バロック美術(オランダ)

フェルメール 絵画芸術
フェルメール《絵画芸術》1666年頃

ネーデルラント地方北部7つの州が、オランダ共和国として、スペインから独立します。南部はフランドル(カトリック教)でしたね。プロテスタント勢力が強かった北部では、偶像崇拝が禁じられ、宗教画も描かれなくなり、違う美術の発展を見せます。

オランダは国際貿易によって栄え、経済力を持った市民が、新しい美術の担い手となります。多くの美術品が芸術市場で取引されるようになり、人々は織物や陶磁器とともに絵画も収集。わかりやすい表現で、扱いやすい小さめの作品を好みました。またステータス・シンボルとして「肖像画」も求めました。

画家たちもまた、独自の主題を求め、風景画海洋画風俗画静物画など、さまざまなジャンルを開拓していきました。


特徴 市民の買い手・劇的表現・光と影の効果・ヴァニタス画・ジャンルの専門化

ちょっと簡単にカトリックプロテスタントの違いを確認!

カトリックプロテスタント

最高指導者がローマ教皇
マリア崇拝
聖職者は神父とか司祭
日曜日にミサ
罪は善行を積んで救われる(巡礼や寄付 ボランティア)
教会が豪華

カトリックから分離
神様以外みな同じ
マリア崇拝なし
聖職者は牧師
日曜日に礼拝
どんな罪も信仰によって救われる
教会シンプル

フランス・ハルス
Frans Hals

1581/85年頃~1666年8月26日
アントウェルペン

モデルの心理描写に傑出。庶民から裕福な市民まで幅広く描き、オランダ肖像画の基礎を築きました。笑っている人物を多く描いたことから「笑いの画家」と呼ばれます。

《陽気な酒飲み》

フランス・ハルス 陽気な酒飲み

1628-30年頃 油彩・キャンヴァス 
81x66.5㎝ アムステルダム国立美術館

ハルスは、レンブラントフェルメールとともにオランダ三大巨匠のひとり。生気あふれる自然な描写の肖像画を確立しました。

《ハールレムの聖ゲオルギウス市民隊の幹部たちの宴会》

1616年  フランス・ハルス美術館(オランダ)

レンブラント

レンブラント

レンブラント・ファン・レイン
Rembrandt

1606年7月15日-1678年10月4日
ネーデルラント連邦共和国(現オランダ)

静物画を除きあらゆるジャンルの作品を制作。バロック様式と、カラヴァッジョ様式を展開させ、強い明暗の対比で、劇的な効果を生み出しました。

《夜警》

レンブラント 夜警

1642年 油彩・カンヴァス
363x437㎝ アムステルダム国立美術館

正式タイトルは《隊長フランス・バニングコックと副官ウィレム・ファン・ライテンブルクの市民隊》
明暗の差異がつくり出す物語画のような集団肖像画です。

《豆の王様の祝宴》

ヨルダーンス 豆の王様の祝宴

1640年頃 242x300㎝
ウィーン美術史美術館

フェルメール

ヨハネス・フェルメール
Johannes Vermeer
1632年10月31日?-1675年12月15日

ネーデルラント連邦共和国(現オランダ)
「光の魔術師」とよばれるバロック期のオランダ絵画を代表する画家。生涯のほとんどを故郷デルフトで過ごしています。

《手紙を読む女》

フェルメール 手紙を読む女

1663年頃 油彩・キャンヴァス
46.6x39.1㎝ アムステルダム国立美術館

現存する作品は35点ほど。その大半が、上流市民層の日常のひとこまを描いた風俗画で、静謐で荘厳さを感じる作品を描いています。カメラ・オブスキュラ*(カメラの原型となる光学装置)を使ったと言われています。

*カメラ・オブスキュラ

ラテン語で「暗い(オブスキュラ)部屋(カメラ)」の意味。

ピンホール現象を使ったカメラの原型です。
小さな穴を通った光が壁などに逆さまに投影されます。紀元前の頃からすでに知られていた現象です。
この現象を生かした装置はヨーロッパの画家たちの創作意欲を刺激しました。

カメラ・オブスキュラ
カメラ・オブスキュラ
he original uploader was Josemanuel at Spanish Wikipedia., CC BY-SA 3.0 , via Wikimedia Commons
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:CamaraOscura.png

《牛乳を注ぐ女》

フェルメール 牛乳を注ぐ女

1657-58年頃 油彩・キャンヴァス
45.5x41㎝ アムステルダム国立美術館

ロイスダール

ライスダール

ヤーコプ・ファン・ライスダール

Jan Brueghel the Elderi
1628年頃-1682年3月14日

ハールレム(オランダ)

 

《ワイク・バイ・ドゥールステーデの風車》

ライスダール ウェイク・ベイ・デュールステーデの風車

1670年頃 油彩・キャンヴァス
83x101㎝ 
アムステルダム国立美術館

オランダで最も大量に描かれたのが風景画でした。身近な風景を写し取ったような写実的風景画(忠実な再現ではない)が描かれました。

【参考図書】
改訂版 西洋・日本美術史の基本 美術検定1・2・3級公式テキスト 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2019
続 西洋・日本美術史の基本 美術検定実行委員会編 株式会社美術出版社 2018
増補新装 カラー版 西洋美術史 高階秀爾監修 株式会社美術出版社 2021
カラー版 1時間でわかる西洋美術史 (宝島社新書) 宮下規久朗著  宝島社 2018
この絵、誰の絵? 100の名作で西洋・日本美術入門 佐藤晃子著 株式会社美術出版社 2019
366日の西洋美術 (366日の教養シリーズ) 瀧澤秀保監修 株式会社三才ブックス 2019
芸術教養シリーズ6 盛期ルネサンスから十九世紀末まで 西洋の芸術史 造形篇II 水野千依編 株式会社幻冬舎 2013

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