
《真珠の耳飾りの少女》
1665年頃
油彩・キャンヴァス
44.5×39㎝
マウリッツハイス美術館(オランダ)
ヨハネス・フェルメール(1632-1675)は、ひとつ前の問題にも出たレンブラントと並んで、バロック期のオランダ絵画を代表する画家です。
フェルメールは生涯のほとんどを、故郷デルフトで過ごしています。
潤んだ唇…
瞳や白い真珠の輝き…
この作品は「北方のモナ・リザ」とも呼ばれています✨
「フェルメールブルー」と言われるターバンの「青」は、ウルトラマリン・ブルーと呼ばれるアフガニスタン原産の宝石・ラビス・ラズリを砕いて、細かい粒子にしたものに、亜麻仁油を加えた特別な絵具。
「青の王様」とも呼ばれ、当時は黄金にも匹敵するほど高価なものでした!

フェルメール
《取り持ち女》(1965年)の左端の人物
また特徴的なやわらかな光は、カメラの原型である「カメラ・オブスキュラ」の原理を利用して描かれています。

遠近感や輪郭がつかみやすくなり、ピントをずらすことで、光の点を浮き上がらせることができたそう。
その光の粒を描いたフェルメールは「光の魔術師」と呼ばれています✨

《ラス・メニーナス》
1656年
油彩・キャンヴァス
320.5x281.5㎝
プラド美術館(マドリード)
ディエゴ・ベラスケス(1599-1660)は、スペイン・バロックを代表する画家。
市民の姿を主題に多く描き、その後宮廷画家となりマドリードへ。
この作品は後世の画家に「すべての絵画の最高位に位置するもの」と絶賛されたベラスケスの代表作です。
《ラス・メニーナス》とは、スペイン語で「宮廷の侍女たち」という意味。17世紀当時の作品目録では《家族の肖像》とされていたようです。
スペイン王フェリペ4世の息女マルガリータ(当時5歳)を中心に、女官や次女たちが描かれています。
画面左に絵筆を持つベラスケス自身が!

そして中央奥の鏡の中に、マルガリータの両親である国王夫妻が!

つまりこの絵は
ベラスケスが、国王夫妻をモデルに絵を描いている時に、
女官をつれたマルガリータ王女が見学に訪れた場面を、
国王夫妻からの視点で、描かれたものです!
描く 描かれる…
見る 見られる…
これらを1枚の絵の中で表現した複雑な構成…
すごいですね~✨
究極の絵として、西洋では印象派などのどの絵よりも、はるかに高く評価されています。
【参考図書】
知る、わかる、みえる 美術検定4級問題[入門編 introduction] 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社
改訂版 西洋・日本美術史の基本 美術検定1・2・3級公式テキスト 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2019
続 西洋・日本美術史の基本 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2018
増補新装 カラー版 西洋美術史 高階秀爾監修 株式会社美術出版社 2021
この絵、誰の絵? 100の名作で西洋・日本美術入門 佐藤晃子著 株式会社美術出版社 2019
芸術教養シリーズ6 盛期ルネサンスから十九世紀末まで 西洋の芸術史 造形篇II 水野千依編 株式会社幻冬舎 2013