3級 過去問/Q.267

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Phase%E2%80%94Mother_Earth,_1968.jpg
《位相-大地》
1968年 土
φ220×H(深さ)270cm
第1回神戸市須磨離宮公園現代野外彫刻展での展示
関根伸夫(せきね のぶお/1924-2019)は、多摩美術大学大学院油絵研究科を卒業し、斎藤儀重に師事。「もの派」を代表する作家です。
1968年10月、神戸市須磨離宮公園で行われた第1回現代野外彫刻展で、《位相-大地》(いそう-だいち)という作品を発表。会場である公園の地面に円筒形の穴を掘り、そこから出た土を同じ形に固めて、穴の横に並べました。
表現行為を切りつめていくと、単なる素材の変換作業に還元できることを示しました。
周囲に衝撃を与えたこの作品は、朝日新聞賞を受賞。「もの派」の記念碑的作品と考えられています。
「もの派」の作品は、土や石、ガラス、鉄といった素材がほぼそのままの姿で一時的に設置され、発表後は解体される一過性が特徴です。素材や空間、人との関係性を重視しています。

《空相-水》
1969年 鉄・ラッカー・水
30×220×160cm, 120×120×120cm
第9回現代日本美術展での展示
👇こちらのサイトがとても詳しいです。
3級 過去問/Q.268
李禹煥《関係項》 1968/2019年
作ったのは李禹煥(リーウーファン/1936-)。

設置している李禹煥
グッケンハイム美術館
こちらも「もの派」の代表的な作家で、韓国に生まれ、日本を拠点に世界的に活動している美術家です。
この作品に使用した素材は、自然の石とガラスの板です。
もの派は「つくらない」要素を作品に取り入れることを重視しました。
作家が作品全体をコントロールするのではなく、作家自身がつくることができない自然の物や、産業用の資材などと、場所と鑑賞者とを結びつけて「出会いの場」という、新しい世界を提示しました。
李は、関根伸夫の《位相-大地》を評価。2人の研究会には、多くの後輩たちが参加しました。
直島には李禹煥美術館があります。(設計は安藤忠雄)
その他の作品はこちらで確認を👇
3級 過去問/Q.269
八木一夫(やぎ かずお/1918-1979)は、京都出身の陶芸家。
京都市立美術工芸学校彫刻科を卒業後、陶芸に専念します。
1948年から「走泥社」(そうでいしゃ)を主宰。伝統にとらわれない自由な陶芸を目指して、立体造形である「オブジェ焼き」という新分野を拓きます。用途を持たない、陶による純粋な造形作品です。
用途や機能性にとらわれない一方、素材や技術を重視しました。
作品《ザムザ氏の散歩》はこちらで確認を👇
作品名の「ザムザ氏」とは、カフカの小説「変身」の主人公、グレゴール・ザムザのことです。一夜にして昆虫に変身した主人公と、八木自身の陶芸家としての変貌とを重ね合わせているそう。
👇京都五条坂で《ザムザ氏の散歩》を肩にのせる八木一夫の写真が!
八木一夫はその他、
1972年札幌オリンピックの、メダルのデザインも担当しています。

他の答えの作家も確認しておきます。


https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Thrown,_Combed_tea_bowl_by_Shoji_Hamada_(YORYM-2004.1.1957).JPG

【参考図書】
知る、わかる、みえる 美術検定3級問題[基本編 basic] 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2021
改訂版 西洋・日本美術史の基本 美術検定1・2・3級公式テキスト 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2019
続 西洋・日本美術史の基本 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2018
増補新装 カラー版日本美術史 辻惟雄監修 株式会社美術出版社 2020
この絵、誰の絵? 100の名作で西洋・日本美術入門 佐藤晃子著 株式会社美術出版社 2019