バロック美術(スペイン)

ムリーリョ 無原罪の御宿り 1660
ムリーリョ
《無原罪の御宿り》1660年 プラド美術館

16世紀、いち早く海外へと進出し、各地に植民地を獲得したスペイン。「太陽の沈まぬ帝国」として、ヨーロッパの政治経済の中枢として栄え、カトリックを基盤に絶対王政を確立しました。

17世紀になると、力をつけたオランダやフランスなどによって、政治的には弱体化するものの、美術では黄金時代を迎えます。植民地だったナポリから、直接カラヴァッジョ主義が持ち込まれ、その影響もうけながら、バレンシアやセビーリャ、マドリードと歴史や文化の異なる諸都市で展開していきます。
ベラスケスをはじめ、絵画や彫刻、文学などで多くの芸術家を輩出しました。

特徴 キリスト教的主題・自然主義的明暗法・静物画・風景画

スルバラン 《静物》

スルバラン 静物

1650年 油彩・キャンヴァス
46x84㎝  プラド美術館(マドリード)

鋭い写実力によって、すぐれた静物画を描いています。

フランシスコ・デ・スルバラン

フランシスコ・デ・スルバラン
Francisco de Zurbarán

1598年11月7日~1664年8月27日
スペイン

自然主義的明暗法から出発。深い宗教性や、静謐さ、瞑想性のある作風。

ベラスケス《ラス・メニーナス》

ベラスケス ラス・メニーナス

1656年 油彩・キャンヴァス
318x267㎝ プラド美術館(マドリード)

後世の画家に「すべての絵画の最高位に位置するもの」と絶賛されたベラスケスの代表作。

スペイン王フェリペ4世の息女マルガリータ(当時5歳)を中心に、女官や次女たちが描かれ、一番左には、絵筆を持ったベラスケス自身も描かれています。

「ラス・メニーナス」とは、「宮廷の侍女たち」という意味のスペイン語。

ディエゴ・ベラスケス

ディエゴ・ベラスケス
Diego Velázquez

1599年6月6日-1660年8月6日
スペイン

スペインバロックを代表する巨匠。
マドリードで40年も宮廷画家として君臨。

その他の代表作

ブレダの開城 ベラスケス

《ブレダの開城》
1934-1935年頃 油彩・キャンヴァス
307x367㎝ プラド美術館(マドリード)

ムリーリョ《無原罪の御宿り》

1678年頃  油彩・キャンヴァス
274x190㎝  プラド美術館(マドリード)

「無原罪の御宿り」とは、キリストだけでなく聖母マリアも、神の意志によって原罪(アダムとイブから受け継がれた罪)に染まることなく、母の胎内に宿ったとする教えに基づく主題。

聖母崇拝の盛んなスペインでは、多くの画家たちがこの主題で描いています。

バルトロメー・エステバン・ムリーリョ

バルトロメー・エステバン・ムリーリョ
Bartolomé Esteban Murillo

1617年12月31日-1682年4月3日
スペイン

美しく感傷的な宗教画を描く一方、スペイン庶民のリアルな生活も描いています。
親しみやすく優しい描写。

その他の代表作

ムリーリョ 蚤をとる少年 乞食の少年

《蚤をとる少年(乞食の少年)》
1645~1650年頃  油彩・キャンヴァス
134x100㎝  ルーブル美術館蔵(パリ)

ロイスダール《ワイク・バイ・ドゥールステーデの風車》

ライスダール ウェイク・ベイ・デュールステーデの風車

1670年頃 油彩・キャンヴァス
83x101㎝ 
アムステルダム国立美術館(オランダ)

オランダでは、身近な風景を写し取ったような写実的風景画(忠実な再現ではない)が、盛んに描かれました。
風車と船は、貿易によって栄えるオランダの富の象徴として描かれています。

ライスダール

ヤーコプ・ファン・ライスダール

Jan Brueghel the Elderi
1628年頃-1682年3月14日

ハールレム(オランダ)

 

【参考図書】
改訂版 西洋・日本美術史の基本 美術検定1・2・3級公式テキスト 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2019
続 西洋・日本美術史の基本 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2018
増補新装 カラー版 西洋美術史 高階秀爾監修 株式会社美術出版社 2021
カラー版 1時間でわかる西洋美術史 (宝島社新書) 宮下規久朗著  宝島社 2018
この絵、誰の絵? 100の名作で西洋・日本美術入門 佐藤晃子著 株式会社美術出版社 2019
366日の西洋美術 (366日の教養シリーズ) 瀧澤秀保監修 株式会社三才ブックス 2019
芸術教養シリーズ6 盛期ルネサンスから十九世紀末まで 西洋の芸術史 造形篇II 水野千依編 株式会社幻冬舎 2013