美術検定3級 過去問/Q.262~266(昭和時代1945~1970年代の美術 3)

1960年代にニューヨークを中心に展開した芸術運動「フルクサス」のメンバーだったアーティストはだれですか?
① 草間彌生
② 多田美波
③ 田中敦子
④ オノ・ヨーコ
出典:美術検定実行委員会・編『美術検定3級問題集-知る、わかる、みえる』 (株)美術出版社 2021  p.130
答え ④ オノ・ヨーコ
オノ・ヨーコ

オノ・ヨーコ(小野洋子/1933-)というと、まずジョン・レノンが浮かびますね。 フルクサスのメンバーの1人でした。

フルクサス」は、創始者ジョージ・マチューナスを中心に、1960年代にドイツで結成されました。後にニューヨークを中心に展開した芸術運動です。

詩や音楽を交えたパフォーマンスは「イヴェント」と称されて、日常的な場所を芸術表現のための場、とするような活動を多く行いました。

フルクサスは、3級Q.151の問題でも確認を!

オノ・ヨーコの代表的イヴェントは1965年の《カット・ピース》です。舞台上に座った彼女の衣服を、観客が順番に切り刻んでいくというパフォーマンスです。こちらのサイトを参考に👇

日本では、草月ホールがフルクサスの活動の舞台となりました。

3級 過去問/Q.263

反芸術に関係する次の作家と代表的な作品の組み合わせで、正しいものはどれですか?
① 赤瀬川原平-《洗濯バサミは攪拌行動を主張する》
② 中西夏之-《耳》
③ 三木富雄-《宇宙の缶詰》
④ 工藤哲巳-《増殖性連鎖反応》
出典:美術検定実行委員会・編『美術検定3級問題集-知る、わかる、みえる』 (株)美術出版社 2021  p.130
答え ④ 工藤哲巳-《増殖性連鎖反応》
工藤哲巳

工藤哲巳(くどう てつみ/1935-90)の代表的作品《X型基本体に於ける増殖性連鎖反応》は、こちらのサイトで確認できます👇

反芸術」は、既存の美術への根本的な問いかけや、新たな問題を提起しようとする芸術傾向です。

日本ではとくに「読売アンデパンダン」展に出品された反社会的な表現や、過激化した芸術家たちのパフォーマンスに対して多く使われます。

この作品を、美術評論家の東野芳明が「ガラクタの反芸術」と呼んだことで、その名称が一般化しました。

ほかの選択肢の正しい組み合わせ👇

赤瀬川原平(あかせがわ げんぺい)-《宇宙の缶詰》
中西夏之(なかにし なつゆき)-《洗濯バサミは攪拌行動を主張する》
※攪拌(かくはん)とは かき混ぜることです
三木富雄(みき とみお)-《耳》

3級 過去問/Q.264

ハイレッド・センターの中心メンバーは3人です。高松次郎と赤瀬川原平ともう一人はだれですか?
① 中ザワヒデキ
② 中西夏之
③ 中村政人
④ 中川一政
出典:美術検定実行委員会・編『美術検定3級問題集-知る、わかる、みえる』 (株)美術出版社 2021  p.130
答え ② 中西夏之

中西夏之(なかにしなつゆき/1935-2016)
一つ前の問題で出てきた、洗濯バサミの作家ですね。

1963(昭和38)年、高松次郎赤瀬川原平とともに「ハイレッド・センター」を結成します。

その名称は、高松赤瀬川中西3人の名前の最初の文字を、英語にして組み合わせたものです。

高松の➝ high ハイ
赤瀬川の➝ red レッド
中西の➝ center センター

奇異な化粧で電車に乗ったり、白衣で銀座の街路を清掃したりと、日常的な場所で非日常的な行動やイベントを行い、社会的関心を集めました。

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3級 過去問/Q.265

戦後日本の前衛美術の発表拠点として知られてきたものの、1964年に急遽開催中止されてしまった展覧会はどれですか?
① 日本美術展覧会
② 現代日本美術展
③ 読売アンデパンダン展
④ 日本国際美術展
出典:美術検定実行委員会・編『美術検定3級問題集-知る、わかる、みえる』 (株)美術出版社 2021  p.132
答え ③ 読売アンデパンダン展

2つ前の問題で出てきましたね。

読売アンデパンダン」展という名前は、当初「日本アンデパンダン」展でした。読売新聞社主催のもと、1949年に東京都美術館で始まりました。

しかし日本美術協会主催の同じ名前の展覧会から抗議を受け、1957年に改称しています。

無審査・無償・自由出品だったため、人気を博しましたが、既存の形式に飽き足らない作家たちが、それまでの概念を破壊するかのような作品が発表され、過激化しました。

その行きすぎた過激さによって、1962(昭和37)年に東京都美術館が「陳列作品規格基準要項」を制定します。

しかし状況が変わらなかったため、1964(昭和39)年の第16回開催を前に中止となっています。

3級 過去問/Q.266

「日付絵画」で知られる美術家はだれですか?
① 荒川修作
② 河原温
③ 松澤宥
④ 高松次郎
出典:美術検定実行委員会・編『美術検定3級問題集-知る、わかる、みえる』 (株)美術出版社 2021  p.132
答え ② 河原温

河原温(かわら おん/1932-2014)は、コンセプチュアル・アートの第一人者です。

1950年代、身体がバラバラになった人間を浴室の中に描いた「浴室」シリーズを発表し注目されますが、1965年、ニューヨークに拠点を移してからは、一転してコンセプチュアルな作品を制作します。

「日付絵画」シリーズは、1966(昭和41)年の34歳の時から亡くなるまで毎日、日付だけを描いた作品です。

日付絵画の確認はこちらを👇

その日一日の生活や、社会の出来事などすべてを、日付という記号に凝縮させています。

コンセプチュアル・アート」については、簡単ですが Q.156で確認を!

河原温の他のシリーズとして

「I READ」(「日付絵画」制作日に関係する新聞記事)
「I MET」(その日に会った人物の名前)
「I WENT」(その日滞在し通った道筋を示した地図のコピー)

などがあり、いずれもルーズリーフ・ファイルに綴じ込まれています。

👇こちらは「One Million Years(百万年)」シリーズです。

河原温 百万年
Janet Lindenmuth, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons https://commons.wikimedia.org/wiki/File:One_million_years.jpg

「百万年過去」(紀元前998,031年~1969年)と、「百万年未来」(1981年~1,000,980年)もあり、延々と年代がタイプ打ちされています。

【参考図書】
知る、わかる、みえる 美術検定3級問題[基本編 basic] 美術検定実行委員会編  株式会社美術出版社  2021
改訂版 西洋・日本美術史の基本 美術検定1・2・3級公式テキスト 美術検定実行委員会編  株式会社美術出版社  2019
続 西洋・日本美術史の基本 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2018
増補新装 カラー版日本美術史 辻惟雄監修 株式会社美術出版社 2020

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