3級 過去問/Q.256
《クォ・ヴァディス》
1949年 油彩・キャンヴァス
91×117㎝ 東京国立近代美術館
北脇昇(きたわき のぼる/1901-51)は、名古屋市出身ですが、少年時代に移った京都で活躍しました。
第二次世界大戦前からシュルレアリスムの影響を受けて、幻想的な画風を築きました。
作品のタイトル《クォ・ヴァディス》は、新約聖書に由来するラテン語で「どこへ行くのか?」という意味です。
道が二手に分かれていますね。
右には遠くに嵐が… 左にはデモ隊の人の列…
戦後の日本の不確かな状況や、画家の心情が重なります。
作品の詳細はこちらを👇
《1945年秋のシュールな光景》
《周易解里図(八掛)》
1941 油彩・キャンヴァス
129×162㎝ 東京国立近代美術館
《周易解里図(泰否)》
1941 油彩・キャンヴァス
96×116㎝ 京都市京セラ美術館
北脇昇の他の作品はこちらを。👇
3級 過去問/Q.257
想像を絶する大量殺戮の記録画です。
亡霊のようにさまよう被爆者の姿は、画家たちがとらえた現代の地獄絵ともいわれています。
描いたのは、丸木位里(まるき いり/1901-95)と丸木俊(まるき とし/1912-2000)。夫妻による連作です。(俊さんが奥様です)
丸木位里
丸木俊
原爆投下の3日後、当時東京に住んでいた位里は、ふるさとの広島へ向かい、俊とともに救援活動を手伝います。
その5年後、水墨画家の位里と、油彩画家の俊による共同作業で、第1部 《幽霊》、第2部 《火》、第3部《水》の、3部作として《原爆の図》を発表します。
その後32年かけて、第15部まで描き続けました。
2人は「明るい日本をつくるために、暗い悲しい日本の姿を描く必要がある」と考えました。
そしてこのシリーズ作品を、いつでも鑑賞できるよう、1967年埼玉県に「原爆の図 丸木美術館」を開館します。
第15部《長崎》のみ、長崎原爆資料館の所蔵です。
戦争体験をもとに、作品を描いた作家としてもう一人、
👇 代表作の《重い手》です。
戦後の混乱した社会の中での、苦しさが感じられます。
3級 過去問/Q.258
東山魁夷(ひがしやま かいい/1908-99)は、生涯日展で活躍した日本画家です。
風景画の分野では、国民的画家といわれています。文化勲章受章者。
《道》
1950年 絹本彩色
134.4×102.2㎝ 東京国立近代美術館
記念館がいくつもあります。
東山魁夷と同世代の日展の人気作家に、杉山寧と高山辰雄がいます。
東山・杉山・高山の3人は、姓に「山」があることから「日展三山」と呼ばれました。
他の答えとして出てきた作家です。
日展の重鎮・中村岳陵に師事し、22歳で日展に初入選しますが、1961年に脱退。それ以降は個展中心に活躍します。日本画の既成概念を超越した作品を描きました。
1948年、女性として初めて日本美術院の同人となり、理事にもなります。文化勲章受章。
仏教やシルクロードをテーマとした作品を多く描きました。
東京藝術大学学長を務め、こちらも文化勲章を受章しています。
小倉遊亀と平山郁夫は、院展で活躍しました。
【参考図書】
知る、わかる、みえる 美術検定3級問題[基本編 basic] 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2021
改訂版 西洋・日本美術史の基本 美術検定1・2・3級公式テキスト 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2019
続 西洋・日本美術史の基本 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2018
増補新装 カラー版日本美術史 辻惟雄監修 株式会社美術出版社 2020
この絵、誰の絵? 100の名作で西洋・日本美術入門 佐藤晃子著 株式会社美術出版社 2019