ギリシアの美術

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ギリシア美術

紀元前1000年中頃のエーゲ海一帯、クレタ美術のデザイン性や、ミケーネ美術の論理性を引き継いで、新たな異なる特徴をもった古代ギリシアの美術が誕生します。

紀元前8世紀ころからは、ポリスがと呼ばれるいくつもの都市国家が生まれ、文明圏を形成していきます。
紀元前5世紀には、それぞれの都市に巨大神殿が設けられました。

生きている人間が、初めて描かれるようになったのも、このギリシア美術です。
古代ギリシアでは、神々人間と同じような姿で、同じような感情をもつと考えられていました。そのため肉体の表現に、完全な調和美しさを求めました。


年代
 ギリシア美術は大きく4つの時代に分けられます。
     1. 幾何学様式期(紀元前10世紀~紀元前7世紀初)
     2. アルカイック期(~紀元前5世紀初)
     3. クラシック期(~紀元前330年頃)
     4. ヘレニズム期(紀元前323年~31年)

 地域 ギリシャ全域

キーワード クロース・黒絵式陶器・アルカイックスマイル・
      コントラポスト
・神殿

ものの形を、簡単で単純に、規則的にとらえます。
立像は、わずかな動きを持ち始めます。

特徴 幾何学的文様・厳密で単純な形状・エジプト美術の影響

幾何学様式アンフォラ

原幾何学様式アンフォラ

紀元前1050年~紀元前900年頃の様式

高さ 35㎝

Metropolitan Museum of Art, CC BY 2.5 , https://commons.wikimedia.org/wiki/File:WLA_metmuseum_Krater_Hirschfeld_Workshop.jpg

後期幾何学様式アンフォラ

紀元前760年~紀元前750年頃

主要部分に人間が描かれるようになります。

「アンフォラ」とは 2つの持ち手を持つ胴の長い陶器のこと。

Metropolitan Museum of Art, CC BY 2.5 , https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Geometric_krater_Met_14.130.14_n02.jpg

アルカイック期

彫刻はより自然な人間の形を持つようになり、描かれる人間の姿にも、生き生きとした表現が生まれます。
この頃より大理石による大神殿の建造も始まり、ポリスが発展します。

アルカイックという言葉はギリシア語で「古い」を意味するarchais(アルカイオス)に由来。
この時代の彫刻に見られる微笑みを「アルカイック・スマイル」とよびます。


特徴 
アルカイック・スマイク・ぎこちなさ

オーセールの婦人像

Louvre Museum, CC BY 2.5 , https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Lady_of_Auxerre_Louvre_Ma3098_n1.jpg

紀元前650年頃

コレー(少女)

着衣で直立した姿

時代とともに、表情やポーズに自然な柔らかさが加わってきます。

アテネのアポロン

Zde, CC BY-SA 3.0 , https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Kouros_120413.jpg

紀元前550年頃(アネア出土)

ク―ロス(青年)

裸体で左足を一歩前に出し、握った両手はまっすぐ下へ。

口角を上げて微笑んでいるような表情は、アルカイック・スマイル

日本の飛鳥・白鳳時代の仏像にも同じような表情が見られます。

将棋を指すアキレウスとアイアス

Exekias, Public domain, via Wikimedia Commons

紀元前540年~紀元前530年頃ヴルチ出土)
黒像式陶器
エクセキアス(アッティカの陶工・陶器画家で 黒像式陶器を完成に導きました)

ヴァチカン美術館蔵

黒像式(こくぞうしき)は黒絵式(くろえしき)とも呼ばれた陶器の装飾ようしきの 1つ。黒色で像のシルエットを描いて、刻線で細かな描写をし、彩色を施してから焼く技法です。

 

Andokides painter, Public domain, via Wikimedia Commons

アンドキデスの画家
(エクセキアスの弟子)

紀元前520年頃

黒像式のを逆転させ、背景を黒塗り。絵柄の部分を塗り残して細部を黒褐色で描きこんでいます。

赤像式陶器

国立古代収集/古代彫刻館(ミュンヘン)

クラシック期

彫刻はより動きがみられるようになり、絵画には神話や歴史をテーマとした大画面作品が描かれるようになります。
ギリシアの都市国家アテネが、ペルシアを打ち破り、政治的にも美術的にも最盛期を迎えます。

特徴 自然でリアルなポーズ・理想的な人体比例

クリティオスの少年

Critius, CC BY-SA 3.0 , https://commons.wikimedia.org/wiki/File:009MA_Kritios.jpg

紀元前490年~紀元前480年

片足に体重をかけた動きのあるポーズ(コントラポスト

体中線はわずかにS字に湾曲します。
肉体の起伏で動きや変化を生んで、静止像ながら生命感が生まれています。

正確な人体表現と合わせて、内面意志を表現しようとしています。

 

アクロポリス美術館(アテネ)

円盤投げ/ミュロン

No machine-readable author provided. MatthiasKabel assumed (based on copyright claims)., CC BY-SA 3.0 , https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Greek_statue_discus_thrower_2_century_aC.jpg

紀元前450年頃

彫刻家 ミュロン

振り上げた腕が、次に円盤を手放す
激しい運動の瞬間をとらえ、緊張ある競技者の内面を表現しています。

 

グリュプトテーク蔵(ドイツ)

パルテノン神殿

Steve Swayne, CC BY 2.0 , https://commons.wikimedia.org/wiki/File:The_Parthenon_in_Athens.jpg

紀元前447年~紀元前432年頃
ペンテリコン大理石
床面31×69.5m 46本の柱

当時最高の彫刻家といわれたペイディアス指導のもと建設されました。

この神殿には、直線がひとつも使われていません。
床の中央部は少し高く、柱の中心もわずかに膨らんでいます。(エンタシス*
全体的に微妙に曲線を描いていて、それが人の目に錯覚をおこさせ、本当の直線より美しく見えるよう計算されています。

また、柱頭様式*は、外側にドーリア式、内部にイオニア式の融合です。


*エンタシス
円柱の中央部が少しふくらんでいること。
外光により柱の中央部がくびれて見えるのを防ぐため、柱の下に立つとまっすぐに見えるという、目の錯覚を利用したもの 。

 

*柱頭様式
古代ギリシアでは柱の様式が3種類あります。

PD
パルテノン神殿 PD

 ドーリア式 一番古くて一番太い・柱頭に装飾なし

PD
© Guillaume Piolle, https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Erechteion_-_chapiteau.jpg

 イオニア式 細くて優美・渦巻き型の装飾

PD
Saga70, CC BY-SA 3.0 , https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Chapiteaux_corinthiens_N%C3%AEmes_Maison_carr%C3%A9e.JPG

 コリント式 さらに細くアカンサスの葉をモチーフにした装飾

アカンサス Karelj, CC BY-SA 3.0 , https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Acanthus_mollis_Prague_2013_1.jpg?uselang=ja
アカンサスの葉 Liné1, CC BY-SA 3.0 , https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Acanthus_mollis_02_by_Line1.JPG?uselang=ja

三美神 ヘスティア・ディオネ・アフロディテ

© Marie-Lan Nguyen /https://commons.wikimedia.org/wiki/File:East_pediment_KLM_Parthenon_BM.jpg

紀元前438年~紀元前432年頃 
パルテノン神殿東破風彫刻
理石 高さ128×幅112㎝

3人の女神の豊かな肉体と、複雑な衣装のひだ

大英博物館(ロンドン)

ヘレニズム期

これまでの理想美よりも、ありのままの人間性を重視して、激しく劇的な動きのある作品が生まれます。
この美術はやがてローマを経て、地中海やアラビア半島にも受け継がれ、ヨーロッパ文化に大きな影響を与えます。

ヘレニズムは「ギリシャ風の」の意。

特徴 激しい動き・人間的

ミロのヴィーナス

Livioandronico2013, CC BY-SA 4.0 , https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Front_views_of_the_Venus_de_Milo.jpg

紀元前130~100年頃
バロス大理石 H202㎝

彫刻家アンティオキアのアレクサンドロス

1820年にエーゲ海の小さな島 ミロ(ミロス)島で発見。

ーブル美術館蔵

ギリシャ神話における、女神アプロディーテの像と考えられています。
右足に重心をかけて体にひねりを持たせたポーズは、ヘレニズム期(ギリシアから各地に広まったギリシア風文化)の特徴です。

男性のヌード像が登場したのは紀元前7世紀頃。
女性のヌードは3世紀ほど遅れて登場しています。

この作品がルーブルから出たのは、たった1度だけ!1964年の日本です。前回の東京オリンピックの年でした。

サモトラケのニケ

全高512㎝ PD

紀元前200年~紀元前190年頃
サモトラキ島出土
全高 H512㎝

ルーブル美術館蔵

翼の生えた勝利の女神ニケが、空から船のさきへと降り立った様子を表現しているといわれています

 

ラオコーン

Vatican Museums, CC BY-SA 3.0 , https://commons.wikimedia.org/wiki/File:0_Laocoon_Group_-_Museo_Pro_Clementino_(Vatican).jpg

紀元前40年~紀元前30年頃
(1506年ローマ出土)

パリオ大理石
H204×W163×D112㎝

 

ヴァチカン美術館蔵

 

トロイア戦争物語の一場面。
大蛇に襲われ 激しく苦悩する様を劇的に表現しています。

この発掘に立ち会ったとするミケランジェロに、大きな影響を与えたことでも知られています。

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