美術検定3級 過去問/Q.259~261(昭和時代1945~1970年代の美術 2)

1951年に結成された「実験工房」に参加した造形作家はだれですか?
① 白髪一雄
② 菅井汲
③ 山口勝弘
④ 荒川修作
出典:美術検定実行委員会・編『美術検定3級問題集-知る、わかる、みえる』 (株)美術出版社 2021  p.128
答え ③ 山口勝弘

山口勝弘(やまぐち かつひろ/1928-2018)は、造形作家として活動をはじめ、後にビデオメディアを使っての表現者となります。
日本でいち早く、最新のテクノロジーを取り入れて活動した作家です。

実験工房」は、 山口勝弘の他、音楽家の武満徹や、音楽評論家の秋山邦晴、他にピアニストや写真家など、様々なジャンルで活動する14人で構成。総合芸術の実験を推進したグループです。

実験工房」という名前は、まとめ役だった瀧口修造(シュルレアリスムを日本にもたらした美術評論家・詩人)が命名しました。

1951年、ピカソ展の前夜祭としての創作バレエ公演が第1作となり、その後舞台や映画など、幅広い分野で共同制作を行っています。

山口勝弘は、1970年の日本万国博覧会では、三井グループ館の総合プロデューサーを務めています。

その他の活躍はこちらを👇

武満徹(たけみつ とおる/1930-96)

和楽器(琵琶・尺八)をとり入れたオーケストラによる《ノヴェンバー・ステップス》(1967年)で、日本を代表する現代音楽家に。

武満徹
秋山邦晴(あきやま くにはる/1929-96)

ビデオ・アートといえば、ナム・ジュン・パイクが代表的な存在です。(3級Q.162

3級 過去問/Q.260

吉原治良を中心に、1954年に発足した関西の前衛グループは、次のうちどれですか?
① ゼロ次元
② 具体美術協会
③ 時間派
④ 昭和30年会
出典:美術検定実行委員会・編『美術検定3級問題集-知る、わかる、みえる』 (株)美術出版社 2021  p.130
答え ② 具体美術協会

具体美術協会は、ひとつ前の問題に出てきた「実験工房」(1951年)に続いて、1954年に、兵庫県芦屋市で結成された前衛芸術集団です。

中心となったのが前衛作家の吉原治良(よしはら じろう/1905-1972)。写真の右側が吉原です。

長谷川三郎と吉原治良

谷川三郎(左)と  吉原治良(右)

吉原の指導のもと、従来の素材や表現にとらわれない実験的な試みが推奨されました。今でいうパフォーマンスインスタレーションを先取りするものでした。

吉原は、抽象画家で実業家でもありました。
代表作《黒地に白》👇

その他の作品はこちらを👇

具体美術協会の他の主要メンバ-は、

嶋本昭三(しまもと しょうぞう/1928-2013)
白髪一雄(しらが かずお/1924-2008)

天井から吊るしたロープにぶら下がって、床に広げたキャンバスに足で描く「フット・ペインティング」で知られます。

村上三郎(むらかみ さぶろう/1925-1996)

《紙破り》は、木枠に張った多数の紙を突き破って通り抜けるパフォーマンスです。

田中敦子(たなか あつこ/1932-2005)

電線と電球からなる《電気服》を着用しました。

当時、吉原以外は皆20代の若手で、破天荒な作品が生まれました。

機関誌『具体』を発刊し、海外に送るなど国際的にも注目を集めましたが、1972年、吉原の死により解散しています。

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3級 過去問/Q.261

ミシェル・タピエ(仏の評論家)が高く評価するなど、海外からも注目を浴びた下図の作者はだれですか?
① 白髪一雄
② 元永定正
③ 菅井汲
④ 斎藤義重
出典:美術検定実行委員会・編『美術検定3級問題集-知る、わかる、みえる』 (株)美術出版社 2021  p.130

下図はこちらで確認を👇

《鬼》
1957年 油彩・合板
145×112.5㎝ 神奈川県立近代美術館

答え ④ 斎藤義重
斎藤義重

斎藤義重(さいとう よししげ/1904-2001)は、日本の前衛芸術を牽引した作家の一人です。

厳格な軍人家庭に生まれ、幼いころより美術に興味を示します。少年時代に、ロシア未来派の展覧会に影響を受けて、戦前から前衛芸術を模索するようになりました。

1930年代には、絵画の枠組みを超えた立体的な作品に向かいます。1950年代後半から、日本国際美術展(東京ビエンナーレ)での受賞をはじめ、国際的にも注目されるようになりました。

長岡現代美術館(1964-79年の期間)

1964年、多摩美術大学で教鞭を執ります。

斎藤教室からは、後に「もの派」として活躍するの関根信夫(せきねのぶお/1942-2019)や、菅木志雄(すが きしお/1944-)など、多くの現代美術家が巣立っています。もの派は、石や木や鉄板など、ほとんど手を加えない「もの」を単体や組み合わせで作品として、ものへの還元から芸術の再創造を目指した流れです。

こちらのサイトで詳しく作家を紹介しています👇

関根信夫菅木志雄については、後の問題で。

【参考図書】
知る、わかる、みえる 美術検定3級問題[基本編 basic] 美術検定実行委員会編  株式会社美術出版社  2021
改訂版 西洋・日本美術史の基本 美術検定1・2・3級公式テキスト 美術検定実行委員会編  株式会社美術出版社  2019
続 西洋・日本美術史の基本 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2018
増補新装 カラー版日本美術史 辻惟雄監修 株式会社美術出版社 2020

この絵、誰の絵? 100の名作で西洋・日本美術入門  佐藤晃子著  株式会社美術出版社  2019

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