美術検定4級 過去問/Q.26~32(バロック美術)

Q.26
下図の作品を描いたのは
① ジョルジュ・ド・ラ・トゥール
② レンブラント
③ カラッチ
④ カラヴァッジョ
出典:美術検定実行委員会・編『知る、わかる、みえる 美術検定4級問題 入門編 』 (株)美術出版社 2021  p.66
カラヴァッジョ 聖母の死

《聖母の死》
1601~1605/06年 油彩・キャンヴァス 
369x245㎝ ルーブル美術館(パリ)

答え ④ カラヴァッジョ
カラバッジョ

「聖母マリアの死」という特別で象徴的な場面を、カラヴァッジョ(1571-1610)は極めて現実的な死の場面として描きました。

 だらりと垂れ下がった左手…
 むき出しの足…
 簡素なベッド…

そのリアルな迫力が人々に恐怖を与えるとして、依頼主の聖堂から受け取りを拒否されています……

人物を闇の中から浮かび上がらせる光の劇的な効果は、カラヴァッジョの得意とするところ✨

のちに「光の魔術師」と呼ばれるレンブラントや、「夜の画家」と呼ばれるラ・トゥールらへ、大きな影響を与えています。

本名は、ミケランジェロ・メリジ・ダ・カラヴァッジョ

あの彫刻家、ミケランジェロと同じ名前だったんですねー。
しかしあまりにも偉大な名前だったので、カラヴァッジョ(住んでいた町の名前)の方で定着したようです。

Q.27
この《聖テレサの法悦》を制作したイタリア・バロックを代表する彫刻家は?
① ボッロミーニ
② ベルニーニ
③ ジャンボローニャ
④ カラッチ
出典:美術検定実行委員会・編『知る、わかる、みえる 美術検定4級問題 入門編 』 (株)美術出版社 2021  p.66
ベルニーニ 聖テレサの法悦

《聖テレサの法悦》
1647-52年 大理石 
H350㎝
サンタ・マリア・デッラ・ヴィットーリア聖堂(ローマ)

答え ② ベルニーニ

ジャン・ロレンツォ・ベルニーニ(1598-1680)は、ミケランジェロと並ぶ天才彫刻家。
早くから才能を認められローマを中心に活躍しました。

ベルニーニ

《自画像》
1630-35年 ボルゲーゼ美術館(ローマ)

この作品は、16世紀スペインに実在した聖女テレサが神と出会い、その喜びに満たされる奇跡の場面です。

その瞬間的な動作や表情、衣類の材質感などを、大理石で表現しています。

ベルニーニ 聖テレサの法悦

ベルニーニは建築家としても優れ、この礼拝堂の内装のデザインから、すべてを手掛けています。

バチカンのサン・ピエトロ広場の造営にも携わっています!

サン・ピエトロ広場 バチカン
saint-peter's-square

すごいですね~✨

「ベルニーニはローマのために生まれ、ローマはベルニーニのためにつくられた」と称賛されました。

Q.28
ルーベンスは当時のフランス皇太后の依頼で、この絵を含む大規模な連作を描きました。その皇太后とは?
① マリー・ド・ブルゴーニュ
② マリー・ド・フランス
③ マリー・ド・メディシス
④ マリナ・ド・ブルボン
出典:美術検定実行委員会・編『知る、わかる、みえる 美術検定4級問題 入門編 』 (株)美術出版社 2021  p.66
ルーベンス マリー・ド・メディシスのマルセイユ上陸

《マリー・ド・メディシスのマルセイユ上陸》
(連作《マリー・ド・メディシスの生涯》より)
1621-25年 油彩・キャンヴァス 
394x295㎝ ルーブル美術館(パリ)

答え ③ マリー・ド・メディシス

マリー・ド・メディシスは、イタリアの大富豪メディチ家の娘
フランス王アンリ4世の2番目の王妃で、ルイ13世の母です。

描いたのは、ピーテル・パウル・ルーベンス(1577-1640)。

ルーベンス

《自画像》
1623年 ロイヤルコレクション(イギリス)

ルーベンスは、《マリー・ド・メディシスの生涯》として、21点の連作を描いています。この絵はそのうちの6番目。

マリーは自らの権威確立のために、ルーベンスに連作を依頼します。

ルーベンスは、政治的に功績のないマリーの生涯を、神話になぞらえてドラマティックに描くことで、王妃としての権威を表そうとしました。

しかしすべての作品が完成した頃には、マリーは失脚してしまいます……

素晴らしい歴史画・宗教画を多数描いたルーベンス。
やっぱり『フランダースの犬』が浮かびます。🐶

ルーベンス キリスト降架

《キリスト降架》
1611-14年 油彩・板 
420.5x320㎝ 聖母大聖堂(アントウェルペン)

Q.29
この作品を描いたのは
① ルーベンス
② ヴァン・ダイク
③ ベラスケス
④ ムリーリョ
出典:美術検定実行委員会・編『知る、わかる、みえる 美術検定4級問題 入門編 』 (株)美術出版社 2021  p.66
ヴァン・ダイク チャールズ1世の肖像

《チャールズ1世の肖像》
1635年頃 油彩・キャンヴァス
266×207㎝ ルーブル美術館(パリ)

答え ② ヴァン・ダイク

アンソニー・ヴァン・ダイク(1599-1641)は、バロック期フランドル出身の画家。

《自画像》1621年(22歳)頃

ルーベンスの工房で弟子として働いたのち、イタリア留学を経て、イギリス王チャールズ1世の宮廷画家へ!

上流階級の華麗な肖像画を多く描いています。


この絵はチャールズ1世が狩りに出て、ひと休みしているところで、《狩猟場の王》とも呼ばれる作品です。

形式ばった堅苦しい肖像画ではなく、威厳を持ちながらも人間味あふれる描写ですね♪

このような人物と風景画の組み合わせや構図は、18世紀のイギリスの肖像画や風景画の発展に、大きな影響を与えています。

Q.30
この作品を描いたのは
① ルーベンス
② ヴァン・ダイク
③ フェルメール
④ レンブラント
出典:美術検定実行委員会・編『知る、わかる、みえる 美術検定4級問題 入門編 』 (株)美術出版社 2021  p.68
レンブラント 夜警

《夜警》
1642年 油彩・キャンヴァス
379.5x453.5㎝ アムステルダム国立美術館(オランダ)

答え ④ レンブラント

レンブラント・ファン・レイン(1606-1669)は、オランダの画家。
「光の魔術師」「光の画家」とも呼ばれます✨

《自画像》1660年(54歳)

《夜警》は、町の自警団のメンバーたちを描いた集団肖像画です。

当時、裕福な市民がお金を出し合って、肖像画を描いてもうらうのが、ステイタスシンボルでした。

正式なタイトルは《フランス・バニング・コック隊長とウィレム・ファン・ライテンブルフ副隊長の市民隊》です。

Frans de Wit from Netherlands, CC BY-SA 2.0 , via Wikimedia Commons
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/60/Rijksmuseum_%2825621972346%29.jpg

そしてこれは、夜ではなく昼の情景

保護のために塗られたニスの劣化により、黒ずんでしまっていたことから《夜警》と呼ばれるようになりました。

斜め上方からの光がドラマチックです✨
この光の当て方を、現在も撮影において「レンブラント・ライト」というそうですね♪

2019年~2021年にかけての美術館内での公開修復作業が完了しています✨

Q.31
現存する作品が30数点、このオランダの画家は
① ヴァン・ダイク
② ハルス
③ ライスダール
④ フェルメール
出典:美術検定実行委員会・編『知る、わかる、みえる 美術検定4級問題 入門編 』 (株)美術出版社 2021  p.68
フェルメール 真珠の耳飾りの少女

《真珠の耳飾りの少女》
1665年頃 油彩・キャンヴァス
44.5×39㎝ マウリッツハイス美術館(オランダ)

答え ④ フェルメール

ヨハネス・フェルメール(1632-1675)は、ひとつ前の問題にも出たレンブラントと並んで、バロック期オランダ絵画を代表する画家です。

フェルメール

フェルメール
《取り持ち女》
(1965年)の左端の人物

フェルメールは生涯のほとんどを、故郷デルフトで過ごしています。

潤んだ唇…
瞳や白い真珠の輝き…

この作品は「北方のモナ・リザ」とも呼ばれています✨

「フェルメールブルー」と言われるターバンの「青」は、ウルトラマリン・ブルーと呼ばれるアフガニスタン原産の宝石・ラビス・ラズリを砕いて、細かい粒子にしたものに、亜麻仁油を加えた特別な絵具

「青の王様」とも呼ばれ、当時は黄金にも匹敵するほど高価なものでした!

また特徴的なやわらかな光は、カメラの原型である「カメラ・オブスキュラ」の原理を利用して描かれています。

カメラ・オブスキュラ

遠近感や輪郭がつかみやすくなり、ピントをずらすことで、光の点を浮き上がらせることができたそう。

その光の粒を描いたフェルメール「光の魔術師」と呼ばれています✨

Q.32
この絵の左端の人物は画家自身です。それは誰?
① ゴヤ
② ダヴィッド
③ ヴァン・ダイク
④ ベラスケス
出典:美術検定実行委員会・編『知る、わかる、みえる 美術検定4級問題 入門編 』 (株)美術出版社 2021  p.68
las-meninas-diego-velázquez

《ラス・メニーナス》
1656年 油彩・キャンヴァス
320.5x281.5㎝ プラド美術館(マドリード)

答え ④ ベラスケス

ディエゴ・ベラスケス(1599-1660)は、スペイン・バロックを代表する画家。

市民の姿を主題に多く描き、その後宮廷画家となりマドリードへ。

この作品は後世の画家に「すべての絵画の最高位に位置するもの」と絶賛されたベラスケスの代表作です。

《ラス・メニーナス》とは、スペイン語で「宮廷の侍女たち」という意味。
17世紀当時の作品目録では《家族の肖像》とされていたようです。

スペイン王フェリペ4世の息女マルガリータ(当時5歳)を中心に、女官次女たちが描かれています。

画面左に絵筆を持つベラスケス自身が!

ベラスケス 自画像 ラス・メニーナス

そして中央奥の鏡の中に、マルガリータの両親である国王夫妻が!

ベラスケス ラス・メニーナス 国王夫妻

つまりこの絵は

ベラスケスが、国王夫妻をモデルに絵を描いている時に、

女官をつれたマルガリータ王女が見学に訪れた場面を、

国王夫妻からの視点で、描かれたものです!

描く 描かれる…
見る 見られる…

これらを1枚の絵の中で表現した複雑な構成

すごいですね~✨

究極の絵として、西洋では印象派などのどの絵よりも、はるかに高く評価されています。

【参考図書】
知る、わかる、みえる 美術検定4級問題[入門編 introduction]  美術検定実行委員会編  株式会社美術出版社
改訂版 西洋・日本美術史の基本 美術検定1・2・3級公式テキスト 美術検定実行委員会編  株式会社美術出版社  2019
続 西洋・日本美術史の基本  美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社  2018
増補新装 カラー版 西洋美術史  高階秀爾監修 株式会社美術出版社  2021
この絵、誰の絵? 100の名作で西洋・日本美術入門  佐藤晃子著 株式会社美術出版社  2019
芸術教養シリーズ6 盛期ルネサンスから十九世紀末まで 西洋の芸術史 造形篇II  水野千依編  株式会社幻冬舎  2013