《晩鐘》
1857年 油彩・キャンヴァス
55.5x66㎝ オルセー美術館(パリ)
ナダールによる肖像写真
1856-58年頃
ジャン=フランソワ・ミレー(1814-1875)は、バルビゾン派の一人。
「バルビゾン派」とは、フランスのバルビゾン村やその周辺に住み、自然主義的な風景画や農民画を描いた芸術家グループです。
それまでの美術では、テーマとならなかった労働者階級の人々の姿を描きました。
《晩鐘》は、幼いころに畑で祖母たちとともに捧げた「祈り」を思い出して描いたそう。
この作品はミレーの死後、何度も競売にかけられ、フランスとアメリカが争奪戦を展開します。アメリカが手に入れるも、フランスの資産家が買い戻しています。
1859年 油彩・キャンヴァス
83.5x110㎝ オルセー美術館(パリ)
刈り入れ後の残された落穂を拾い集めて、生活の糧とする農夫たちを描いています。
遠くには、積み藁と地主たちの豊かな収穫が見えます……
4級 過去問/Q.42
《オフィーリア》
1851-52年 油彩・キャンパス
76.2x111.8㎝ テート・ブリテン(ロンドン)
こちらを描いたのはジョン・エヴァレット・ミレイ(1829-1896)。
先ほどのミレーとは違いますよ!
イギリスの画家で、ラファエロ以前の西洋美術に回帰しようとした「ラファエル前派」の一人です。
自画像
1799年 油彩・キャンヴァス
テート・ブリテン(ロンドン)
この作品は、シェイクスピアの『ハムレット』を題材に描かれたもの。
ハムレットの恋人、オフィーリアが、父親を殺されて溺死する直前、歌いながら川に浮かんでいる姿です。
背景や自然の細密描写は、ヤン・ファン・エイクの作品を手本にしています。
実際にモデルを水風呂にいれてポーズをとらせたそうで、肺炎になりかけたモデルの父親からミレイは訴えられています。
ミレイが20代前半で描いた作品です。
4級 過去問/Q.43
マネ 《草上の昼食》
1863年 油彩・キャンヴァス
208x265㎝ オルセー美術館(パリ)
描いたのは、エドゥアール・マネ(1832-1883)。
写実主義から印象主義への架け橋となるフランスの画家です。
1856-58年頃 ナダール撮影
フランスの唯一の作品発表の場であったサロンに出品したところ、女神ではない裸婦と、正装の男性が同じ画面上にいるということで、一大スキャンダルを巻き起こした作品です!
当時、聖書や神話の世界として描かれていた裸婦でしたが、マネは生身の女性のヌードを描きました。
2年後には《オランピア》を!
こちらもまたバッシングにさらされます。
《オランピア》
1863年 油彩・キャンヴァス
130x190㎝ オルセー美術館(パリ)
2つの作品の詳細はこちらを👇
4級 過去問/Q.44
《印象、日の出》
1872年 油彩・キャンヴァス
48x63㎝ マルモッタン・モネ美術館(パリ)
1899年 ナダール撮影
この作品はクロード・モネ(1840-1926)の美術史上、重要な意味を持つ作品です!
1874年、サロンの審査に対抗して、「画家・彫刻家・版画家たちの匿名芸術家協会展」が開催されます。(開催場所はナダールの写真館)
それに出品したものの、完璧な仕上げが主流の当時の美術界には受け入れられず、批評家はモネのこの作品の名前を、展覧会の名前として、皮肉を込めて記事に取り上げました。
それがきっかけで「印象派」という言葉が生まれています!
長い名前だった展覧会名も、後に「第1回印象派展」と呼び改められています。
この朝もやに浮かぶ日の出の情景ですが……
テキサス州立大学の天文学者らの測定により、この絵が描かれた光景の日時は、1872年11月13日午前7時35分頃の可能性が高いと特定されています!
すごいですねー
マネとモネ。今回も名前が似ていましたね。
4級 過去問/Q.45
(部分)
こちらもモネの作品。《睡蓮、雲》の一部です。
作品全体は 200x1275㎝ もあります!
《睡蓮、雲》
1915‐26年頃 油彩・キャンヴァス
オランジュリー美術館(パリ)
「水と光の画家」と呼ばれるモネ。
さまざまに変化する一瞬の光を表現するため、特定の対象を繰り返し描いています。
この絵は自宅に造った睡蓮の池が、変化する風景を描いた《睡蓮》シリーズの1枚!
初期の頃は、岸や橋も描かれていましたが、後期は水面だけを主題とした抽象画のようになっていきました。
この作品は最晩年の連作です。
4級 過去問/Q.46
《ムーラン・ド・ラ・ギャレット》
1876年 油彩・キャンヴァス
131.5x176.5㎝ オルセー美術館(パリ)
1875年頃
この作品は、フランス印象派の画家、ピエール=オーギュスト・ルノワール(1841-1919)の傑作のひとつ!
35歳の時、1877年の第3回印象派展に出品された作品です。
パリのモンマルトルにあるダンスホール「ム-ラン・ド・ラ・ギャレット」での、舞踏会の様子です。
たくさんのモデルを雇うお金がなく、当時流行していた帽子をプレゼントすると宣伝して、モデルを集めています。
こちらはゴッホによる《ムーラン・ド・ラ・ギャレット》
1886年 ベルリン新美術館(ドイツ)
現在はレストランなんですねー
4級 過去問/Q.47
《エトワール》
1876年頃 パステル・紙
58.4×42㎝ オルセー美術館(パリ)
自画像 1855年
この作品《エトワール》は、パステル画です。
「エトワール」とは、踊り子の中でも最高位に立つ者に与えられる称号!
この踊り子はバレエ団の花形スターです。
都会人だったドガは、都市生活者の姿を、写真のように切り取って描きました。
そして印象派の特徴である外光よりも、ステージやカフェなど、室内の人工的な光の空間を好みました。
構図の取り方に特徴があり、上から見下ろす構図は、日本の浮世絵の影響によるもの!
舞台のそでに黒服の男がいますね… パトロンなんだそう。
【参考図書】
知る、わかる、みえる 美術検定4級問題[入門編 introduction] 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社
改訂版 西洋・日本美術史の基本 美術検定1・2・3級公式テキスト 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2019
続 西洋・日本美術史の基本 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2018
増補新装 カラー版 西洋美術史 高階秀爾監修 株式会社美術出版社 2021
この絵、誰の絵? 100の名作で西洋・日本美術入門 佐藤晃子著 株式会社美術出版社 2019
芸術教養シリーズ6 盛期ルネサンスから十九世紀末まで 西洋の芸術史 造形篇II 水野千依編 株式会社幻冬舎 2013
366日の西洋美術 (366日の教養シリーズ) 瀧澤秀保監修 株式会社三才ブックス 2019