ウフィツィ美術館(フィレンツェ)

イエス誕生の時、3人の占星術師が東方から礼拝に訪れた様子が描かれています。
新約聖書『マタイによる福音書』に記されているエピソードで、後世に人気の主題となっています。

《エステ家の姫君の肖像》/ピサネッロ(イタリア)

ピサネッロ エステ家の姫君の肖像

1435-45年  テンペラ・板
43×30㎝ ルーブル美術館(パリ)

【参考図書】

改訂版 西洋・日本美術史の基本 美術検定1・2・3級公式テキスト 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2019
続西洋・日本美術史の基本 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2018
増補新装 カラー版 西洋美術史 高階秀爾監修 株式会社美術出版社 2021
カラー版 1時間でわかる西洋美術史 (宝島社新書) 宮下規久朗著  宝島社 2018
366日の西洋美術 (366日の教養シリーズ) 瀧澤秀保監修 株式会社三才ブックス 2019
芸術教養シリーズ6 盛期ルネサンスから十九世紀末まで 西洋の芸術史 造形篇II 水野千依編 株式会社幻冬舎 2013

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