ロココ美術(フランス)

ロココ フランソワ・ブーシェ《ヴィーナスの勝利》
フランソワ・ブーシェ《ヴィーナスの勝利》

17世紀の厳格な古典主義に反発するように、18世紀のフランスではロココ美術が誕生します。

「ロココ」の由来は、装飾用語の「ロカイユ」。もともとは16世紀の庭園に造られた、人工洞窟にはめ込まれた小石や貝殻の装飾を表す言葉です。

曲線軽やかな色彩装飾的優美な貴族主義の様式で、男女の愛官能をテーマにした作品が描かれるようになりました✨

また、金工陶磁器などの分野でも、質の高い作品が生まれています。

建築においても、室内は白地にの曲線による装飾や彫刻で彩られ、天井からはシャンデリアが吊るされました。

 
特徴 曲線的、洗練、軽やか、小ぶりなもの、芸術と生活との融合、現実逃避的側面、アカデミーでのサロンの開催

ヴァトー 《シテール島の巡礼》

 1717年 油彩・キャンヴァス
 129x194㎝ 
ルーブル美術館蔵(パリ)

「雅宴画」(がえんが/男女が戸外で楽しむ愛の宴の情景で、上流社会の風俗や貴族趣味を反映したもの)という新たなジャンルの画家として、アカデミーに入会を認められた作品です。

シテール島にやってきた若い男女が、ヴィーナス像への巡礼を終えて、帰路につくまでの様子が描かれています。
貴族の娯楽を、幻想的で豊かな色彩で描いた、ヴァトーの中期の代表作。

ヴァトー シテール島の巡礼

シテール島は、地中海のキティラ島のこと。フランス語で「シテール」と呼ばれます。
愛の女神ウェヌス(ヴィーナス)が流れ着いた場所とされる愛の聖地。幸福な恋愛を願う恋人たちの理想郷として、文学や美術で取り上げられました。

シテール島
ヴァトー

ジャン=アントワーヌ・ヴァトー
Antoine Watteau

1684年10月10日~1721年7月18日
フランス

初期のロココ様式を代表する画家。優雅で軽やかな作風で、ロココの絵画スタイルをつくりました。
ヴァトーの絵は「雅びな宴」と呼ばれ、愛を語り合う若い男女を多く描いています。

シャルダン《食前の祈り》

1740年 油彩・キャンヴァス
49.5x38.5㎝ 
ルーブル美術館(パリ)

18世紀に入ると、経済力を高めた市民階級の美術愛好家が増え、ロココ時代ではありながら、静物画風俗画の需要が高まります。それに答えた代表的な画家が、ジャン=シメオン・シャルダンでした。

宮廷や貴族たちの甘美な世界ではなく、ごく普通の市民の生活や、日常の暮らしの中にある静物を描きました。

ジャン シメオン シャルダン

ジャン=バティスト・シメオン・シャルダン
Jean-Baptiste-Siméon Chardin

1669年11月2日-1779年12月6日
フランス

ロココ最盛期に活躍。繊細なタッチで詩情あふれる静謐な作品を描きました。サロンでの評価は高く、ルーブル宮殿にアトリエ兼住居を授かっています。

その他の代表作

シャルダン ラケットを持つ少女

《ラケットを持つ少女》

1737年 油彩・キャンヴァス
81x65㎝ 個人蔵

シャルダン 銀のゴブレットとりんご

《銀のゴブレットとりんご》

1768年頃 油彩・キャンヴァス
33x41㎝ ルーブル美術館(パリ)

ブーシェ《水浴のディアナ》

水浴のディアナ

 1742年 油彩・キャンヴァス
 57
x73㎝ ルーブル美術館(パリ)

ヴァトーの死後、ルイ15世の時代を代表するのがブーシェ
解放的で明るい官能性で、柔らかく優美な女性の裸体画を得意としました。

水浴のディナ 詳細 ブーシェ

フランソワ・ブーシェ
François Boucher

1703年9月29日-1770年5月30日
フランス

わかりやすい主題で官能的な作品は、広く人気を博し、ロココのイメージ形成に大きな役割を果たしました。

その他の代表作

ブーシェ ポンパドゥール夫人

《ポンパドゥール夫人》

1756年
油彩・キャンヴァス
212x164㎝
アルテ・ピナコテーク(ミュンヘン)

モーリス・カンタン・ド・ラ・トゥール《ポンパドゥール夫人の肖像》

ポンパドゥール夫人の肖像 モーリス・カンタン・ド・ラ・トゥール

1748-55年頃 パステル
175x128㎝ ルーブル美術館(パリ)

モーリス・カンタン・ド・ラ・トクール

モーリス・カンタン・ド・ラ・トゥール

Maurice Quentin de La Tour

1704年9月5日-1788年2月17日
フランス

フラゴナール《逢引き》

フラゴナール 逢引き

1771-72年頃 油彩・キャンヴァス
フリック・コレクション(ニューヨーク)

緊張感と優美さと軽薄さ。18世紀ロココ時代の軽妙軽薄非道徳的な貴族社会を映し出しています。

フラゴナール

ジャン=オノレ・フラゴナール

Jean-Honoré Fragonard

1732年4月5日-1806年8月22日
フランス

ロココ盛期~末期にかけて活躍。
甘美で官能的、時には挑発的ともいえる風俗画を描きました。

その他の代表作

フラゴナール ぶらんこ

《ぶらんこ》

1767年頃
油彩・キャンヴァス 
ウォレス・コレクション(ロンドン)

フラゴナール 読書する娘

《読書する娘》

1775年頃
油彩・キャンヴァス 
ナショナル・ギャラリー(ワシントン)

ジェルマン・ボフラン「大公妃の楕円形のサロン」

ロココ 楕円形のサロン スービーズ館
Chatsam, CC BY-SA 3.0 , via Wikimedia Commons
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Hotel_de_Soubise_-_Salon_ovale_de_la_princesse_2.JPG

1635-39年

スービーズ大公夫妻の邸館(現フランス歴史博物館)2階にあるサロン。ロココ室内装飾の代表です。

白地の壁に、金色のロカイユ装飾。天井にかけて曲面で構成され、植物などをモチーフにした縁取りや、キューピッドの浮彫があしらわれています。

ジェルマン・ボフラン 楕円形のサロン スービーズ
NonOmnisMoriar, CC BY-SA 3.0 , via Wikimedia Commons
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Salon_de_la_princesse_hotel_de_soubise.jpg
ホテル・ド・スービーズ
Marko Kudjerski from Toronto, Canada, CC BY 2.0 , via Wikimedia Commons

ホテル・ド・スービーズ
(現フランス歴史博物館/国立公文書館)

フランス屈指の名門スービーズ家の邸宅。ボフランによって改築。
マリー・アントワネットの遺書や、ジャンヌ・ダルクの手紙など、フランス史上の重要人物に関する多くの古文書が展示されています。

ジェルマン・ボフラン

Germain Boffrand 

1667年5月16日-1754年3月19日
フランスの建築家

リシャール・ミック「愛の神殿」

ルイ16世の王妃、マリー・アントワネットが、ヴェルサイユ宮殿内に造らせた神殿

18世紀後半になると、ギリシャ・ローマ美術への回帰の流れによって、古代風のテイストが融合したものが造られました。

Starus, CC BY-SA 3.0 , via Wikimedia Commons
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Temple_de_l%27Amour_(1).jpg
愛の神殿 ヴェルサイユ宮殿 詳細
Starus, CC BY-SA 3.0 , via Wikimedia Commons
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Petit_Trianon_-_Temple_de_l%27Amour_-_Coupole_et_statue.jpg

1782-86

リシャール・ミック

リシャール・ミック

Richard Mique

1728年9月18日-1794年7月9日
フランスの建築家

【参考図書】
改訂版 西洋・日本美術史の基本 美術検定1・2・3級公式テキスト 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2019
続 西洋・日本美術史の基本 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2018
増補新装 カラー版 西洋美術史 高階秀爾監修 株式会社美術出版社 2021
カラー版 1時間でわかる西洋美術史 (宝島社新書) 宮下規久朗著  宝島社 2018
この絵、誰の絵? 100の名作で西洋・日本美術入門 佐藤晃子著 株式会社美術出版社 2019
366日の西洋美術 (366日の教養シリーズ) 瀧澤秀保監修 株式会社三才ブックス 2019
芸術教養シリーズ6 盛期ルネサンスから十九世紀末まで 西洋の芸術史 造形篇II 水野千依編 株式会社幻冬舎 2013