油彩・キャンヴァス
82.2x60㎝ 1434年
ナショナル・ギャラリー(ロンドン)
フランドルの巨匠ヤン・ファン・エイクによる、商人ジョヴァンニ・アルノルフィーニの結婚を描いたもの。
しかし右手ではなく、左手で相手の手をとるのは、身分差のある結婚。「左手婚」といわれ、正式な妻ではなく愛人に近い関係だったよう……
奥の壁中心に「ヤン・ファン・エイクここにありき」
凸面鏡の中には夫妻の他、2人が映り込んでいます。
青い服は結婚の立会人で、赤いターバンをしているのがヤンだと言われています。
まわりの小さな円に描かれているのは、キリストの受難。
作品サイズから逆算すると、この中央の円のサイズは5~6㎝ !?
だとするとまわりの小さな円は!?
なんて驚異的……
細やかな輝きの表現もすごすぎます。
薄く溶いた絵具を何層も塗り重ねて、透明感のある鮮やかな色彩を創り出しています。グレージングと呼ばれる油彩技法の1つです。
陶器に釉薬をかけることをグレースといい、革の表面を平たくして艶を出すという仕上げ方法もグレージングといいます。
この油彩技法を確立させたのがファン・エイク兄弟です。
ヤン・ファン・エイク
Jan Van Eyck
フランドル 北方ルネサンス
1390年頃-1441年6月
油彩画技法を完成させ、より矛盾のない空間表現を実現。驚異的な細密画を描き「神の手」と称えられます。
【参考図書】
瀧澤秀保監修『366日の西洋美術』株式会社三才ブックス 2019年
水野千依り編『盛期ルネサンスから十九世紀末まで』株式会社幻冬舎 2013年
永井龍之介監修『知識ゼロからの名画入門』株式会社幻冬舎 2016年