マニエリスムの美術

エル・グレコ オルガス伯の埋葬

盛期ルネサンスの後のイタリア、1530年頃、奇抜さや技巧を凝らした様式「マニエリスム」が登場します。

細長く伸ばされた人物や、入り組んだポーズ、冷たく鮮やかな色彩などが特徴。それまでの完成されたルネサンス的調和や均衡を崩して、独特な表現を追求しています。社会的にも宗教的にも不安定な時代に、不安感漂う緊張感のある作品が描かれました。

「マニエリスム」は、「様式」「手法」を意味するイタリア語の「マニエラ」が語源。今日使われているマンネリズム(マンネリ)も、ここから派生した言葉です。

やがてフランスやプラハやウィーンと、欧州各地へ広がり、各地の宮廷を中心に広まりました。
明暗や遠近を強調した動的な構成は、バロック様式へと繋がります。


時代 16世紀~17世紀初め
キーワード 人体のねじれ・冷たく鮮やかな色・遠近法の誇張・明暗のコントラスト・寓意画・螺旋構図 

ロッソ・フィオレンティーノ《十字架降下》

重量感のない謎めいた人物や、曖昧な空間表現。

ロッソ・フィオレンティーノ 十字架降下

 1521年 油彩・板
 ヴォルテラ美術館

ロッソ・フィオレンティーノ

ロッソ・フィオレンティーノ
Rosso Fiorentino
(本名 ジョバンニ・バティスタ・ディ・ヤコポ)
(1494年~1540年)

イタリア出身
ポントルモと同じ工房で修業
フランソワ1世にマネからフランスへ

ポントルモ《十字架降下》

鮮やかで冷たい色使い、人物の表情やデフォルメされた体つき、浮遊感による不明確な位置関係など、不安をかきたてるような描写。
盛期ルネサンス美術を規範としながらも、それとは異なる独自の表現を模索しています。

ポントルモ 十字架降下

 1525-28年頃
 サンタ・フェリチタ聖堂 カッポーニ礼拝堂(フィレンツェ)

ヤコポ・ダ・ポントルモ
Jacopo da Pontormo
1494年5月24日-1557年1月2日

イタリアの画家

パルミジャニーノ《長い首の聖母》

S字に曲がった首の聖母マリア、不自然な体つきのキリスト、いくつもの視線が交差し、右下には哲学者?それぞれに寓意がありそうですが、明確な答えは不明のまま。

パルミジャニーノ 長い首の聖母

1425-27年頃
油彩・板 219x135㎝
ウフィツィ美術館(フィレンツ)

パルミジャニーノ 長い首の聖母
パルミジャニーノ 長い首の聖母
パルミジャニーノ
凸面鏡の自画像

パルミジャニーノ
Parmigianino
1503年1月11日-1540年8月24日

ラファエロの影響を受ける

ティントレット《最後の晩餐》

キリストが裏切り者の存在を告げる場面。上部の明かりによる強い明暗や、斜めに配されたテーブルによる遠近感、天井には天使が舞い、世俗性と神秘性の混じり合う、斬新な構図の《最後の晩餐》です。

1592-94年
油彩・カンヴァス
サン・ジョルジョ・マッジョーレ教会(ヴェネツィア)

ティントレット 自画像
自画像

ティントレット

Tintoretto
1518年9月29日-1594年5月31日

ティツィアーノの色彩とミケランジェロの人体描写を目指す。
ヴェネツィア・ルネサンスの最後を飾る画家。

その他の代表作

ベルニーニ サンピエトロ広場

《奴隷を解放する聖マルコ》 

1548年
416x544㎝
アカデミア美術館(ヴェネツィア)

エル・グレコ《ラオコーン》

グレコが描いた唯一の神話画。蛇と格闘するラオコーンと2人の息子。

エル・グレコ ラオコーン

1610年-1614年
油彩 142x193㎝
ナショナル・ギャラリー(ワシントン)

エル・グレコ

エル・グレコ
El Greco
(本名 ドメニコス・テオトコプーロス)
1541年~1614年4月7日
クレタ島出身

16世紀スペインの代表的なマニエリスト
「エル・グレコ」は「ギリシア人」を意味するあだ名。
ヴェネチアとローマで修業後、スペインへ移り住みます。

その他の代表作

エル・グレコ 無原罪の御宿り

《無原罪の御宿り》 

1613年
油彩・板
サンタ・クルス美術館(トレド)

10頭身

エル・グレコ オルガス伯の埋葬

《オルガス伯の埋葬》 

1586-88年
油彩・カンヴァス
487.5x360㎝
サント・トメ教会(トレド)

ジャンボローニャ《サビニの女の略奪》

どの角度から見ても、3人の人物が螺旋状に連なって見えます。
ミケランジェロの造形理念であるねじれた人体による感情の表現を受け継いでいます。
大理石の塊から彫り出された作品。

ジャンボローニャ サビニの女の略奪

1579-1583年
大理石 約 H410㎝
ランツィの回廊(シニョーリア広場/フィレンツェ)

ジャンボローニャ 肖像

ジャンボローニャ
Giambologna
1529年~1608年8月13日

フランドル生まれ
マニエリスムの彫刻家
ローマで古代彫刻やミケランジェロを研究し、フィレンツェで活動